• 劇場版『からかい上手の高木さん』挿入歌は島にちなんだ「楽しい思い出」
  • 劇場版『からかい上手の高木さん』挿入歌は島にちなんだ「楽しい思い出」
2022.06.08

劇場版『からかい上手の高木さん』挿入歌は島にちなんだ「楽しい思い出」

劇場版『からかい上手の高木さん』より (C)2022 山本崇一朗・小学館/劇場版からかい上手の高木さん製作委員会

6月10日に公開の『劇場版からかい上手の高木さん』で主題歌「はじまりの夏」、挿入歌「ハマボウの花」を担当する大原ゆい子。彼女は、テレビシリーズ全3期でオープニングテーマと挿入歌を手がけてきた、言わば『高木さん』の音楽面の顔だ。
「言わないけどね。」や「ゼロセンチメートル」など高木さんと西片の心の距離感を歌ってきた彼女が、劇場版でイメージしたものは何か? インタビュー後編は挿入歌制作の裏話に加え、『高木さん』シリーズの音楽の魅力や高木さん(CV:高橋李依)が歌うエンディングテーマの魅力についても話を伺った。(後編/全2回)


■『高木さん』のアニメが好きで本当に良かった、「ありがとう~!」という気持ち。

――挿入歌「ハマボウの花」についてですが、こちらもシナリオを読まずに?

大原 普段、挿入歌を書く時は、脚本をじっくり読ませていただいた上で書くんですけど、これもほとんど読まずに書きました。

――でも挿入歌なので、どういうシーンで流れるかが決まっていますよね?

大原 はい。「こういうシーンで流れます」という、ざっくりとした部分はうかがいました。高木さんと西片がとあることで一生懸命がんばって、その結果楽しい日々を過ごすのですが、その先にちょっと寂しくなることがある、といった感じです。で、間奏部分に2人のセリフが重なります、と。でも基本的には、切なさを全面に出すのではなく、楽しい夏の思い出をフィーチャーして書いてほしいというオーダーでした。それで、「じゃあ脚本は読まないほうがいいな」と。

――なるほど。間奏が長いのは、セリフが入るからなんですね。ちなみに「ハマボウの花」は、白い花だったりするんですか?

大原 いえ、黄色い花です。ストーリーを知っていると、そう思うかもしれませんね(笑)。「ハマボウの花」は小豆島のことを調べていた時に出てきた花で、四国や九州地方の暖かい場所で夏の時期に咲く、日本では少し珍しい花だそうです。「へえ~素敵だな~」と思って花言葉を調べたら、「楽しい思い出」という今回のテーマにぴったりのものだったんです。それで、少し歌いにくい言葉だけど、〈ハマボウの花〉と歌詞に入れてタイトルにも付けました。

――カントリーチックな楽曲で、まさしく楽しい思い出の曲というイメージでした。

大原 「ハマボウの花」の編曲はMANYOさんで、第2期の挿入歌「君と光」や第3期の「風見鶏を見つけて」など、挿入歌のアレンジをいつもお願いしていて。『高木さん』シリーズにおけるMANYOさんの編曲の中では珍しく、やさしく柔らかい音色が広がるアレンジにしていただいています。そんなサウンドに乗せて歌うのは、私もとても楽しかったです。

――『高木さん』シリーズでは、これまで第1期の「言わないけどね。」、第2期の「ゼロセンチメートル」、そして第3期の「まっすぐ」と歌ってきました。劇伴も含めて、『高木さん』シリーズの音楽における魅力は、どんなところにあると思いますか?

大原 親しみやすさがあるところは、大きな魅力だと思います。自分で自分の曲を「親しみやすい」と言うのは照れくさいですけど、エンディングテーマや劇伴も含めて、日常感を感じさせるところが一貫していますね。劇伴も、テレビアニメではリコーダーが使われていたり、ピアノの音とか、シンプルで可愛くて、日常でも流れていそうだなと思う音や曲が多いので、私たちが暮らしている日常にも、溶け込みやすいんじゃないかと思います。それに作品を通して、音楽にもやさしい空気感があるなと思いますね。

――それはオープニングテーマや挿入歌、今回の主題歌にも通じている。

大原 はい。しっかり作品性を理解して、それを形にしようと力を注いでくださる、編曲のお二方やミュージシャンの皆さんのおかげだなと思います。

――メロディ的な部分では、口ずさみやすさとかは意識していますか?

大原 実際に口ずさみやすいかどうかは別にして、「口ずさんでほしいな~」とは、いつも考えています。アニメのオープニングテーマなら、口ずさんでもらった時に、きっと可愛く聴こえるメロディなんじゃないかと思って作っています。今回はそこまで可愛さは求めませんでしたけど、「はじまりの夏」はキャッチーに、「ハマボウの花」はフワッと聴いてもらえる曲にしたいと思いました。

――今までのオープニングテーマ「言わないけどね。」、「ゼロセンチメートル」、「まっすぐ」と高木さんと西片の距離感がテーマになっていました。「はじまりの夏」は、何をテーマにしましたか?

大原 中学3年生の夏、「みんなと一緒に過ごせるのは本当にこれが最後だよ」っていうのが、私の中では大きかったです。中3の夏って部活とか進路のこととかもあるけど「どうか大切にしてほしい」という気持ちを込めました。「これからその夏が始まるんだよ!」って、どう過ごすか自分なりに考えてほしいと思って、考える時間を明け渡すようなイメージが自分の中にはありました。

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事