• バーチャルライバーがアニメOPを歌う時代【樋口楓インタビュー】
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2021.08.25

バーチャルライバーがアニメOPを歌う時代【樋口楓インタビュー】

▲『Baddest』アーティストビジュアル (C)BANDAI NAMCO Arts Inc. (C)ANYCOLOR, Inc.


――『Baddest』は最初のシャウトから心を掴まれました。

樋口 元々仮歌に入れてもらっていたシャウトのサンプリング音源をそのまま使うのだろうと思っていたら、ボーカルの収録が全て終わった後に、「まだ体力あるならどうですか? やりますか?」と言われまして(笑)。「(体力は)ありますけど、やったことないですよ。でも物は試しに……」ということで挑戦してみました。やってみたら意外と喉を傷めずにできましたね。

――シャウトの才能が開花したのですね。

樋口 自分の声なのか信じられないです(笑)。ファンの方も「これ、でろーん?」ってなったのではと思います。

――曲を聴いた時の印象は? 

樋口 「ザ・アニソンサウンド」という印象を受けましたね。こういうヘビーロックを歌ったことがなく、いつか挑戦はしたかったジャンルだったので嬉しかったです。ただ、アニメファンの方に私の歌を受け入れてもらえるのか不安でもありました。

――第1シーズンがある上で、第2シーズンを担当するプレッシャーもありますよね。

樋口 高槻さんの第1シーズンオープニング曲が素晴らしかったのもありますが、バーチャルライバーがタイアップを歌うというのが冒険だと思うので、そもそも受け入れられるかなとドキドキしていて……。

――樋口さんがバーチャルライバーではなく、歌手だと思って聴いている人も多いのでは?

樋口 そうだとめちゃくちゃ嬉しいですね。それに、バーチャルライバーのことも歌を通して知ってもらえたら嬉しいです。

――レコーディングはいかがでしたか?

樋口 テンポが速かったので、滑舌を良くしなければならないのが第一(笑)。それと、アニメタイアップだからこそ、どうやって『俺100』っぽく歌えばいいんだろうと自分の中で困ってしまいまして……。何度も録り直している時に、作曲の光増(ハジメ)さんが「樋口楓らしくていいんだよ。もちろん初タイアップでかっこよくと気負う気持ちも分かるけど、今までの樋口楓あってのタイアップなんだから、樋口楓らしさは損なわずに歌ったら、かっこよくなると思うよ」と声を掛けてくださって。そこで、「あぁ、力まなくてもいいんだ」と腑に落ちて、そこから落ち着いてレコーディングに取り組むことが出来ました。かっこよく歌えたんじゃないかなと思います。

――歌っていて好きなフレーズはありますか?

樋口 サビの「どうせ貰った生命だ」というフレーズが、『俺100』っぽくもバーチャルライバーっぽくもあるので好きですね。作品の死んでもやり直せるという設定と、バーチャルライバーとして新たに生を受ける私達がリンクしてるなと思って。

――MVも何度も生き返る生命を感じさせるようなものになっていますが、カラオケの映像風というユニークなもので。

樋口 1stアルバム『AIM』の時と同じ制作チームさんに作っていただいたのですが、「女子高生ってカラオケ行くよね?」という感じでテーマが決まりました(笑)。

――そんな感じで決まったのですね。MVは何度も樋口さんが倒されそうになるのでドキドキしましたが、撮影はどんな風に?

樋口 あのアクションシーン、全て自分でやっているんです。モーションアクターの方に色々とご指導いただきながら、ロープを体に巻き付けて落ちたり、全速力でマットにぶつかったり、転げまわったりとか色々と撮りました。

――え? あの動きは全て樋口さん自身の動きなのですか。

樋口 そうです(笑)。ハリウッドの方がグリーンバックでよく撮影していますが、あの感じです。そこに私一人がいます(笑)。転がって建物の中に入るシーンの撮影時は、「車来たよー、はい転がってー」みたいな感じで指示を受けながらただ転がっていたので、まさかあんなにかっこよくなるとは思ってもいませんでした。全身筋肉痛になっただけのことはありました(笑)!

――軽快な動きでしたが、普段運動は?

樋口 全然です。それにこんなご時世もあって全然動かないので、筋肉の衰えを感じますね……。今回の撮影では、転がってすぐに立ち上がるとか、命の危険が迫っていないと出来ないような素早い動作の連続だったので、本当に大変でした。それに初めて知ったのですが、流れるような動作をするためには呼吸が大事なんですね。

――呼吸ですか?

樋口 よくアニメの主人公達が「おりゃー!」とか言いながら戦っていますが、本当にああいうことを言わないと体が動かないんだというのを実感したんです。息が止まっていると体の動きも止まるので、声を出して息を吸って吐きながらじゃないと、力も入らないし動かない。あの声は理にかなっているんだと知りました! 全く予期していなかった視点だったので、これは体験して知ることができて良かったです。

アニメージュプラス編集部

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