――もう一度朗読してほしいと言われたらどうされますか? 堀江 自分のやり慣れない朗読というお仕事だったのですが、1冊丸々読むことで隅から隅まで作品のことが分かる感じは、好きだなと。物理的にはめちゃくちゃ大変なので、次ができるかは分からないですが、単純に楽しかったです。
沢城 何だか念仏を唱えるにも似た、写経にも似たような感覚でした。西尾維新という奇才の言葉が、自分の中を通って出ていくのが心地良いと言いますか……。人の言葉を一度自分の中に入れて出すという行為が、自分の思考の整理整頓にも繋がって、気持ち良かったです。確かに物理的には、「西尾維新め!」って言いたくなるような瞬間もあるのですが、それは仕方ない。そもそもこの作品は口に出して読むように書かれていないですしね(笑)。
堀江 そうなの。この文章一生読めないかもと思う瞬間もたくさんありました。
沢城 振り返ってみると、大変気持ちの良い時間だったような気がします。読み手としては、語尾を落とさない、ブレスをなるたけ無音で……など、色々と技術的なことにも気を付けたので、長時間聴いていても気持ちの良いものになっていると良いなと願っています。
――今回、久しぶりに<物語>シリーズに触れられたかと思いますが、お二人にとって、<物語>シリーズはどんな存在なのでしょうか?沢城 当時のアニメ『化物語』がやっていた、一言一句原作のままセリフを起こすことやキャラのコメンタリーをやるというのは、革新的で。もしかしたら、「業界初」みたいなことを背負ってきた面も、この作品にはあるのかなと思っているんです。その分、キャスト陣に対しての「戦友」みたいな気持ちも強くて。
堀江 私も『化物語』から離れている時は、キャストの絆も妙に強いし楽しい作品だよなと思っているのですが、いざ新シリーズが始まりますとなった時に、楽しかった雰囲気が一転、エベレストに登る準備を始めなくてはならないような重い気持ちに変わっていて。でもそれって、常に新しいことに挑む<物語>シリーズだからこそ、そんな気持ちになっていたんだなと今聞いて思いました。
――お二人にとっては、思い出深いチャレンジングな作品なんですね。最後になりますが、今回のAudibleを楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。堀江 今回、結構思いがけない人が思いがけない話を読んでいますので、キャスティングの妙も面白がってもらえると嬉しいです。また、アニメ独特の世界観や表現方法の面白さと、西尾先生の描く原作そのままの文章の面白さの両方が混在したものになっていますので、是非、改めて<物語>シリーズという作品を楽しんでいただけたら嬉しいです。
沢城 特にアニメ『化物語』のファンの方達からすると、聴いていて最初は違和感があるかもしれません。ですが、その最初の違和感を乗り越えて、是非各巻楽しんでいただけたら、それ以上のことはありません。聴く方も12時間程聴くことになって大変だと思いますので、乗り越えていただいた暁には、あなたも私達の仲間になれる気がしています(笑)。是非、この機会に戦友になりませんか?と思っております。よろしくお願い致します。
沢城さんと堀江さんが苦しみながらも読み上げた『猫物語(白)』、『花物語』は、AmazonオーディオブックAudible(オーディブル)にて配信される。通学・通勤中はもちろん、家事や育児の合間など隙間時間にながらで楽しむことのできる「聴く読書」。10月11日(月)までの間は、2カ月無料でAudibleを楽しめる新規会員登録キャンペーンも実施中なので、プロのナレーションで新しい世界を楽しんでみては?