• 『ルパン三世PART6』シリーズ構成・大倉崇裕/ルパン対ホームズ、宿命の対決はミステリアス
  • 『ルパン三世PART6』シリーズ構成・大倉崇裕/ルパン対ホームズ、宿命の対決はミステリアス
2021.11.13

『ルパン三世PART6』シリーズ構成・大倉崇裕/ルパン対ホームズ、宿命の対決はミステリアス

原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV


◎謎めいたダークなルパン◎

——実際にお仕事を始める際、『PART6』の方向性はどのように決まっていったのでしょうか。

大倉 “テーマをミステリーにしたい” ということは、最初の段階からかなり明確にうかがっていました。では具体的にどんなミステリーにするのか? そこは、その時点では何も決まっていなかったです。逆に言うと、ミステリーであれば今までの自分の経験やテクニックで何とかうまくやれるかなというのはありました。

—— “ミステリー” というお題が与えられて、そこから大倉さんが内容を練っていったわけですね。

大倉 いろいろ考えて、ホームズの登場も含めて「こんなのどうですか」とアイデアを出して。いろいろやりとりをしましたが、かなり柔軟に受け入れていただきました。

——シャーロック・ホームズの登場は『PART6』の大きな軸ですね。それも含めて、具体的なアイデアはどのように考えていかれたのでしょうか。

大倉 先ほど言ったように自分の『ルパン三世』の原点は『PART2』ですが、同時に私はミステリー好きで小説もたくさん読んできたので、“ルパンでミステリー” となるとやはり『ルパン三世』のさらにルーツであるモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズです。そこに立ち戻って考えようという形でスタートしました。
では、『ルパン』のどの作品を参照しようか?  「813」なのか?  「奇岩城」なのか?  ……と考えたら、「そうか、『ルパン対ホームズ』がある」と気付いたんです。ホームズを出せば面白いんじゃないかなって。TVシリーズとしても『PART4』の舞台がイタリア、『PART5』がフランスときて、次は英国・ロンドンというのもバッチリですし。決まるのはわりと早かったです。

——ちなみに、ルパンは文字通り “三世” で過去のシリーズでアルセーヌ・ルパンを「おじいちゃん」と呼んだりしていますが、今作のホームズはオリジナルのシャーロック・ホームズと何か関係が?

大倉 そこも悩ましいところではあったんですが……(笑)。『PART2』にホームズ三世が出てきたこともありますしね。ただ、最近は “ホームズもの” の作品って多いじゃないですか。BBCが作ったベネディクト・カンバーバッチの『SHARLOCK』もあるし、フジテレビのディーン・フジオカもある。あちこちにシャーロックがいるんですが、どれもいちいち「シャーロック・ホームズとは何者か」とは別に語られていないわけで。そこには、あまりこだわる必要はないのかなと。ですから今回も、ホームズの何代目だとか、どういう形で名前が継がれているのかとか、そういったことに触れずに、いきなり物語に入ってしまおういうところですね。“ホームズ何世” とか言ってしまうと、逆に野暮かなという気もしましたし。物語の中でちょっとした言及は入れていますが、基本的にはルパンのライバルとして、わりとすんなり登場しています。

——おなじみのホームズのイメージもあるけれど、オリジナルと厳密に関係があるわけではなく、今回のルパンの好敵手としてキャラクター像が形作られている。

大倉 そうですね。その上で、ルパンとホームズのあいだに何があったのか? ライバルと言いながら、なぜ今まで出てこなかったの? そういう部分は今回の物語の “謎” として徐々に提示されていくので、回を追って見ていってもらえればと思います。

——作品ごとに少しずつカラーが変わるのも『ルパン三世』シリーズの魅力ですが、今回の『PART6』は全体的にどんな雰囲気になっているのでしょうか。

大倉 今回のルパンは言ってみればヒーローというか、抜けた部分のあまりない男として描いています。お宝を巡ってドタバタやるルパンとは違い、次元や五ェ門ですら知らないことがあって、事件全体をルパンが支配して操作しているというイメージですね。ミステリー小説でいうと、ちょうどルパンが名探偵のポジションにいて、実はすべてわかっている。そういう意味では、これまでのルパン像とは少し違うかなと。

——いつものルパンのようにあけっぴろげではなく、ちょっと秘密めいたところがあるわけですね。

大倉 そうですね、謎めいていて少し影がある、ちょっとダークなイメージです。私自身が脚本を担当した、ルパンとホームズを軸としたエピソードに関しては、特にそういう雰囲気が強いです。

原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV

アニメージュプラス編集部

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