• 【沈黙の艦隊】原作者・かわぐちかいじが感動した実写ドラマとOVAの魅力
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2024.02.16

【沈黙の艦隊】原作者・かわぐちかいじが感動した実写ドラマとOVAの魅力

(左から)「やまと」セット内の大沢たかお氏、かわぐちかいじ氏 (C)2024 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES.原作/かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』(講談社「モーニング」所載)

1988~96 年に「モーニング」(講談社)で連載された大ヒットコミック「沈黙の艦隊」を原作として実写化、昨年秋劇場公開された映画『沈黙の艦隊』が、未公開シーンをふんだんに加え、その先で展開する東京湾で勃発する大海戦のエピソードまでを描く全8 話の完全版連続ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』として、現在Prime Videoにて世界独占配信中だ。
原作者はこの実写化をどう受け止め、新たな『沈黙の艦隊』の世界をいかに楽しんだのか。かわぐちかいじ氏にお話をうかがった。

――今回のドラマシリーズに先駆けて、昨年9月に劇場版が公開されています。その時の反響や感想で特に印象に残ったものはありましたか。

かわぐち やっぱり潜水艦の場面、 特に(1話の)「たつなみ」が出港していく場面の迫力に皆さん驚かれています。実際の潜水艦ではないと出せない存在感があって、やはり自衛隊の協力はありがたかったですね。

あとは海江田と深町の人間関係でしょうか。原作では同期となっていましたが、ドラマでは二人の間にある過去の経緯が描かれていたので、よりそういう部分を楽しめたという話も聞きました。

――そもそも『沈黙の艦隊』実写化の話が出た時、かわぐち先生の思いはどういったものだったんでしょうか。

かわぐち  物語のスケールやテーマの問題があることから、正直実写化はしんどいだろうという不安感をずっと持ち続けていましたが、制作スタッフの方たちと対面させて頂いた時に「もしかしたらこれは完成できるんじゃないか?」という可能性を掴んだのと、何より大沢(たかお)さんから「絶対にこれを完成させます」という熱意を感じましたね。そこから不安感よりも、原作のキャラクターたちをどんな人たちがどう演じるんだろうという興味の方が強くなって、これは挑戦する価値はあるんじゃないか、という気持ちになったわけです。

―― 大沢さんの人間力に惹かれた、ということが大きかった?

かわぐち  大沢さんの「この問題はこう解決させます」という作品完成に向けて先を見た話をされている姿を見た時、海江田のメンタリティーに通じるものを感じたんですね。海江田も未来を構築するエネルギーと青写真を持って行動しているわけで、そこが(海江田を)演じる上で一番大事なことだと思っているんです。大沢さんにはそういう精神性を感じさせることができるのでは、と確証を持てました。

―― かわぐち先生が『沈黙の艦隊』執筆を始めるにあたって、テーマとして掲げていたもの、中心にあったものは何だったのでしょうか。

かわぐち 最初から物語の終わりまで考えているわけではなく、実際のところは描いているうちに物語がだんだんと大きくなっていきました。最初にあったのは「潜水艦が独立国『やまと』になる」というイメージで、この器ならいろんな要素を呼ぶこむことができるのではないかということに気が付きまして、そこから逃げずに取り組んだものがこうなった、というのが正直なところです。

――何より潜水艦ありきの企画だった?

かわぐち  そうですね。近未来の潜水艦でやろう、というのは最初から決めていました。そのリアリティを出すためには相当の覚悟が必要だな、とは思いましたけれど、反面非常にワクワクしながら取り組みました。

――本作はスリリングなポリティカルサスペンスであると同時に、優れた人間ドラマでもあります。それだけにキャストの力量や存在感は重要な要素だと思いますが、今回のキャストに関しての印象はいかがでしょうか。

かわぐち 先ほどの話と重なりますが、海江田と深町の間柄は原作ではライバルという関係以上のものは描いていないんですね。でも、大沢さんと玉木(宏)さんの姿を見ていると、二人の因縁、密度の濃い関係性が見えてくるような気がしましたね。
あと、僕の中ではベネット大統領と竹上総理大臣がとても重要なキャラクターだったので、そこは興味深く観ましたね。

――二人とも、原作のイメージからはガラリと変わった印象ですよね。

かわぐち そう、原作のベネット大統領はがっちりしているんですが、実写ではバイデン大統領のような細身のイメージで現在観るとリアリティを感じますね。同じく竹上も当時の総理大臣である竹下登さんをイメージした名前で、ビジュアルは真逆にガッシリとさせたんですが、笹野高史さんの演じた竹上は菅(義偉)元首相のイメージに近くて、これもまた逆にリアルな総理像を提示したんじゃないでしょうか。
あと、個人的に笹野さんの大ファンなので、どういう風に演じられるかなという期待と一緒に嬉しさもありましたね(笑)。

(C)2024 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES.原作/かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』(講談社「モーニング」所載)

アニメージュプラス編集部

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