1月15日(日)19時よりBS12トゥエルビ〈日曜アニメ劇場〉にて、2002年に劇場公開された映画『千年女優』が放送される。本作は『東京ゴッドファーザーズ』、『妄想代理人』、『パプリカ』などの個性的な作品を世に送り出すも、2010年に47歳の若さで亡くなった今 敏監督の代表作であり、日本国内のみならず世界中に今監督の名を知らしめた歴史に残る傑作だ。今監督は『千年女優』という作品が誕生した経緯について、2002年に刊行された著書『KON’S TONE「千年女優」への道』(晶文社)に記しているが、そこで明かされた『千年女優』誕生に際し重要な役割を果たした “三つの言葉” を紹介することで、『千年女優』がどんな映画なのかを語ることができる。
最初のきっかけは、今監督の前作『パーフェクトブルー』を観た本作のプロデューサーが、今監督に「『パーフェクトブルー』みたいなのをやりましょう」と話を持ちかけたことだった。
「一体、どの “みたいの” でしょう?(どんな意味で “『パーフェクトブルー』のようなもの” と言っているのか?)」と返した今監督に、そのプロデューサーはこう答えたそうだ。
「騙し絵みたいなことかな」そのひと言に喜んだ今監督は、新しい企画に前向きになったそうだ。
これが一つめの言葉だ。
やがて今監督はさまざまなアイデアを出し、いずれを新企画として動かすか模索を始める。
その中から作品の形態、予算、制作状況などさまざまな事情も考慮して最終的にひとつの企画が具体的に動き出すことになるが、その企画の元になったのは次のようなアイデアのメモだったという。
「かつて大女優と謳われた老女が自分の一代記を語っている筈が、記憶は錯綜し、昔演じた様々な役柄が混じりはじめ、波瀾万丈の物語となっていく」これが二つめの言葉で、そこにはすでに『千年女優』という映画の基本的な枠組みがあり、このまま〈あらすじ〉として紹介してもよいほどの根幹が表現されている。
(C)2001 千年女優製作委員会