――撮影当時のお二人での印象的な出来事は何かあったりしますか。杉浦 やっぱりドリフトの話ですかね。
市瀬 ハハハハ! そうね、やっぱドリフトかもね。
杉浦 僕らはシェパードに乗ることが多かったんですけれど、基本後輩の僕が運転していて。で、車に乗っている時に襲われる場面も多いので、キキッって急停車することもあるわけです。ある撮影の時「そこでドリフトして止まって」と指示があって、OKの返事をしようとしたら「やったことあるのか?」って(市瀬さんに)止められて。
市瀬 いやいや、隣に乗ってるこっちが怖いじゃない。「ドリフトやったこと、あるの?」って聞いたら「ないです、ブーンって行ってハンドル切ればいいんですよね」って言うから「それじゃ無理、無理! サイドブレーキも引くんだよ」って教えた後で、一発本番!
杉浦 「おー、セーフ……いけますね」って。
市瀬 「いけますね」じゃないよ(笑)。
――結構ヒヤヒヤだったんですね。市瀬 ヒヤヒヤですよ! しかも、道に設置したカメラを跨いでからドリフトするんですよ。カメラを壊したらいけないし……それを平気でやらせるって凄いですよね。
――基本スタントマンがやる仕事じゃないですか。杉浦 顔が変わったのがわかっちゃうから。
市瀬 でもオンエアみたら、あんまりわからなかった(笑)。隣なんて全然だよ、乗ってなくても良かったじゃん!
――作品を撮影していた時と現在で、作品に対する思いが変わった部分などはありますでしょうか。杉浦 やってる時は主観的なんですけれど、客観的に観ることで「こういうところが弱かったんだな」「こう見るとムサシも成長しているんだな」ということが感じられますね。20~21歳の青春をそこで過ごした、がむしゃらだった頃の自分に反省しつつも、勇気を貰える感じですね。「このムサシの姿に恥じない自分でありたい」とカツを入れる感じでしょうか。
▲20年前のムサシの姿に励まされる、と語る杉浦さん。
市瀬 今回ちょこちょこ観直していて、やはり面白い部分と落ち込む部分がありますね、自分の演技を観て「あ~あ~」って。
――20年という時を経て、『コスモス』という作品の捉え方が変わった部分はあったでしょうか。杉浦 当時の自分は『コスモス』しか知らなかったですけれど、その後他のシリーズと比較して見つめたことで、改めて「優しさの象徴」としてのコスモスの慈愛の精神を感じ取ることができましたね。その分、他のウルトラマンとコラボする時には扱いづらいんだろうな、とも思うんですが(笑)。
市瀬 僕としてはあまり変わってないんですよね。『コスモス』は自分たちの原点であり、テーマである「信じれば夢はかなう」は今も胸にありますから。
杉浦 自分の中で大切な作品である『コスモス』のことをみんなに忘れないでほしい、という気持ちがずっとあるので、何かしらコスモスをアピールする動きはしているつもりです。今回は、そんな気持ちがひとつ実ったのかな、と思います。
市瀬 主役って大変だな~(笑)。素晴らしいです。
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