• 両極端なレア作品集 赤塚不二夫86歳の誕生日に“良い赤塚”と“悪い赤塚”を読もう!
  • 両極端なレア作品集 赤塚不二夫86歳の誕生日に“良い赤塚”と“悪い赤塚”を読もう!
2021.09.14

両極端なレア作品集 赤塚不二夫86歳の誕生日に“良い赤塚”と“悪い赤塚”を読もう!

両極端なレア作品集 赤塚不二夫86歳の誕生日に“良い赤塚”と“悪い赤塚”を読もう! (C)Fujio Akatsuka 2021

914日は生きていれば赤塚不二夫の86歳の誕生日だ。1935年〈昭和10年〉に生まれ2008年に亡くなったので、もう13年も経ってしまった。2000年代に入って以降は体調を崩し、あまり目立った活動は出来なくなってしまった赤塚だが、CMや商品などで赤塚キャラは人気が高く、露出的にはずっと現役感のある特別な存在だった。

同世代だと1933年生まれが鈴木伸一、1934年生まれが藤子不二雄(A)、1936年生まれがつのだじろう、古谷三敏、楳図かずお、さいとう・たかをと、まだまだ元気な作家がたくさんいる。享年72歳は早すぎて残念でならない。元気であれば、国宝級落語家のような円熟味を増した芸と、ますます子ども返りしたようなアナーキーなギャグを織り交ぜた、誰も読んだことのないようなマンガを描いてくれたんじゃないかと夢想してしまう。

そこで、赤塚の誕生日をお祝いして最近出版された作品集をおススメしておきたい。一時期は『おそ松くん』『天才バカボン』『もーれつア太郎』といった大ヒット作以外の作品は入手困難だったが、いまはフジオプロとebookjapanがコツコツ整理してきた電子書籍で有難いことにほとんどの作品が読めるようになった。今回おススメする二冊は、その電子書籍に全く収録されていない、かなりレアな作品を集めた、そして笑っちゃうくらい内容が対称的な作品集になっている。

>>>各作品の書影・目次などを見る(写真7点)

5月に竹書房から発行された『ひらがなおそまつくん』は、1966年から67年にかけて小学館の学年誌『幼稚園』『小学一年生』『小学二年生』で連載された幻の『おそまつくん』29話分を初収録した単行本だ。TVアニメ放送にあわせて、掲載誌でわかるように幼児向けに描かれたもので、本家の『週刊少年サンデー』連載版に比べて当然かなり子供向けになっている。したがってギャグの角度はかなり丸いのだが、これが実にほのぼのとしていて心地良い。

そもそも『おそ松くん』には子供の生活の中心であろう学校の描写があまりなく、たいがいは家か町内が舞台なのだが、『おそまつくん』で描かれるささいな出来事からあふれる日常が優しくて優しくて、とにかく幸せな気持ちになってしまう。先生と生徒、生徒同士という少ない関係性に赤塚があまり興味を持っておらず、子どもの世界に広がる多様な関係性を赤塚がいかに大事に思っていたかがよくわかる。どの話もシンプルだが丁寧に考えられた、言わば赤塚の 美しいサイドを見ることが出来る単行本だ。

『ひらがなおそまつくん』(竹書房)

https://www.koredeiinoda.net/fujiopro-topic/?p=5929
https://www.koredeiinoda.net/manga/hiragana-osomatsukun.html

アニメージュプラス編集部

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