• ウルトラマンベリアルと歩み続けた10年間 小野友樹インタビュー
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2022.07.01

ウルトラマンベリアルと歩み続けた10年間 小野友樹インタビュー

(C)TSUBURAYA PRODUCTIONS

7月1日(金)に完結を迎えた『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』。PV公開からファンの間で話題となったのが、悪に堕ちたウルトラ戦士・ベリアルの並行同位体(別時間軸の同一人物)であるウルトラマンベリアル アーリースタイル(以下、アーリーベリアル)とベリアロクの共演だ。ウルトラヒーローと敵対するアブソリューティアンと手を結んだアーリーベリアルだが、ベリアロクや並行同位体の自身の息子・ウルトラマンジードとの邂逅によって、その心境に変化が生じる。

そんなアーリーベリアルとベリアロクを演じるのは、2012年放送『ウルトラゼロファイト』以降、ベリアルを演じ続けている小野友樹さん。今回は小野さんに収録の裏話、ベリアルやベリアロクへの想いを語っていただいた。
※インタビューの後半に『運命の衝突』最終話のネタバレを含む箇所がございます。ご注意ください。

◆原点の『ゼロファイト』、息子への愛を感じた『ジード』◆

――ウルトラマンシリーズの思い出をお聞かせください。

小野 世代的に直撃だったのは『ウルトラマンG』で、ヒーローショーや展示会などのイベントに連れて行ってもらった記憶がありますね。ウルトラマンシリーズはほかの特撮作品と違って「ある作品を熱心に観ていた」というより、フィギュアやゲームで遊んでいたことが思い出に残っています。特にスーパーファミコンの『ウルトラマン』は熱心に遊んでいました。あのゲームはスペシウム光線を最後に撃って怪獣を倒さなければいけないんですが、間違って説明書を捨ててしまいまして。スペシウム光線の撃ち方がわからずに、最初の敵のベムラーとずっと戦っていた覚えがあります(笑)。

――『ウルトラゼロファイト』でウルトラマンベリアルを演じると最初に聞いたときの印象はいかがでしたか?

小野 よく覚えているのが、アベユーイチ監督が『黒子のバスケ』の火神大我の声を聞いてオファーしたとお話してくださったことで。「あの声の迫力でベリアルを演じたらどうなるのか聞いてみたかった」と伺い、『黒子のバスケ』がウルトラマンにつながったことが面白く、とても嬉しかったです。

――当時ベリアルを演じるにあたって、意識されたことは?

小野 僕はそれまではどちらかというと正義の側に立つキャラクターを演じる機会が多く、本格的な悪役を演じることはベリアルが初めてで。最初は悪役としての迫力を出すために大声で喋ったり、限界まで声を太くしたりして演じたんです。でも、監督からは「もっと悠然と構えてほしい」とディレクションをいただいて。「来たなゼロ」というセリフも「来たな、ゼェロ」と言うように、声に力を入れず迫力を滲ませる方向で演技をしました。

――その後、小野さんは『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズに至るまで、さまざまな作品でベリアルを演じてこられました。

小野 『ゼロファイト』では力を抜いて余裕のあるベリアルを演じましたが、監督が変わるとわかりやすくお芝居に威圧感を求められることも多くて。アベ監督と作ったベリアルはベースにありつつもそこにこだわらず、「今のベリアルはこうなんだ」と捉えて演じています。

――これまでベリアルとして出演した作品の中で、特に記憶に残っている作品は?

小野 『ウルトラマンジード』です。「まさか我が息子が主役になる日が来ようとは」と驚きました(笑)。悪のボスといえば最後の最後に姿を現す美学もある中で、『ジード』のベリアルは作品の序盤から出させていただいたことも印象深くて。『ジョジョの奇妙な冒険』で例えるなら、第5部『黄金の風』でジョルノ・ジョバーナの父親のDIOが生きていて、ずっと出ずっぱりみたいな状況ですよ(笑)。

――『ジョジョ』のキャラクターでは、アニメで小野さんが主人公・東方仗助を演じた第4部『ダイヤモンドは砕けない』の吉良吉影に近い印象もあります。

小野 確かにポジション的には吉良ですね! DIOのような存在でありつつ、吉良くらい出ずっぱりで(笑)。

――『ジード』のベリアルを演じて、ほかに印象的だったことはありますか?

小野 息子であるジードとの対話の場面は、やはり印象に残っています。ジードに語りかける言葉や接する温度から、悪に染める思惑がありつつも、そこに愛情があったと演じながら感じていました。それは『大いなる陰謀』で、宇宙警備隊として人々を救っていた時代が描かれてからより実感しまして。それまでベリアルを “純粋悪”と表現することもありましたが、生まれながらの悪ではないからこそ、息子を想う気持ちがあったのかなと思いました。

――正義から悪へと転身した複雑なメンタリティに、ベリアルの魅力があると思います。

小野 ベリアル自身の性格が災いした部分もありますが、もしかしたらウルトラマンシリーズの中でも、かわいそうな存在なのかもしれないです。感情の動きがリアルで、とても人間くさいんですよね、ベリアルは。逆にライバルのウルトラマンゼロとかは真っ直ぐすぎます(笑)。


>>>ベリアル登場シーンの場面カットなどを見る(写真6点)

(C)TSUBURAYA PRODUCTIONS

アニメージュプラス編集部

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