• 『不滅のあなたへ』の音響や劇伴の魅力【川島零士×高寺たけし対談】
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2021.08.10

『不滅のあなたへ』の音響や劇伴の魅力【川島零士×高寺たけし対談】

(C)⼤今良時・講談社/NHK・NEP

それぞれのキャラクターは死後もフシと一緒にいる
フシ役:川島零士×音響監督:高寺たけし対談

NHK Eテレで毎週月曜夜10:50から放送中の『不滅のあなたへ』は、不死身の存在・フシがさまざまな人との出会いと別れを繰り返しながら旅を続ける姿を描く物語。現在は、凶悪殺人犯を集めた島を舞台にしたジャナンダ島編が展開されている。因縁の相手であるヤノメ国の役人・ハヤセによって捕らえられてしまったフシの安否が気になるところだ。

そんな『不滅のあなたへ』について、発売中のアニメージュ9月号では、音響監督の高寺たけしさんとフシ役の川島零士さんの対談インタビューを掲載。フシを演じる上での工夫やお気に入りのシーンなどを語ってもらっている。ここでは、本誌には掲載しきれなかった、本作の音響や劇伴の魅力、複数のキャストがフシというキャラクターを作り上げる舞台裏などについてのお話をお届けしよう。

フシの声は様々なキャストの集合体

——アニメージュ9月号では川島さんがフシを演じる際のポイントなどをお教えいただきましたが、この『不滅のあなたへ』では、川島さんのほか、マーチ役の引坂理絵さんやグーグー役の八代拓さんなどもフシを演じていますよね。一人のキャラクターを複数のキャストが演じる上での苦労などがあれば教えてください。

高寺 今回はコロナ禍ということもあって、アフレコは少人数での分散収録をしていたんですが、川島さんには自分の収録だけでなくほかの人が収録しているときも、ずっとブースの中にいてもらいました。あ、もちろん感染症対策は徹底していますのでご安心ください。ほかのキャストさんがフシを演じるときは、僕も「今、フシがどの程度しゃべれるのか」などを説明はするんですけど、皆さん、川島くんにも聞いていましたよね。現在のフシの片言の程度や、しゃべり方の加減などをその場で確認し合ってもらえたので、非常に助かりました。

川島 引坂さんとは「今のフシってどれくらいしゃべれるようになってる? こんな感じ?」「それだと少ししゃべりすぎですね」というやり取りをよくしていた記憶があります。マーチ姿のフシは、口の発達具合も14歳くらいの少年のそれとは違うので、引坂さんはそのあたりもアジャストされていてすごいと思いました。

高寺 引坂さんは「見た目も声帯もマーチのものだけど、マーチではない」という違和感をとても上手に表現されていましたよね。第6話の時点では、まだフシはほとんどしゃべれませんから難しかっただろうと思いますが、「マーチではないマーチだ」と思わされました。

川島 皆さん、それぞれでアプローチの仕方が微妙に違っていたのも印象的でした。(パロナ役の)内田彩さんからは「ディレクションで『ちょっとかわいすぎる』って言われちゃったから、フシならどう言うのか、一回やってみてくれる?」と言われたりしましたね。

高寺 身体はパロナでも、中身はフシですからね。難しいオーダーだったと思いますけど、本当に皆さん一生懸命やってくださいました。

——死んだキャラクターを演じていたキャストがフシ役としてまた現場に来るのも、「それぞれのキャラクターは死後もフシと一緒にいる」という作中の描写とリンクするものを感じますね。

高寺 そうなんです。第5話でマーチが亡くなったはずなのに、第6話のアフレコにも引坂さんがいたりと、現場的にもなんだか不思議な感じでした。ただ、(少年グーグー役の)白石涼子さんだけはそれがなくて……。だから、「寂しいよね」という話をみんなでしていたりもしました。

川島 そう、フシが変身するのは八代さんが演じる青年グーグーですからね。ジャナンダ島編だと、フシは火を吹くためにグーグーに変身する感じがあって。八代さんは冗談交じりに、「フシ、また火、吹いてくれよ! いつでも呼んでくれよな!」とおっしゃっていましたね。僕も、「わかりました、火使います!」と答えました(笑)。

(C)⼤今良時・講談社/NHK・NEP

アニメージュプラス編集部