――演じていて特に印象深かったシーンはどこでしょうか?入野 悩んでいるカンナに「お前、走るの好きじゃなかったのか。好きだから走ってたんじゃないのか。それでいいだろうが」と言うシーンは、アフレコ時にも完成作を観た時にも、自分自身ハッとさせられました。
――入野さんご自身もカンナのように、好きだったはずなのに、何かに向き合えなくなった経験はありますか?入野 ありますね。自分に向いていないんじゃないか、必要とされていないのかなとマイナスの感情をもって、離れたくなったこともあります。僕は、離れたかったら離れたら良いと思っていて。そうして離れた時に、他の誰かがそれでも立ち向かっているのを見て、自分もそこに戻りたいと思ったりと、引いたことで見える世界もあると思いますし。もちろん、逃げずにひたすら進んでいくのも凄いことですよね。ただ、離れるっていうことは、もうそこには戻れないという覚悟も必要なんだと思います。
――カンナが出雲まで走るというストーリーですが、入野さんご自身は出雲に行かれたことは?入野 まだ行ったことがないんです。大晦日に『ゆく年くる年』で出雲大社も映るじゃないですか。いつか映り込んでみたいなというのはずっと思っていて(笑)。
――ではいつかは行ってみたい?入野 行ってみたいですね。僕自身旅が好きで、2年前には一人で九州一周もしているので、今度は出雲の辺りも行けると良いですね。
――カンナは走って出雲まで行きましたが、入野さんは走るのはお好きですか?入野 子供の時は好きでした。徒競走も上位に食い込むくらいそこそこ速かったので、校庭を走り回ったりしていました。
――マラソンは?入野 マラソンは苦手でしたね。長くずっと走るというのが苦手で。根性がないというか(笑)。短距離の方が好きでした。
――蒔田さんも同じことをおっしゃっていました。今後機会があれば、マラソンに挑戦することは?入野 駅伝をテーマにしたアニメ作品に出演させていただいたこともあったので、ホノルルマラソンへの参加を考えたこともあったのですが……。まぁ、頭の中だけで終わってしまっています(笑)。
――今作には色々な神々が登場しますが、印象的だった神様は?入野 高木渉さん演じる龍神ですね。龍神との出逢いは、カンナ達にとっても、とても大きな出逢いというかチャレンジのシーンなので、印象に残っています。話としては、ひたすら走って目的地にたどり着くというシンプルなものなのですが、それをどうドラマチックに見せるかが大変だったのではと思います。
――全体を通して観て感じた魅力って何でしょうか?入野 カンナ達と一緒に色々な土地を回って旅をする。道のりの一個一個は短いシーンなんですけど、観ている方の中にはきっと、出雲までの道で「この辺、うちの近所だ」みたいなのがあるかもしれません。なかなか旅行にも行けない状況下ですので、僕自身も観ていて一緒に旅をしているような感覚がありました。自分の知っている場所が出てくることで共感できたりするのも、作品を楽しめる要因のひとつだなと思います。
――最後になりましたが、読者へ向けてメッセージをお願いします。入野 この作品を見る前でも後でも良いんですが、『神在月のこども』の制作過程をYouTubeで見ることができるので、是非見ていただきたいなと思います。なかなか機会がないことなので。特にアニメを作りたいと思っている方は、製作過程を見た上で映画を観ると、より面白いかもしれません。とにかく熱意と情熱が凄いので、そこを感じてもらえる作品なんじゃないかなと思います。是非、劇場で感じてください!
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入野自由(いりの みゆ)2月19日生まれ。ジャンクション所属。主な出演作は映画『千と千尋の神隠し』(ハク)、『ハイキュー!!』(菅原孝支)、『おそ松さん』(松野トド松)、『プラチナエンド』(架橋明日)ほか。
(C)2021 映画「神在月のこども」製作御縁会