• 『ガンダムSEED』の出発点「虚空の戦場」が示す戦時下の青春のリアル
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2023.08.25

『ガンダムSEED』の出発点「虚空の戦場」が示す戦時下の青春のリアル

(C)創通・サンライズ

ファン待望の「ガンダムSEEDシリーズ」最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が2024年1月26日に全国の劇場で公開される。それに先駆け、『機動戦士ガンダムSEED』(HDリマスター)を3部作に、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(HDリマスター)を4部作に再編集したスペシャルエディションの劇場上映が決定した。

アニメージュプラスでは、全7作と共に「ガンダムSEEDシリーズ」の魅力を振り返るコラム連載をスタート。第1回となる今回は、8月25日公開の『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 虚空の戦場 HDリマスター』と共に、『ガンダムSEED』という作品がガンダムシリーズにおいてどんな位置にある作品かについて触れていきたい。

C.E.(コズミック・イラ)70。遺伝子調整によって生まれた新人類=コーディネイター(プラント)と旧人類=ナチュラル(地球連合)の軋轢は、「血のバレンタイン」を引き金に武力衝突へと発展。
ある日、中立国の工業コロニー、ヘリオポリスで学ぶコーディネイターの少年キラ・ヤマトは、ザフトによる「G」奪取作戦に巻き込まれ、その最中にザフトのラウ・ル・クルーゼ率いる「クルーゼ隊」メンバーとして「G」奪取作戦に参加したかつての親友アスラン・ザラと再会する。
「G」奪取作戦はヘリオポリス全体を巻き込む戦闘へと発展し、キラは学校の友人たちを守るため唯一奪取されなかったストライクガンダムに乗り込み戦闘に参加。そのままキラと仲間たちは地球連合軍の最新鋭艦であるアークエンジェルに乗り込み、成り行きから連合軍の本部がある地球・アラスカを目指すことになるが――。
▲否応なく戦いの渦へと巻き込まれていくキラ

『機動戦士ガンダムSEED』(以下『ガンダムSEED』)のテレビシリーズ放送がスタートしたのは2002年10月。『機動戦士ガンダム』(以下、『ガンダム』)放送20周年記念作品である『∀ガンダム』(富野由悠季監督)から3年後に放送された本作には、以下の3つの要素を強く感じることができる。

まずは、原点である『ガンダム』の世界観を現代的視点で再構築=リビルドすること。『ガンダム』では、スペースコロニーに住む宇宙生活者=スペースノイドと地球連邦政府の戦争に巻き込まれた少年少女のドラマが描かれた。『ガンダムSEED』もこの基本的なコンセプトは踏襲しながらも、設定自体がアップデートされている。
本作では宇宙に生きる次世代の人類=コーディネイターを生み出したことにより、「種」としての対立・断絶が描かれることとなった。理屈云々以前に「お互いの存在を認めない」という立ち位置で複雑化していく問題の根深さは、現実の世界で起こっている戦争と共通するリアルを観る者に突き付けた。

二つ目は、そんな戦争のリアルを新しい世代に伝えるキャラクタードラマのアプローチだ。高い知能や身体能力を持つコーディネイターは即戦力として若い世代をザフトに投入しているため、キラは同世代の少年少女を敵にして戦うことになる。中でも、お互いを知り気遣い合う幼なじみのアスランとの戦いは切なさを極め、立場や育った場所によって友情が引き裂かれる様から、観る者は戦争の残酷さを味わうこととなった。
▲ナイフを向けた敵が自分の幼なじみと気づき、ショックを隠せないアスラン

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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