• ドラマ『推し武道』振り付け:沢口かなみに聞く!ライブは7回観て!
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2022.11.25

ドラマ『推し武道』振り付け:沢口かなみに聞く!ライブは7回観て!

(C)平尾アウリ・徳間書店/「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC

好評放送中の実写ドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』。
今回のドラマではアニメで好評だった劇中歌『ずっと ChamJam』ほかをドラマのキャストがカバーしている。実はこの曲だけでなく、アニメで音楽を担当した日向萌さんや音楽プロデューサーの寺田悠輔さんなど音楽周りのスタッフは、アニメの音楽を手掛けたスタッフが再集結、音楽チームとしてドラマの音楽も担うという珍しい座組だ。

また、アニメ『推し武道』における楽曲『ずっと ChamJam』の振り付けを担当した沢口かなみさんも、今回のドラマでChamJamキャストへの振り付け指導や、新たに『Fall in Love』の振り付け制作を担当している。
今回も音楽プロデューサー、ポニーキャニオンの寺田さんに協力いただき、《音楽》と切っても切れない「振り付け」からドラマ『推し武道』の魅力を探っていきたく、振付師の沢口かなみさんにお話をうかがった。

>>>ドラマとアニメの場面カットを見る(写真18点)

◆はじまりは『ずっと ChamJam』◆

――今回のドラマ『推し武道』では、アニメの音楽チームがそのままドラマも担当するという面白い座組になっています。沢口さんもアニメのときから作品に参加されているんですよね。

寺田 はい、沢口さんにもアニメの振り付け制作から入っていただいています。ただ、僕はアニメ音楽に関しては劇中歌ではなくて劇伴メインの担当だったので、アニメのキャラクターソングプロデューサーの横尾(勇亮)が沢口さんにお声掛けしたのが最初のきっかけですね。

沢口 そうですね。

寺田 アニメのときに「作画の参考用に、先に実写でダンス映像を撮ってもらえないか」という相談が制作チームからありまして。沢口さんには振り付け制作に加えて、その参考映像撮影にあたってダンサーの方のコーディネートもお願いしていました。

――今回の実写化、ドラマのお話がきたときの感想をお聞かせください

沢口 寺田さんから直接お話を頂く前に、「実写化決定」というのを原作単行本の帯で見たんです。実写化するんだ、でもアニメとは違う方が関わって、アニメとは違うものになるんだろうなと最初は思っていたんです。そこからしばらく経って、寺田さんからご連絡いただきました。

寺田 アニメの放送が終わって、ちょっと時間が空いてからでしたね。

沢口 そうですね。まさかやらせてもらえるなんて思っていなかったので、本当にシンプルに「ありがとうございます」っていう感じでした。

――アニメのときに作った振り付けは1曲分全部あったんですか。

沢口 1ハーフくらいですね。たしか1番のサビ終わりとラスサビまで。

寺田 まずは必要なところを作っていただいた感じです。

――原作に一部ダンスのポーズの絵もありますが、どういう風に取り込むんですか。

沢口
 『ずっと ChamJam』に関しては、ひとりずつの紹介パートでアップの絵があったので、それはマストで取り入れて、そのポーズにつながるように前後をイメージで作っていきました。

寺田 楽曲も、原作に一部歌詞があって、そこから作っていきましたが、振り付けも進め方としては同じですよね。決めのポーズだけあって、それ以外を沢口さんが膨らませるという。

――そういう場合、やりやすいとかやりにくいというのはあるのでしょうか。

沢口 やりやすいですね。決まっている部分があるのは、ある程度正解をもらっているような感覚です。全然なにもない状態で作って「なにかイメージと違うな」となるよりはやりやすいですね。

――イメージに関してのリクエストはありましたか。

沢口 具体的に振り付けはこう、ということではなくあくまでイメージのお話でしたが、ChamJamに関しては「あまり洗練されていない」という感じでしたね。

――1曲の振りを作るのにどれくらいかかるものですか。

沢口 人数や楽曲の長さによっても結構違います。例えば7人組で、フォーメーションありくらいの感じだったら、1日まるっと時間があればという感じです。『ずっと ChamJam』はそんなにフォーメーションの移動はないですが、7人それぞれの違う動きがあるので、その分時間はかかりますね。

寺田 ドラマのダンス撮影がちょっと離れたところであったときに、立ち会いのために一緒に移動していたんですけど、その最中にも作っていましたね。

沢口 景色が移っていく場所って、作業がとても捗るんですよ。新幹線とかすごく捗ります。

――振り付けは頭の中で動かすのですか。

沢口 頭の中で7割くらいまで作って、動ける場所で動いてみてそれが実際できる動きなのか確認します。実際動いてみると、全然想像と違うこともあるので、そこを修正していく感じですね。

――頭の中で7割も出来てしまうんですね。面白いです。

沢口 ダンスは楽曲があるところに対して作っているので、私的には0-1の感覚ではなくて、あるものに足しているという気持ちなんです。楽曲を作ることのほうが、「0から生むって何が起きているの?」という感じがしますね。

――実際にオファーが来て制作する際、どのようにイメージを伝えられて、動きを作っていくのでしょうか。

沢口 レファレンス的に「~ぽい」というイメージがあると、実際にその動きを入れるわけではないですが、頭の中で映像をイメージしやすいですね。基本、制作するときは映像で頭に想い浮かべます。ライブの光景や、MVを想像してみたり。まずはなんとなく映像を浮かべて、このときにこういう大きな動きをしていそうとか、このときにみんな密集して歌っていそうとか。そういうイメージから作っていきます。

――ちょっと脱線しますが、昨今、日本のアーティストのダンスでも、K-POPの影響が大きいように思います。

沢口 めちゃめちゃレベルが高いので私もすごく見ます。勉強になります。

――K-POPのダンスの特徴ってどんなところでしょう。

沢口 体の使い方のような気がします。細かい話ですが、足の伸ばし方ひとつでも、スタイルが良く見える動き方をしていますね。ポージングひとつとってもそうだと思います。ここを伸ばしたほうが足が長く見えるとか、腰の位置をあげたほうがいいとか、研究されつくされているなという感じがします。

――ダンスって学校でも教えるようになって、これからもっとポピュラーになっていくのでしょうね。

沢口 確かに今はTikTokとかもあってみんな踊れるんですよね。高校生くらいの子たちの振り付けを担当したときに、「ダンスはやったことないけどTikTokはめっちゃやってます」と言っていて。みんな踊ることに恥じらいがないんですよね。踊るのって最初恥ずかしかったりすると思うんですが。

――確かに。歌もそうですよね。カラオケが普及して若い子は生まれたときからあるので、今歌が下手な子って少ない気がします。ダンスもみんな踊れるようになってくるんでしょうね。

沢口 平均値がすごく高くなっていますね。


(C)平尾アウリ・徳間書店/「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC
(C)平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

アニメージュプラス編集部

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