• 『ルパンVS複製人間』クールで自由奔放な「男の生き様」に酔う1作【金曜ロードショー】
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2023.04.28

『ルパンVS複製人間』クールで自由奔放な「男の生き様」に酔う1作【金曜ロードショー】

『ルパンVS複製人間』サントラCDジャケット。ここからも、本作のイメージが感じ取れる  原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV

4月28日(金)21時より日本テレビ系〈金曜ロードシー〉にて『ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』が放送される。
1978年に公開された本作は、アニメ『ルパン三世』シリーズの記念すべき劇場版第1作。
粋で、セクシーで、クールで、自由なルパンの世界が詰め込まれた、アニメ映画史に残る快作だ。
5月5日放送の『ルパン三世 カリオストロの城』と合わせて2周連続放送。ゴールデンウィークはルパンの魅力にどっぷりと浸かってみよう!

物語は「ルパンが処刑された、鑑識の結果、遺体は間違いなくルパン本人のものであると確認された」という衝撃からスタートする。
そして、ルパンの死を信じられない銭形警部の前に死んだはずのルパンが姿を現し、相棒の次元大介、石川五ェ門とともに、エジプトのピラミッドから “賢者の石” を盗み出す。
ルパンに盗みを依頼したのは峰不二子だった。ルパンから石を受け取った不二子は、その石を「マモー」と名乗る謎の人物の元へ持っていくのだが……。
賢者の石に隠された秘密とは何か? マモーの正体と目的とは? “処刑されたルパン” とは何者なのか? そこに隠された驚きの “真実” とは!?

本作の制作当時、アニメ『ルパン三世』は幅広い年齢層を意識した親しみやすい内容の第2シリーズが放送中で人気を博していたが、一方で70年代後半に盛りあがったアニメブームで年長のアニメファンが増加した影響で、原作のアダルトな雰囲気を基調とした1971年放送の第1シリーズを再評価する声も高まっていた。
そんな時代背景で作られた本作『ルパンVS複製人間』は、TVシリーズとはかなり雰囲気を異にしている。
原作の絵柄に近いスタイリッシュなデザインのキャラクターは強烈な魅力を放っており、画面全体に大人っぽい空気が感じられるのは、本作の大きな魅力。
また、当時注目を集めていた“クローン技術”を題材としたストーリーはルパンとマモーの対決を軸にハードかつスリリングに描かれる、やがて世界各国を巻き込んだ想像以上にスケールの大きなドラマへと展開、『ルパン三世』らしい破天荒さやマンガ的ケレン味も存分に盛り込まれている。
▲公開当時に紹介された本作のキャラクターデザイン(アニメージュ1978年11月号より)

もちろんルパン、次元、五ェ門、銭形、それぞれの生き様や矜持、それぞれの関係の味わい深さを感じ取れる場面もふんだんに登場し、お馴染みのメンバーの魅力も満載。
異色の敵役・マモーも強烈な存在感を放っている。
さらに特筆すべきは、事件に深く関わる峰不二子の色気が、シリーズ諸作品の中でも群を抜いている点。表面的な描写のセクシーさもシリーズ屈指だが、ルパンに対する想いやマモーとのやりとりで見せる女心――あえて “乙女心” とさえ表現したくなるような不二子の繊細な感情は、本作のストーリーの重要な要素のひとつとなっている。

そして最後に注目したいのは、本作の主題歌。
映画のEDに流れるのは、大御所・三波春夫が朗らかに歌い上げる『ルパン音頭』だ。
クールでハードなストーリーが終幕した瞬間に流れ出す能天気な「音頭」……映画本編と主題歌とのミスマッチ? だがこの曲、実は原作モンキー・パンチが作詞(補作詞は中山大三郎)、作・編曲は大野雄二で、実は歌詞も曲も『ルパン三世』の世界の王道を象徴しているのだ。
世界を巻き込む大事件に関わり、時には命がけの勝負を繰り広げながら、あくまでも陽気で、軽快で、能天気で、自由奔放――マモーとの激闘をくぐり抜けた末に『ルパン音頭』に込められたルパンという男の生き様を感じること。それが本作最大の喜びと言えるだろう。

原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV

アニメージュプラス編集部

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