• 楠木ともり3rdEP『narrow』は、物語が繋がっていく!
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2021.11.11

楠木ともり3rdEP『narrow』は、物語が繋がっていく!

楠木ともり3rdEP『narrow』は、物語が繋がっていく!

声優・シンガーソングライターの楠木ともりが、冬を彩る3rdEP『narrow』を2021年11月10日(水)にリリース。

本作は、収録される4曲全て楠木ともり自身が作詞作曲を担当。まさに“冬らしさ”の詰まったサウンドが印象的なリード曲に加えて、心温まるドリームポップをはじめとしたバリエーションに富んだカップリング曲を収録、聴くだけで「冬」を感じる作品になった。
楠木ともりは、現在放送中のTVアニメ『マブラヴ オルタネイティヴ』や『先輩がうざい後輩の話』など、次々と人気作のメインヒロインに出演する傍ら、自身で作詞作曲を手掛けるシンガーソングライターとしても注目を集めている。そんな彼女に3rdEP『narrow』について語ってもらった。

――3rdEP『narrow』の曲順構成や、全体を通してのストーリーはどのように考えられましたか。
楠木 3rdEP『narrow』は、はじめて全て描き下ろしで作成したEPだったので、曲を作る前段階で、テーマを「冬を感じる曲」と決めてから、温かい歌詞とアレンジを主軸に作っていきました。EP全体としてのストーリーというよりは、曲ごとにしっかりとしたストーリーが用意してありますので、EPを通して聴いても楽しんでいただけると思いますし、1曲1曲でも楽しんでいただける内容になっていると思います。

――1曲目に収録されている表題曲の『narrow』について教えてください。
楠木 1stEPの『ハミダシモノ』には『ロマンロン』と『僕の見る世界、君の見る世界』という曲が収録されていますが、『narrow』では、この2曲の主人公たちが出会うところからストーリーが始まっているんです。音楽の世界で頑張っていこうと夢を見つけた『ロマンロン』の主人公が、初めて誰かに対して歌いたいという気持ちと目標を持つまでの物語になっています。空が狭くて、雪が降るようなロマンチックさもない東京ならではの冬に、切なさだったり、孤独感であったり、騒がしさだったりが入り交じる情景が浮かぶような曲にしたいと思いました。
ふたりの主人公が出会う曲ではありますが、物語とは関係なく普通に聴いていただいても楽しめる曲だと思います。

――2曲目の『よりみち』について教えてください。
楠木 『narrow』が客観的な映像が浮かぶような曲だったのに対し、『よりみち』は内面的な部分が強く、自分の中で何度も何度も繰り返し考えてしまう気持ちをテーマにしているので、歌詞が抽象的だったり、同じフレーズが繰り返されたりしています。自分の機嫌は自分でとろうとか、自分で自分を褒めてあげようとか、自分のことを愛してあげようというテーマが詰まった曲になっています。ですので、嫌なことがあったときに聴いて、明日に向かってまた頑張ろうと思っていただけるような歌詞になっていると思います。歌い方も内面的な部分を表現するために、自分の中でループしているような、ちょっと気だるそうな感じや、孤独感が出るような歌い方を意識しています。

――3曲目の『熾火』(おきび)について教えてください。
楠木 『熾火』は、作品を創作している現代の若者たちをテーマにしています。いまの時代、SNSなどのつながりで才能がある方を身近に感じられ、自分の評価も伝わりやすい世の中なので、常に人の視線を気にして「いい子」でいなくちゃと考えている人も多いのかなと思うんです。そんな環境の中で「いい子」が爆発してしまったら、その感情が何処に向けられるのかなと考えたときに、おそらく周りの人に八つ当たりをするのではなく、その矛先は自分に向かって自己嫌悪になるのかなと思ったので、全体的に自己嫌悪が爆発しているような曲になっています。

――2ndEPの表題曲『Forced Shutdown』では、常に周りの意見が届くようになった時代に、ポジティブな意味で「閉ざして」自分を探す選択肢もいいのではという、「閉ざして」そこからまたやり直す意味が込められた曲でしたが、この『熾火』では、さまざまな声が響いてくる環境の中に登場人物がいる曲なんですね。
楠木 そうですね。『Forced Shutdown』のような主人公がシャットダウンをしなかった未来というか、周りの声を聞く強さをもっていたら……、といった曲になるかなと思います。

――最後に4曲目の『タルヒ』について教えてください。
楠木 3rdEPの中では最初に作り始めた曲で、冬がテーマということは決まっていたので、冬に関する単語を調べているときに、垂氷(タルヒ)という「ツララ」を指す単語を見つけて。ツララは、冷やされたり温められたりを繰り返して大きくなっていくので、表現したいものが、その姿に重なる部分があると感じて面白い言葉だと思ったのと、さらに調べていくと、足日(タルヒ)という、「満ち足りた日」という意味も見つけまして。ふたつの意味を含むタルヒをタイトルにしました。
この曲は2ndシングルの『sketchbook』に登場する主人公が、恩師から手紙を受け取ったところから始まる物語がテーマです。この『タルヒ』の歌詞が受け取った手紙の内容に重なっていて、なんでもわかってくれているような人生経験が豊富な恩師から、信頼してもらっている上で、励ましてくれる手紙を受け取ったというストーリーです。全体的に肯定してくれているような感じであったり、自分に対しての信頼と理解からくる安心感だったり、そういった温かさにフィーチャーした曲になっていると思います。

――初回生産限定盤A・BにはBDやDVDが付いてますが、収録される映像について教えてください。
楠木 表題曲「narrow」のミュージックビデオと他3曲のリリックビデオ、そして2021年7月25日に行った配信限定ライブTomori Kusunoki Story Live 「LOOM-ROOM #725 -ignore-」という朗読と歌を交互に行ったライブ映像が、歌パートも朗読パートも全て収録されていますので、内容はもちろんのことボリューム的にも、もりだくさんになっています。

――いつも歌っている曲を朗読したことで何か感じたことはありましたか。
楠木 曲に登場した人物たちを、より深堀りしたいという狙いがあり、歌詞を俯瞰して物語として楽しんでいただくためにライブで朗読をさせていただきました。歌だけでは表現しきれないディテールや秘められた意味を表現することができるので、歌の聴こえ方が変わったという感想もいただき、やってよかったなと思います。

――フォトブック盤(初回生産限定盤C)に同梱されるフォトブックはどんな内容ですか?
楠木 いままでMVもジャケットもスタジオで撮影していたのですが、今回初めて屋外で撮影させていただいたのでバリエーションに富んだものになっていると思います。私服に近いカジュアルな衣装なので、今回は日常を切り取ったような温かい優しいテイストの写真が多く、楽しんでいただけると思います。デジタルカメラとフィルムカメラの両方で撮影したので、フィルムカメラは質感に温かい雰囲気がでていると思います。
ジャケットのキラキラしているラメですが、合成ではなくて、ラメをポンと投げて、それをいいタイミングで撮っていたので大変でした。最後にみんなで掃除機をかけました(笑)。

――初回仕様にはライブチケット先行申込み用シリアルナンバーチラシが入っていますが、どんなライブにする予定ですか?
楠木 メジャーデビューしてから初めての有観客ライブになります。いままで配信ならではの演出や楽しみかたを考えてきたので、飛び道具的な演出が多かったんですが、初心に戻ってインディーズの頃にやっていたライブに返るというか。より純粋にライブを、音楽そのものを楽しんでいただける内容にしたいと思います。私の音楽に興味をもってくださって、聴いてくださっている方は十二分に楽しめる内容にしたいと思っていますので、ぜひ遊びに来てくださると嬉しいです。

――Webサイト『コリレイトラス街』は、パスワードを入力してエントリーすると、“音と言葉”からうまれた人々が住まう『コリレイトラス街』を垣間見ることができるという面白い試みですが、作られた経緯や今後の展開などについて教えてください。
楠木 『コリレイトラス街』は、登場人物たちを物語として掘り下げていくのがテーマになっています。楽曲の中で自分を投影する存在というだけではなく、ちゃんと生きている感覚を、皆さんに感じて楽しんでいただきたくて作りました。今後も、楽曲に出てくる登場人物がどのような人間性なのかも感じていただきたいですし、『narrow』のように、楽曲同士がつながるきっかけがあれば、そういった演出もしながら、より楽曲をストーリーとして楽しんでいただけたらいいなと思っています。

――『コリレイトラス街』のパスワードについてヒントはありますか?
楠木 より深く楽しんでくださっている方が見つけられる場所にあると思いますので、隅々まで楽しんでいただければと思います。

――ファンの方へメッセージをお願いいたします。
楠木 初めて4曲全てが描き下ろしの3rdEP『narrow』をリリースさせていただきまして、新たな一歩を踏み出した印象があります。これから有観客ライブも控えていますし、より一層楠木ともりの音楽を楽しんでいただけるものを皆さんにお届けしていきたいと思っておりますので、応援のほどよろしくお願いいたします。

櫻井靖之

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