• 安彦良和が「マイ・バック・ページズ」で理解した己の物書きの姿勢と道筋
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2021.01.04

安彦良和が「マイ・バック・ページズ」で理解した己の物書きの姿勢と道筋

新刊「マイ・バック・ページズ」で自身のキャリアをふり返った安彦良和さん

『機動戦士ガンダム』『クラッシャージョウ』ほか数多くのアニメ作品に関わり、現在は漫画家として活躍されている安彦良和さんのキャリア史をまとめた書籍「安彦良和 マイ・バック・ページズ」が太田出版より発売された。
氏の信頼を得たライター・石井誠さんによってまとめられた500ページ越えの大著は、多岐に渡った安彦ワークスの裏側に迫る貴重な内容を楽しむことができる。

全2回となるインタビュー記事の前半は、安彦さんと石井さん両氏に本企画の立ち上げ、そして取材時のエピソードを伺った。

安彦 俺に話を聞いてもしょうがないよ。これは石井さんの本で、こっちはただ訊かれてエーウー唸ってただけだからさ。

――唸っただけで500ページの厚い本になるわけがないじゃないですか(一同笑)。まず今回の企画は、石井さんから出たものだそうですね。

安彦 えっ、そうなの! 初めて聞いたな。

石井 僕の持ち込み企画なんですよ。3年ほど前、たまたま病気で入院していた時、立川の「『クラッシャージョウ』4K極上爆音上映」に外出許可をもらって観に行ったんです。入院でメンタルが弱っていたのもあると思うんですが、その時に楽屋で安彦さんからかけてもらった言葉がとても嬉しくて、「何か安彦さんの役に立ちたい!」と考えていたら、この企画を思いついて。その後『(機動戦士ガンダム)THE ORIGIN』の最後の取材の際に軽く打診をしてみたら「いいよ」と言って頂けたので、そのまま「CONTINUE」の林和弘編集長に相談して、連載できることになりました。

安彦さんのこれまでの足跡をふり返る類似書として斉藤光政さんの「原点THE ORIGIN」、杉田俊介さんんの「安彦良和の戦争と平和」、「革命とサブカル」もありましたが、こちらはキャリア史になるので、多分内容は被らないだろうと。

――近いところで過去を振り返る仕事が重なることになったわけですが、安彦さん的にその辺りはいかがですか。

安彦 かみさんに「あんた、昔話が好きねェ」と言われたけど(苦笑)、頼まれたから喋っているだけでね。こっちはまだ現役のつもりでやっているわけだから。

石井 その後『ヴイナス戦記』の久々の上映イベントがあって、その時安彦さんから「上映後に自分の気持ちが変わるかもしれないから、取材はそこから後で」と言われたんですよ、その時は少しヒヤリとしましたが。

――ああ、本書によると安彦さんは、長く『ヴイナス戦記』のことを忌避されていたんでしたよね。そこに触れられなくなると、確かに取材の根幹が揺らぐ可能性が。

安彦 えー、覚えてないな。まあ気分がへこむかも、と思ったんだろうね。幸い、そうはならなかったから良かったけど。

――安彦さんは、ライターの石井さんにどういう印象を持たれていましたか。

安彦 もうなんぼ世話になったか……何かと言ったら石井さん、っていう感じですよ。気の置けないライターさんで、随分長く付き合ってもらっているものね。

石井 はい、かなり前から取材でお世話になっていたんですが、『THE ORIGIN』のガイドブックの仕事からお話を聞く機会が増えたことから顔を覚えて頂いて。

安彦 安心して話のまとめをお願いできる人ってそうそういないんですよ。その点、石井さんならまず間違いない。

――そんな石井さんが聞き手だったからこそ、今まで語ってこなかったことも素直に話せた、みたいなところも……。

安彦 あったでしょうね。そういう意味での警戒心はなかったな。



アニメージュプラス編集部