• 『ガンダムUC』~『閃光のハサウェイ』が切り開く宇宙世紀の転換点
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2021.08.28

『ガンダムUC』~『閃光のハサウェイ』が切り開く宇宙世紀の転換点

新たな宇宙世紀の扉を開いた『機動戦士ガンダムUC』(C)創通・サンライズ

宇宙世紀(U.C.)を背景としたガンダムシリーズの魅力を紹介する連載企画もついに最終回。今回は、宇宙世紀を舞台とした作品の新しい可能性を示すきっかけとなった『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』、そして現在公開中の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』への繋がりに追っていこう。
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』が、『機動戦士ガンダム』~『機動戦士Zガンダム』の間の歴史を繋いだように、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から『機動戦士ガンダムF91』までの間にはまだ語られていない宇宙世紀の「隙間」が存在している。

『機動戦士ガンダムUC』から始まった、宇宙世紀0090年代後半を描く物語は、新しい時代のガンダム作品のさらなる可能性を広げることに繋がっていった。これまで触れられてこなかった宇宙世紀0090年代後半のガンダム作品のミッシングリンクを埋めたのは、『亡国のイージス』『終戦のローレライ』などのベストセラーを手掛けた作家・福井晴敏。2010年にOVAで映像化された『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』は、2006年から『月刊ガンダムエース』誌上にて連載された福井の小説を映像化している。

本作の時代設定は、『逆襲のシャア』から3年後の宇宙世紀0096年。財団法人〈ビスト財団〉がネオ・ジオン残党軍『袖付き』に重要機密『ラプラスの箱』を譲渡しようとする取引に、地球連邦軍が介入。『ラプラスの箱』を開ける鍵となるモビルスーツ〈ユニコーンガンダム〉のパイロットとなったバナージ・リンクス、そしてザビ家の忘れ形見であるミネバ・ラオ・ザビは、宇宙世紀の起点に触れる大きな戦いに巻き込まれていく。
▲『ガンダムUC』より、ユニコーンガンダムを託されたバナージ。

『ガンダムUC』は、νガンダムやサザビーの発展形となる〈サイコフレーム〉を搭載したユニコーンガンダムがニュータイプ能力を抹殺する機能を持っていたり、『ラプラスの箱』が抱える秘密など、「ニュータイプの存在と意味」が重要なテーマとして扱われた。さらに『逆襲のシャア』で発端だけ描かれたモビルスーツ技術の変化、終焉へと向かうジオンの存在にも焦点が当てられ、『ガンガムF91』へと繋がる時代の流れを描こうとした作品になっている。

よりニュータイプに焦点を当てた、『UC』の続編的作品が『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』。『UC』と同じく福井晴敏の小説をベースにアニメ化、2018年に劇場公開された。物語の舞台は『UC』で描かれた「ラプラス事変」から1年後となる宇宙世紀0097年。暴走事故を起こし行方不明になっていたはずのユニコーンガンダム3号機フェネクスが地球圏で目撃されるようになり、地球連邦軍の特務部隊と大企業・ルオ商会の増援部隊による捕獲作戦「不死鳥狩り」が決行されるも、ジオン共和国軍がこれに密かに介入してくる。
▲『ガンダムNT』より、サイコフレームを外装したナラティブガンダムC装備。

「不死鳥狩り」に投入されたナラティブガンダムのパイロット、ヨナとルオ商会会長の娘(養女)ミシェル、そしてフェネクスのパイロット、リタという幼なじみ3人のドラマを絡めながら、新たなるニュータイプのドラマが描かれていく。
本作では霊体化などのオカルト的な描写も加わるなど、人類の進化の形であるニュータイプの概念を再定義する試みがなされている。その一方、共和国となったジオン軍が登場するなど、時世やミリタリーバランスの変化が描かれているのも注目ポイントだ。ミネバやバナージが再登場しているところから、本作も『UC』から続く世界観を拡大させる大きなプロローグと捉えることもできるだろう。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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