――お気に入りのエピソードやキャラクターを教えてください。福山 1話に登場するキックボードの少年! ジョン役の田村睦心が演じているんですが、これがまた絶妙にムカつく芝居で(笑)! でもジョンがとにかく可愛いので、そのギャップがたまらないですね。この作品ではジョンの役割もとても大きいですし、ジョンの存在ありきで成立している部分もあるので、大事なキャラクターです。
――ロナルドとドラルクの間にジョンがいることで、新しい面白さが生まれますよね。福山 音にして聴いてみると、この作品を好きな女性が多い理由が分かった気がします。ドラルクとロナルドの間に入ってジョンがいろいろやってくれるおかげで、ただうるさいだけにならないんですよね。男たちが喉をカラッカラにして叫んでいる中で、ジョンは一つの清涼剤のような役割を果たしてくれていますから。
古川 僕は、吸血鬼退治人のサテツがお気に入りです。細谷佳正さんが演じていらっしゃるのですが、なにかと巻き込まれがちでお人よしなサテツを、細谷さんが「この人は絶対に巻き込まれるし、絶対に面白いことになる」っていうお芝居をされていて。細谷さんのお芝居が乗っかることで、もはや存在しているだけで面白いキャラクターにまでなっているのがすごい。引っ込み思案な雰囲気のサテツを演じながらも、巻き込まれたら絶妙なリアクションを返してくださるので、細谷さんのお芝居ってどうなってるんだろう? と毎回楽しませていただいています。
福山 あとこの現場の細谷は、ワザと語弊ある表現をしますが、若干オラついてて面白いですね(笑)。いつもは控え目に「はい……はい……」とディレクションを謙虚に受け止めるタイプなんですが、この現場ではグイグイ身を乗り出して、ディレクションに立ち向かっていく感じがあって。まるでホームゲームみたいな攻めの姿勢が面白い。
古川 思った以上にお笑いに熱い方でした(笑)。ディスカッションを見ていると、「こうした方がもっと面白くなる」という、細谷さんなりのお笑いに対するこだわりが伝わってくるんです。
福山 そんな細谷を見てるのがすごく楽しい(笑)。
――キャストさんそれぞれのお笑いへのこだわりや挑戦が詰まったアニメになっているんですね。福山 笑いは重要ですよね。どんな時でも、笑ってさえいれば何となく前を向ける。特に今はこんな状況ですから、余計に笑いの役割は大きい気がします。『吸血鬼すぐ死ぬ』は、僕らの世代からするとどこか懐かしくて、好きなテイスト。昭和と今とでは、お笑いの直球の質もだいぶ違うと思うんです。それなのにこの昭和・平成の雰囲気がある直球の作品が、令和でも受け入れられていることが驚きでした。アフレコでは、コメディの基本は大声なんだなと、改めて実感しました。
古川 (笑)
福山 大声や、考える間もなく展開していく勢いのようなシンプルさが、今の時代にも受け入れられていることが嬉しかったです。演じていても楽しいですし、関わる人たちが、笑って帰ってくださるのも嬉しい。もともと原作の時点で人気な作品ではありますが、音と動きがついた『吸血鬼すぐ死ぬ』を観ていただくと、その面白さを改めて実感していただけると思います。アニメに携わっている身としてはとても光栄ですよね。こういった作品が減ってきているからこそ、観ていただけることが楽しみでしょうがない。
古川 確かにそうですね。個性的なキャラクターがどんどん登場しますし、そのクセの強さもツッコミも毎度容赦がない作品は、昨今なかなかない気がします。なので僕も、彼らにどう対応するかを考えるのが忙しくて。でもその分、今まであまり開けてこなかった引き出しを開けられることが楽しいです。おバカなキャラばかりですが、決して嫌いにはなれないやつらばかり。それぞれに愛されるポイントがあるのも良いですよね。その最たる存在が、ドラルク。話が進むごとに、ドラルクのことが好きになる。良い主人公だと思います。
福山 あとで古川君の口座に500円振り込んでおこう。
古川 せめて1000円くらいがいいっす(笑)。
<プロフィール>
福山 潤(ふくやま じゅん)11月26日生まれ。BLACK SHIP所属。主な出演作は『コードギアス 反逆のルルーシュ』(ルルーシュ)、『暗殺教室』(殺せんせー)、『七つの大罪』(キング)ほか。
古川 慎(ふるかわ まこと)9月29日生まれ。トイズファクトリー所属。主な出演作は『ワンパンマン』(サイタマ)、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(白銀御行)、『憂国のモリアーティ』(シャーロック・ホームズ)ほか。
>>>福山さんと古川さんのアーティスト写真を見る(画像4点)(C)盆ノ木至(秋田書店)/製作委員会すぐ死ぬ