世界構造が生むドラマ——どんな発想から、この作品の世界観は生まれたのでしょうか?
立川 カブラギとナツメという二人の主人公がお互いに影響を受けながら進んでいくストーリーを描く上で、(それぞれの)ベースとなる立ち位置を大きく変えたかったんです。同じ人間ではなく違う生き物というくらい、バックグラウンドがまったく違う者同士の関係のドラマにしたかった。たとえば、デカダンスで暮らしている人間は、現在の今のわれわれと同じような感覚で生を過ごしています。でも、カブラギたちサイボーグには100年くらい「寿命」があります。それくらい背景が違う二人が影響し合う。特に、サイボーグのカブラギが人間であるナツメの生に影響を受けていく、という物語にしたいと思いました。カブラギが所属している会社「ソリッドクエイク社」がこの娯楽施設を運営しています。その立場からすると、人間もまた娯楽施設の一部であり、いわば会社の「商品」として扱われている存在。本来ならカブラギは「自社の商品」に影響を受けることはないはずですが、ナツメが「特殊な存在」ゆえに影響を受けるということになります。
——第2話でカブラギは、ナツメが「デカダンス」のシステムに存在を認識されていないことを知り、心を動かされていましたね。
立川 「デカダンス」のシステムにとっては、ナツメは存在しないはずの「バグ」です。そしてシステムは、バグを消去しようとします。カブラギはそういうシステムの意図の下に動いている。そのために、ナツメと交流することで自分の立ち位置が揺らいだりすることもあるわけです。
ーー単なる男と少女の関係ではなく、商品を管理する側とそうとは知らずに管理される側。もう一段、複雑な関係にあるわけですね。
立川 たとえば、ナツメはガドルがいなくなることを望み、そのために戦おうとするけれど、ゲームのシステム上、ガドルがいなくなることは絶対にない。でもカブラギはナツメに「ここは娯楽施設だから無駄な努力だ」とは言えないですし、他にも伝えられない事実がたくさんあるから、彼女を止めようと思っても止められない。その結果、ナツメが命の危険にさらされたら助けに行かなきゃいけない……とか。この先、そんな風に世界観や設定とストーリーが絡み合いつつ、カブラギとナツメのドラマが展開していきます。
放送前に公開されていた第1弾キービジュアルと、第2話放送とともに公開された第2弾キービジュアルを2枚並べた時に感じる驚き、違和感、ギャップ。実はそこにこそ、多層構造的にくみ上げられた本作のテーマが隠されている。
なお、ユニークなデザインのサイボーグたちの設定画も下記の記事で紹介しているので、合わせてチェックしてほしい。
>>>サイボーグたちの設定画はこちらの記事で紹介!(C)DECA-DENCE PROJECT