• 古谷徹を導いた『ククルス・ドアンの島』安彦キャラの見事な「お芝居」
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2022.06.25

古谷徹を導いた『ククルス・ドアンの島』安彦キャラの見事な「お芝居」

(左から)アムロ・レイ役/古谷徹さん、安彦良和監督 撮影/真下裕

現在公開中の安彦良和監督作『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は、ガンダムシリーズの原点であるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』、そのシリーズ中でも異彩を放つ第15話『ククルス・ドアンの島』を完全映画化。『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』の劇場公開から40年の時を経てRX-78-02 ガンダムとアムロ、そしてお馴染みのホワイトベースの仲間たちが登場する物語が展開されていく。

今回、ついに安彦良和監督と主演のアムロ・レイ役/古谷徹さんの対談インタビューが実現! インタビュー前編となる今回は、テレビシリーズでの二人の出会い、劇中で新たに描かれたアムロ像について、演者と監督のそれぞれの立場からその思いを語ってもらった(全2回)。

――79年放送のテレビシリーズ『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイ役を古谷さんが演じられると聞いて、安彦さんは当時どのような感想を持たれましたか?

安彦 あの頃の古谷さんは『巨人の星』の星飛雄馬の印象が強かったから、「大変な人に主役を頼んだものだな」と思ったね。既に有名だったから絶対に制作側から出演を依頼したものだと思っていたけど、随分後になって「オーディションだった」と聞いて驚いたんだよね。

古谷 アムロ役は、完全にオーディションでしたね。

安彦 シャア役の池田秀一さんも『次郎物語』で有名な子役出身の方だったから、きっと土下座して出演交渉したんだろうと思っていたら……。

古谷 そんな馬鹿な(笑)。

安彦 だから、「よりによって星飛雄馬に頼まなくてもいいじゃないか」って思ったんだよね。だって、星飛雄馬と言えば熱血キャラでしょ? こちらとしては真逆のイメージだと思ったからね。

古谷 飛雄馬のイメージだとしたら、アムロとはまったく違いますよね。

――実際に声を聞かれてみての感想はいかがでしたか?

安彦 古谷さんは随分意識して声を作ってらっしゃったけれど、第一声の「ハロ、今日も元気だね」というセリフを聞いた瞬間、やっぱり「星飛雄馬だ!」って思っちゃった(笑)。でも、古谷さんが入ってくれたおかげで随分メジャーな番組になったものだなとは思ったね。

――古谷さんは『機動戦士ガンダム』に関わる段階で、安彦良和というアニメーターの存在はご存知でしたか?

古谷 いや、失礼ながら存じあげませんでした。当時は直接お会いしてないですよね? 多分、打ち上げの時にもお顔を拝見した記憶がないので。

安彦 打ち上げなんてやったの?

古谷 最終回のアフレコ後に、新宿の小さいレストランでやったんです。その時は、録音関係者だけだったかもしれないですね。

安彦 じゃあ会ってないね。僕は声優さんとは本当に面識がないから。

――意外ですね、お会いするまでには随分と時間がかかったとは。

古谷 長いと思います。劇場版の舞台挨拶とか、そういうところで初めてお会いしたのではないかなと。

――古谷さんはアムロのキャラクターデザインやキャラクター性に最初に触れた際に、どのような印象を持たれましたか?

古谷 僕はそれまで、他のロボットものも含めて星飛雄馬に代表される熱血ヒーローキャラクターをやってきていました。それは自分としてもすごくジレンマがあって……叫んだり熱い台詞を言うと全部星飛雄馬になってしまっているというイメージがあったんです。

安彦 アムロの前にも、他のロボットものもやっていたんだ?

古谷 はい、『鋼鉄ジーグ』『グロイザーX』『氷河戦士ガイスラッガー』で主人公をやらせていただきました。演者としてワンパターンになっているなと感じている時、戦いたくないヒーローであるアムロと出会いました。
普通の……というか、むしろ内向的でおとなしい主人公を演じる機会が得られたことで、自分のワンパターンから抜け出せるなという思いで臨みました。

――テレビシリーズ第15話「ククルス・ドアンの島」に対して、古谷さんはどんな印象を持っていましたか。

古谷 全体のストーリーから独立していて、しかも敵の兵士との心の触れあいを描いている、とても良いお話という印象がありました。戦災孤児の話も含めて、考えさせられるテーマを扱っているな、と思っていました。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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