• 【必殺仕置人大全】編著者が語り尽くすファン感涙の徹底研究本誕生の秘密
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2023.11.24

【必殺仕置人大全】編著者が語り尽くすファン感涙の徹底研究本誕生の秘密

「必殺仕置人大全」表紙 (C)松竹・ABCテレビ

金をもらって恨みをはらす殺し屋たちを主人公に、テレビ界の常識を覆す設定や展開、斬新な表現手法で人気を博したアウトロー時代劇「必殺シリーズ」。その魅力を多彩なスタッフインタビューから炙り出した『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』(共に立東舎)を上梓したライター・高鳥都の最新刊が『必殺仕置人大全』(かや書房)だ。
熱い支持を集めるシリーズ屈指の傑作に様々な角度から迫る濃厚な内容は話題を集め、早くも重版が決定。異例の1万部を突破した。うるさ型のファンをも唸らせた一冊はいかにして誕生したのか、高鳥氏にお話をうかがった。

――新刊発売後の反響はいかがでしょうか。嬉しい反応、意外な反応など印象的なものがありましたらお教えください。

『必殺仕置人』『新必殺仕置人』に特化した単行本というのは、ありそうでなかった企画なので、ありがたいことに反響は上々です。また入門編のガイドブックを兼ねて合計67話の全エピソードを掘り下げるという、なにより自分が読みたい必殺本が世に出て、そこに需要があるという状況が嬉しいです。

重版が決まって初めて通読したのですが「超おもしろい本じゃん!」と素直に思いました。執筆中は、もう次から次でなにを書いているかもわからず……漫画家の唐沢なをきさんがXで「全ての必殺マニアが待ち望んでいた究極本」とポストしてくださって、「いつになくワイルド」と文体にも触れてくれたのですが、たしかに読むとヘンな勢いがある(笑)。

――改めて、今回の書籍を企画されたきっかけは? 

立東舎からスタッフ中心のインタビュー集『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』を出しまして、その反響からオファーをいただきました。
実は『必殺シリーズ秘史』の基である「必殺シリーズ深掘りインタビュー」を連載していた雑誌『昭和39年の俺たち』を発行する一水社と本書の版元・かや書房は同じグループ会社で、社長が大の映画ファンなんです。「うちでも必殺本を出そう!」となり、ならば50周年の『仕置人』だろうとスタートしました。

――高鳥さんから見た『必殺仕置人』の魅力とは、どんなところにありますか。

自由でワイルドな作品というところです。念仏の鉄(山﨑努)、棺桶の錠(沖雅也)、そして中村主水(藤田まこと)の3人を中心に元締不在、自分たちの怒りからチームを結成し、金と引き換えに仕置を敢行するアナーキーさ、荒削りな魅力があります。
対して『新仕置人』のほうは、シリーズ10作目ということで洗練された映像の中に組織の掟という枷があり、しかしレギュラー陣によるノリノリのアドリブがぶっ込まれるので、やはり自由を感じます。まず自分たちを「悪」と定義しているし、最近ブームの世直し系YouTuberとは格が違う。もちろん仕置人と同じことを実行したら大変ですけどね。再生回数は稼げると思いますが。
▲「必殺仕置人大全」より

時代劇といえば堅い、暗い、難しいというイメージもありますが、そういう既成概念をぶっ壊してくれます。わたし自身、高校生のころ再放送で出会った『仕置人』第1話「いのちを売ってさらし首」の衝撃が、本書の根幹にあるんです。

――インタビューを中心とした2冊とは違い、今回の書籍は全方位から『仕置人』に迫ったバラエティブックという印象です。構成にあたって意識されたこと、何らかのガイドになったものなどはありますでしょうか。

作品をソリッドに突き詰めるというのが、まず意識した点です。ほぼ裏方に特化した立東舎のインタビュー集もそうですが、バランスのよい本づくりといったことは考えず、とにかく愚直に全67話を解説していく。1話につき4ページで「あらすじ」「解説」「ゲスト出演者」「シナリオと本編の違い/ロケ地/そのほか」「次回予告」「エンドクレジット」を載せていく。今回もまた「やるなら徹底的にやれ!」という工藤栄一イズムを踏襲しました。
▲「必殺仕置人大全」より

一番構成の参考にしたのは特撮関連の書籍です。ファンが多いだけあって、その手の本も充実していて、うちの本棚にある『怪奇大作戦大全』(双葉社)と『ウルトラセブン研究読本』(洋泉社)を真似しました。
『怪奇大作戦大全』は各話のクレジットを最後にまとめるのではなく律儀に毎回載せていて「これだ!」と思ったんですが、劇作家の中島かずきさんが双葉社の編集者時代に『怪奇大作戦大全』を手がけ、かつ『必殺仕置人』の本を企画されていたことをXで知って驚きました。当時は権利関係が難しかったそうで実現に至らず、そんな中島さんが「高鳥さんのこの本で大正解」とポストしてくださったのは、嬉しかったです。

(C)松竹・ABCテレビ

アニメージュプラス編集部

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