2022年に宮﨑駿監督の不朽の名作『千と千尋の神隠し』を英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード翻案・演出により世界で初めて舞台化した本公演は、主人公・千尋役を橋本環奈と上白石萌音のWキャストが演じたことも話題を呼んだ。
2024年3月から新たにスタートする再演では橋本、上白石に加えて川栄李奈、福地桃子も千尋役として名を連ねることが決定し、4人の千尋によってさらに磨き上げられたステージが繰り広げられる。
2024年の4~8月にかけてはロンドンでの公演も決定し世界中から注目を集まるこの舞台に、新たなヒロインたちはどんな気持ちで挑むのだろうか。初インタビューで、現在の気持ちを率直に語ってもらった。
――舞台の原作となる映画『千と千尋の神隠し』にはどんな印象をお持ちでしょうか。
川栄 私はジブリ作品の中でも『千と千尋の神隠し』がいちばん好きです。映画版を初めて観たのはまだ子供の頃だったので、千尋が10歳の小さい子だと意識していませんでした。今、あらためて見返すと、幼い千尋の一生懸命さが素敵だなと親のような目線で感じます。
福地 私も原作が好きで、3歳の頃に初めて観たことが強く記憶に残っています。幼心に感じたのは、でてくる生き物たちの力強さに衝撃を喰らったという感じ。そして「(千尋は)よく、こんな世界に飛び込んでいくな」ということ。奇妙な雰囲気がずっと漂っていて、怖いけれど目が離せないという印象でしたが、大人になって見返すと、キャラクターの人間味やひとつひとつの場面がとてもリアルに感じられます。もしかしたら、そういうリアルさがあるからこそ、子供でも真っ直ぐに信じることができるのかもしれないなと思います。
――では、舞台版『千と千尋』の魅力はどこにあると感じますか。
川栄 本当に映画そのままの登場人物の再現度や、パペットなどの技術も凄くて、細部にまでこだわった演出が本当に素晴らしいと思いました。また、橋本さんと上白石さん、それぞれが演じる千尋がまったく違っていて。上白石さんの千尋には最初から芯の強さが感じられるし、橋本さんの千尋は10歳の明るくて無邪気な女の子が表現されていて、どちらもとても魅力的。
さらに、他のキャストの方々も日によって変わって、組み合わせ次第でまったく違う作品になるので、何度観ても凄いのだろうなと思います。
福地 生の空間で聞こえてくる音、演じられる方によって変わる動き、その二つが組み合わさることで生まれる楽しみも舞台の魅力。また一つ一つのシーンに千尋が持つ愛らしさが詰まっていてそんな動きを肉眼で見られる、聞くことができる贅沢さが舞台にはあるんだと感じています。不安を抱えながら登場してくる最初の姿から、空気が風のように流れて風景が変わっていく中で、自然と逞しく見えてくる。すごいものを観たなと印象に残りました。
そんな素敵な作品に自分が携われるということにとても感動しています。これまでの稽古の映像などを拝見して感じた、キャスト、スタッフのみなさんの熱量や想いをを繋ぐという気持ちで参加したいと思っています。