• 『永遠の831』神山健治監督がタイトルに込めた思い、本作の魅力を語る
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2022.01.14

『永遠の831』神山健治監督がタイトルに込めた思い、本作の魅力を語る

(C)神山健治・CRAFTAR・WOWOW/「永遠の831」WOWOW

WOWOW開局30周年記念として、2022年1月30日(日)に放送・配信予定の神山健治監督・脚本による新作長編アニメ『永遠の831(はちさんいち)』より、神山健治監督のインタビューが到着した。

本作は『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ、『東のエデン』シリーズなど数々の名作を送り出し、また新たな取り組みで全世界から注目を集めているアニメーション監督、脚本家の神山健治が監督・脚本を務める新作長編アニメ。2022年1月30日(日)よる8時よりWOWOWプライムで放送、WOWOWオンデマンドで配信開始となる。

本作の放送・配信を前に、神山健治監督のオフィシャルインタビューをお届け!
完全オリジナル作品の本作。着想のきっかけや、「永遠の831」のタイトルに込められた思いとは一体!? そして、「世代によって見え方が全然違う」と監督が語る、本作品の魅力とは。


Q,本作は神山監督のオリジナル作品ですが、 企画の着想のきっかけをお教えください。
あるドキュメンタリーで、特殊詐欺に加担する若者が、犯罪という自覚はあるんでしょうけど、それは経済行為で、我々は止まっているお金を動かしているんだって話していて。それが、今の若者たちが社会に感じていることなんだなと思って。
もう一つは、社会にコミットできなくなった人が「夏休みの最終日を永遠に生きている。」って言っていたのがきっかけです。これはすごく、いまの時代を象徴しているのかもしれないと思って、その辺を題材に物語を作ってみようかなと思ったのがスタートですね。

Q.制作期間中の2020年に「新型コロナウイルス」が発生し、世界中が未曽有の危機におちいりました。作品を作る上で、脚本や演出に影響はありましたでしょうか?
本格的に脚本を書き始めたのも、新型コロナウイルスが流行りだしたときだったので、特殊な状況下の中で、その状況を作品に取り入れていくべきか、そのことは忘れてそれまでの世の中の延長として描くべきか、悩んだ記憶があります。ただ、これは避けては通れないし、その渦中で脚本を書いていたわけですから、最終的には、直接的ではないけれども、その状況を作品のなかの設定として描いていく判断はしました。

Q.「永遠の831」というタイトルに込めた思いは?
日本が “失われた20年” 、なんなら “30年” になるのではと言われ、 “失われた30年” のうち “10年” くらいは良しとして、中盤から「なんで変われないの」と思ったり、ガラパゴスと言われ始めたりして、誰が見ても日本の経済が止まっていることが顕在化してきて。それでも尚、前に進めない日本の状況を、「時間が止まってしまう」能力を持った主人公の心理状態を通して、何かうまい言葉で表せないかなと思っていて。
そんなときにドキュメンタリーをみていて「夏休みの宿題が終わってない」っていう焦りがあるなかで、「でも明日学校が始まっちゃうんだよ。ずっと8月31日でいたい。」っていう。それがただの8月31日じゃなくて、宿題が終わってないという、なんとも言えない気持ちのまま、8月31日を向かえていて。それがずっと続くという、ものすごく嫌な気分と、ある種の快楽が両方存在してるという。だからこそ前に進めないのかもしれないとか思ったときに、潜在的にはみんな思っているけどなかなか言葉にできないことを表現しているんじゃないかと思ってこのタイトルにしたんです。

>>>インタビューの様子を見る(写真4点)

カメラマン:中川容邦

(C)神山健治・CRAFTAR・WOWOW/「永遠の831」WOWOW

カメラマン:中川容邦

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