【機動戦士ガンダムSEED】『遥かなる暁』を目指し傷つくキラとアスラン二人の道程

◆憎悪の連載が引き起こすキラとアスランの死闘◆
作中に登場する人々の想いは、いずれも切実で共感できるものばかりだ。しかし、戦争という状況の中で各々の想いはすれ違い、衝突し、互いに裏切り裏切られ、悲しみも憎しみもより深くなってしまう。特に本作『遥かなる暁』には悲劇的な展開が濃縮して詰め込まれており、観ていて胸が締め付けられるような瞬間が多い。

その中でもキラとアスラン、それぞれの想いと二人の関係の描写はやはり圧倒的に切ない。
戦火の中で敵対することになった二人は中立国オーブで再会した時、互いの心の奥底ではまだ友情が生きていることを確認する。しかし、その先には取り返しのつかない悲劇が待ち構えていた。

戦いの中キラはアスランの、そしてアスランはキラの大切な友人の命をそれぞれ奪ってしまう。その出来事を通して二人の心に生まれる深い後悔と憎悪は、もはや抑え込むことができぬほどに膨れ上がり、遂にその感情が激しくぶつけ合う瞬間が訪れる。
憎悪の連鎖に飲み込まれたストライクガンダムとイージスガンダムのスリリングな死闘は、見応えあるアクションと悲しみを湛えた内容となっており、観る者に最大のテンションをもたらしてくれる。

◆新たなる希望、それは「自由」と「正義」の力◆
しかし、物語は悲劇だけでは終わらない。
死闘の果てにどん底まで落ち込んだキラとアスランが、そこからいかに立ち上がるのか――その復活の過程こそが『遙かなる暁』のクライマックスであり、また最大の見どころとなっていく。
その鍵を握るのは、大破したストライクとイージスに代わって登場する2体の新たなガンダムだ。

キラの愛機となるのはフリーダムガンダム。
アスランが乗り込むのはジャスティスガンダム。
「自由」と「正義」という、あまりにも真っ直ぐで、だからこそ強い言葉を背負って悲劇と憎悪――そして戦争という巨大な “敵” に立ち向かっていくキラとアスランの勇姿をぜひ本編で見届けてほしい。

新たなる力と共に逞しく復活する少年たちの姿は、それまでに描かれた悲劇が深く重いからこそ、巨大なカタルシスを与えてくれるはずだ。

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