――吹替のお仕事について、やりがいを感じるところ、難しいと思う部分などがありましたら教えてください。鈴木 アニメでキャラクターに声をあてる作業と同じようで違うところがありますし、逆に違うようで同じことをやっていると感じることもあります。
アニメは最初にいただく資料が文字情報中心ということが多いので、キャラクターを膨らませるのは役者の力量にかかっている部分が割と大きいと思うんですが、吹替は俳優さんが演じている映像を基本にする、というところがやっぱり違います。
以前、大先輩の声優さんが吹替について「呼吸を合わせる」ということをおっしゃっていたのがすごく印象的だったこともあって、僕も役者さんが演じている雰囲気を踏襲しつつ、呼吸を上手く合わせて自分なりに役を落とし込んで演じるようにしています。
――ではパトリック役、ニコラス・ホルトさんの演技で合わせた部分、取り入れた部分などはありますか?鈴木 感情の抑揚が比較的に少ないところが、冷徹な印象につながっているのかなと思いながら演じてみました。ナチュラルな雰囲気は保ちつつ声は冷たいままで、というのをすごく意識しましたね。
――今作のアフレコ時に、何かエピソードなどがありましたらお聞かせください。鈴木 コロナ禍ということで別録り、しかも少人数での収録だったんですけれど、僕はジャックの吹替を担当された上田燿司さんと一緒に収録させていただきました。
これから一緒に殺し屋役を演じるのに、前の方の収録が終わるまで二人でとてもなごやかな雰囲気で談笑していたので、そのギャップがちょっと面白かったな、と(笑)。今回、上田さんと一緒にお仕事ができたことは、自分の中では大きかったですね。
――作品にちなみまして、最近 “目撃” してしまった出来事は何かありますか?鈴木 外に出る機会が少ないので、なかなかそういうこともあまりなくなってきているんですが……先日の夜、駅のホームが上から見下ろせるような場所を歩いていた時、ホームの端でハグしている見知らぬ男女がいちゃいちゃした雰囲気を醸し出しているのを目撃してしまいました(笑)。
――それでは最後に、今後チャレンジしてみたい役などあれば教えてください。鈴木 僕の目標は毎クール、いろんな作品に出ることなのですが、今回のようないわゆる敵の位置に属する人物を演じることが最近増えてきたんですね。
今回の作品でも敵なりの正義というか、彼らの思いや抱えているものを改めて認識することができたので、これからもそういった敵役を演じることができたら嬉しいですね。いつか「名脇役」と言われるような役者になれたらと思っています。
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