【線が少ない分、細かいニュアンスを大事にしていた】――本作は、アクションシーンだけでなく、細かいしぐさや表情の変化などの作画も魅力的です。特にボッジは言葉を発さないキャラクターですが、その感情が伝わるよう作画面で工夫されていることはありますか?野崎 ボッジの口は基本Vの字なんですけど、シーンによって「もう少しほほえみのVで」とか「もう少し食いしばったVで」とか、監督から指示をもらっていました。線が少ない分、ほんの少しの加減で印象が変わってしまうので、そういった細かいニュアンスを大事にしていたかと思います。
第一話で自分が原画を担当したボッジがカゲと出会うところは、監督からかなり細かくボッジの心情を教えてもらいました。「ボッジは意外と物怖じしないから、カゲのことを怖いとは思っていない。でも、このときは緊張して固まっちゃって恥ずかしいって思っている」という説明を受けて、目線や眉毛の動きでそんな感情の機微を表現できるよう工夫しました。
――自分の仕事以外で、本作の魅力を大きく押し上げているパートはどこだと思いますか。野崎 全部のパートですね(笑)。それぞれのセクションが素晴らしい仕事をされていると思うのですが、あえてひとつ挙げるとすると、背景だと思います。最初の頃はまるで気づいていなかったんですが、完成した映像を観て「画面全体の見え方を、すごく考えられている……!」って驚きましたから(笑)。
――たとえば、どういう部分でしょうか。野崎 キャラクターはディティールがないデザインなので、たとえば暗がりに入ったときには紺色でベタっと塗られてしまって、まるでシルエットのように見えてしまうんです。でも、美術監督の金子雄司さんがけっこう背景に他の色味を入れてくださったことで画面全体がのっぺりした感じに見えなくて、他の場面でも画面全体の調整をしてくださっています。たぶんキャラクターデザインを尊重してくださった上で、背景に取り組んでいただいているんだなと感じています。
【さいごに】――いよいよ『王様ランキング』は最終話を迎えます。視聴者の方へメッセージをお願いします。野崎 最終話は前話数の作業が終わったスタッフから順に参加していって、皆さんの力が集結したかなりクオリティの高い話数になっています。その分、見ごたえもしっかりありますので、最後まで観ていただけるとうれしいです。
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(C)十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング」製作委員会