• 『明日ちゃんのセーラー服』はなぜ “作画がいい” のか?
  • 『明日ちゃんのセーラー服』はなぜ “作画がいい” のか?
2022.02.05

『明日ちゃんのセーラー服』はなぜ “作画がいい” のか?

(C)博/集英社・「明日ちゃんのセーラー服」製作委員会

「作画がいい」というのは、ファンがアニメ作品を賞賛する際によく使われる言葉だ。
『明日(あけび)ちゃんのセーラー服』は、今年1月から放映スタートした新作の中でもそう表現されることが特に多い1本と言える。

主人公は、田舎の名門女子中学に入学することになった少女・明日小路(あけび・こみち)。
その学校の制服であるセーラー服を着ることに憧れていた小路は、母親のお手製のセーラー服に身を包んで入学式へと向かうが……周囲の同級生たちはみんなブレザー制服? 何と学校の制服は、かつてのセーラー服からブレザーへと変わっていたのだ!
そんな驚きからスタートした小路のキラキラを輝くような中学生ライフを、柔らかなタッチで描くこの作品。たくさんの “初めて” を体験してく小路や周囲の友達の青春の日々を観ていると、思わず応援したい気持ちになる。
そんなこの作品にとって、「作画がいい」ということはとても重要かつ必要不可欠なポイントだ。

“作画がいい” とはどういうことか?  ——そうあらためて考えると、作品ごとに必要とされる表現はさまざまで、実は簡単には定義できない。
だが、少なくとも『明日ちゃんのセーラー服』の特徴として指摘されている “作画のよさ” は、小路はじめとした登場人物の仕草のひとつひとつが些細なものから大きなものまで、とても丁寧に描写されているということだろう。

顔のデザインや表情芝居などはアニメーション的にデフォルメされており、それはそれで大いに魅力的だが、瞬間的な動作は非常にリアルだ。
象徴的なのは第1話冒頭、小路が田んぼのあぜ道でバック転からのアクロバットを披露するシーンで、助走から踏み切り、身体をひねって宙を舞うしなやかな姿が印象的に描写される(結果、用水路に着地してしまい濡れネズミ、という流れもチャーミング)。
その後も、長い髪を結わえたり、憧れのセーラー服をついに身に着けたり、といった動きが細かくリアルに描かれる。
派手でトリッキーなバトルアクション等は、アニメーションの “華” として注目されることも多かった。

一方で日常的な動作は、地味だが身近なだけに不自然さが目立ちやすく、作画が難しいとされる。
近年はそうした “日常芝居” にもファンが着目するようになり、制作側もその丁寧さに注力することも多く、『明日ちゃんのセーラー服』も、そうした傾向に位置づけられる作品であるのは間違いないだろう。

(C)博/集英社・「明日ちゃんのセーラー服」製作委員会

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事