• キャストとともに作り上げた『デカレンジャー20th』 塚田英明プロデューサーが語る制作秘話
  • キャストとともに作り上げた『デカレンジャー20th』 塚田英明プロデューサーが語る制作秘話
2024.06.16

キャストとともに作り上げた『デカレンジャー20th』 塚田英明プロデューサーが語る制作秘話

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◆俳優陣によって魅力を増した新キャラクター◆

――今作に登場した新キャラクターについて伺います。まずバンの後輩で、プレミアデカレッドに変身する江戸川塁は、『デカレン10YA』の後輩たちと違ってちゃんとした刑事でしたね(笑)。

塚田 あのときは悪い後輩たちでしたけど(笑)、塁はエリートの新人警察官で、彼の目線から20年経ったデカレンジャーたちを見ていく、というのが狙いでした。塁役の7ORDERの長妻怜央くんは以前、『漆黒天 -終の語り-』という映画でご一緒したことがあって、非常に好青年だという印象を抱いていました。キャストのみんなとも仲良くしてくれたし、新しいデカレンジャーをキリっとカッコよく演じてくれて、見事にハマっていましたね。

――今回の事件を経て成長した、塁のさらなる物語が見たいと感じました。

塚田 そうですよね。塁は今の時代の空気を背負っているキャラクターなので、この先のお話が作れたら楽しいだろうなと思っています。



――黒川芽以さん演じるラエンジョ、「アンジュルム」の川村文乃さん演じるモクミスはいかがですか?

塚田 芽以ちゃんに関しては、監督は『テツワン探偵ロボタック』で一年間やっていて、僕も『京都迷宮案内』というドラマのゲストでご一緒したんですが、当時から素敵な女優さんだと思っていました。特殊な設定の宇宙人であるラエンジョはすごく難しい役で、脚本の荒川稔久さんや僕らみんなで考えながら作っていったんですが、「こういう法則でやろう」とするとなかなか成立しないし、調整するうちにほころびが出てきたところもあって。そこを芽以ちゃんが現場で監督や僕に的確な質問を投げかけてくれたり、お芝居の力によって埋めてもらうというか、成立させてくれた感がありました。モクミスは高知と所縁のある方に演じてほしいと考えていて、高知出身の川村さんにお声がけしました。ネイティブに方言のセリフを喋ってくれていて、説得力がすごかったと思います。



――福山潤さんが演じるマープルも、印象的なキャラクターでした。

塚田 福山さんは美香ちゃんが今所属している事務所(BLACK SHIP)の社長で、彼女が「社長を口説いてきます」という形で出演が決まって(笑)。特撮好きなこともあってすごくノッて演じてくれましたし、一つのセリフの中で声色が変わるところも、巧みに切り替えていて素晴らしかったです。

――メインキャラクターの中では、バンとホージーの関係性をフィーチャーしているのがファンとしては嬉しいポイントだったと思います。

塚田 伊藤くんが最初に「ホージーをメインに据えたドラマにしたらどうだろう」と言っていたんです。彼は「林剛史じゃなくてホージーですよ」と言っていましたけど(笑)。脚本づくりの中でいろいろと探り、バンが変わって寂しさを感じるホージー、という線を作っていきました。バンとホージーのドラマが『デカレン』の一つの芯になっている部分もあったし、彼らの話をガッツリやると『デカレン』のメイン回、大事な話をしている感じがして良かったなと思います。

――完成した映像を観て、思い入れのあるシーンを挙げるとしたら?

塚田 難しいですね(笑)。いろいろ印象的なシーンはありますが、福沢さんが撮ってくれたラスタチ(台本上の最後の立ち回り)の疑似ワンカットはとても素敵なカットだと思います。『デカレン』はTVシリーズでは石垣広文さんがアクション監督で、『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』では坂本浩一さんに撮ってもらうなど、いろいろな人にアクションを撮ってもらっていて。今回デカレッドを演じていた福沢さんに、ああいう凄いアクション演出をやっていただけたのは、非常に嬉しかったです。



――『デカレン』はこれまで何度も続編が制作されていますが、塚田さんはファンに愛されている理由はどこにあると考えていますか?

塚田 キャストが作品を愛していて、「またやろうよ」と何度も言ってくれていることは、間違いなく何かを引っ張っているところがあると思います。あと『デカレン』は縦軸をなるべく作らず一話完結で、各エピソードをいつ観ても面白いものにしよう、という発想で作っていたんです。だから翌年の『魔法戦隊マジレンジャー』は、逆に親子の関係みたいな縦軸を強く意識した、大河ドラマ的な作りにしたところもあって。10周年のときも今回も「いつ観ても面白いものを」ということは大事にしましたし、犯罪がなくなることがないと考えると、彼らはいつでも警察官として事件に向き合っていくと思うんです。そこが続編を作りやすい要因で、ファンの方に長く支持していただけるところの一つなのかなと。

――ファンの方はきっと、30周年の新作も期待されると思います。

塚田 どうなんですかね(笑)。『忍者戦隊カクレンジャー』はやっていますけど。でも、今言ったように、その時代の彼らというのはいつでも描ける気はします。声優の稲田徹さん(ドギー・クルーガー/デカマスター役)が、「○○○○○○が出なかったこと以外はとても良かったです」と今回の感想を言っていたから、次があれば出るんじゃないでしょうか(笑)?

――(笑)。最後に改めて今作の見どころをお願いします。

塚田 『デカレン』らしい話で、なおかつ20年の歴史を感じさせるものになっているので、ポップコーン片手に楽しんでほしいですね。また、各キャラクターそれぞれに見せ場、芝居場を作っています。ファンの方は、推しに注目して観ていただくのもいいのではないかと思います。

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アニメージュプラス編集部

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