• 『大怪獣のあとしまつ』を観たらチェックしたい!変化球怪獣映画5選
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2022.02.14

『大怪獣のあとしまつ』を観たらチェックしたい!変化球怪獣映画5選

帯刀アラタ(山田涼介)も驚くトンデモ怪獣がまだまだ存在した? (C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

2月6日に公開された『大怪獣のあとしまつ』(監督:三木聡/松竹・東映系公開中)が公開直後、ものすごく話題になりました。映画の賛否は置いておいて、幼稚園時代に『キングコング対ゴジラ』(1962)を観て以来、怪獣ファン歴60年を超えるわたしにとって、その賛否はともかく、怪獣映画が話題になること自体が嬉しいことでした。
なお、わたしが思う本作の問題点というかポイントは、観客の多くが『シン・ゴジラ』(2016)的な真面目な(?)怪獣映画を期待したのに、映画はコメディ仕立てになっていた点ではないかと考えています。しかし、テレビドラマ『時効警察』の三木監督なのだから、真面目な作品を作るわけがありません。同じ三木監督の映画『インスタント沼』(2009)は、イントロから飛ばしながら設定紹介をしているが、本作も似た趣があり、かつ、ラストに大ネタを持ってくるところなど構成がかなり似ていると思います(内容は全然ちがいます)。

とにかく、この映画を非難する方たちを、映画に登場する下品でよくわからない例え話をする国防大臣風に言うならば「懐石料理を食べに来たのに、パクチー山盛りのタイ料理を出されたので怒っている感じ」でしょうか。あっ、わかりやすい上に、下品でないから国防大臣風ではありませんね、失礼しました。
公開前にプロデューサーの方からも「極めて不良性の高い作品です。広い心で観てください」とメールをいただいていたので、わたしは広い心で鑑賞しました。たしかに冒頭の気恥ずかしいエヴァ風の文字の羅列(字をもっと平体にして、字詰めに気を使うともう少し良くなると思う)や、笑えない(むしろ引く)下ネタのオヤジギャグとかは気になりました。が、それはそれ、これはこれ。監督がやりたかったのだから諦めましょう。そうそう、書き忘れていました。実はこの映画、舞台は日本ではなく、日本に似た、別の世界の話です。それがわかる部分は各所にあります。
はい、というわけでこの話はここまで。気になる人は是非ご覧ください。

まずは怪獣映画の系譜を追っていきましょう。その始祖は1914(大正3)年に公開されたアニメ映画『恐竜ガーティ』です。実写映画では1925(大正14)年公開の無声映画『ロスト・ワールド』でしょう。ただし、この2作に登場するのは架空の生物である怪獣ではなく、ブロントザウルス(※当時はそう呼称していました)など、太古に生息していた恐竜でした。オリジナル性をもった巨大生物である怪獣が登場するのは『キング・コング』(1933)からです。
その後、時代はずーっと飛んで1950年代になると、当時の世相(東西冷戦、宇宙開発競争、核の恐怖)を反映し、『原子怪獣現わる』(米・1953)、そして『ゴジラ』(1954)が登場、続々と怪獣映画が作られるようになります。興味深いのは巨大なゴリラ型怪獣『キング・コング』で怪獣映画が始まった米国は、その大半は実在の生物が巨大化した巨大生物もの、オリジナルデザインのゴジラを産んだ日本では、既存の生物とは異なる姿形の怪獣を世に送り出していきました。

そして1965年、日本で怪獣ブームが起こります。そのブームを追い風に1966年から始まったのが『ウルトラQ』、『ウルトラマン』の怪獣もののテレビシリーズです。さらにブームに乗って、それまでゴジラシリーズを中心にした怪獣映画の独壇場だった東宝を追いかけて、大映が『大怪獣ガメラ』(1965)、東映が『怪竜大決戦』(1966)、松竹が『宇宙大怪獣ギララ』(1967)、日活が『大巨獣ガッパ』(1967)と各スタジオが怪獣映画を世に送り出したのです。その後も第二次、第三次怪獣ブームが起きていきます。

ブームになると、その波にのるべく、さまざまな怪獣がいろいろな作品に登場します。先に書いた日活や松竹の単独作もそうですが、変わったとこでは『サンダーバード 劇場版』(英・1966)に登場する、火星怪獣 “ガンジャ” があります。通常は岩山に擬態していて、近づくと本性をあらわし攻撃してくる一つ目の宇宙怪獣です。
なお、ガンジャとは日本公開版のときに付けられたネーミングで、原語では “ロックスネーク” と表記されています。岩の蛇=岩蛇、音読みでガンジャになるわけで、なかなかうまいネーミングです。ちなみに、『サンダーバード』のテレビシリーズでは怪獣は登場せず、巨大なワニが出現するのみでしたが、英国で放送時に発売されていた雑誌では、オリジナルデザインの宇宙怪獣とドラゴンの写真が発表されていました。これは両方とも雑誌オリジナルのコミック用に考えられたもので、デザインとミニチュア製作は、のちに映画『エイリアン』(米・1979)で、フェイスハガーなどを製作したロジャー・ディケンによるものでした。

(C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

アニメージュプラス編集部

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