• 監督インタビューで迫る『ミッシング・リンク』超絶映像の秘密!
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2020.11.01

監督インタビューで迫る『ミッシング・リンク』超絶映像の秘密!

(C)2020 SHANGRILA FILMS LLC.





【クリス・バトラー監督インタビュー】

――今回、作品テーマにUMA(未確認生物)を選ばれていますね。日本では70年代にUFOやネッシー、ビッグフットが存在するかどうかが大きな話題となり、私自身も興奮しながらそれらを扱う記事やテレビ番組を追いかけた記憶があるのですが、監督自身にもそのような思い出、体験などはありましたか。

はい、私もあなたと同じように、そういった謎やモンスターが大好きでした。フィクションや神話に登場するもの、そしてネッシーやビッグフット・サスカッチのような話題になったものに魅了され続けていて、このストーリーを作り出したのです。そして今回のテーマがハマると思えたもうひとつの理由は、ストップモーション・アニメの歴史を振り返ると様々なモンスターを登場させたレイ・ハリーハウゼンの作品群、また何といっても「キング・コング」(33年)――本作の祖父的な存在があったからなんです。

――数多いる未確認生物の中からビッグフットを選んだ理由は?

いくつかのストーリーを考えてスタジオでプレゼンしたのですが、そのストーリー全てにライオネル卿を登場させていました。世界中のUMAを追う冒険者として、オーストラリアに生息するというバリエット、また南米のチュパカブラを探す話もあったりしたのですが、今回のビッグフットに決めたのは一番知的な存在……動物でもなければクリーチャーでもない、ひとつのパーソナリティとしてMr.リンクを描きたかったからです。

そして、彼は本作で一番伝えたいテーマにも合致しました。自分の居場所を見つけようとするキャラクターですし、ライオネル卿との組み合わせもバッチリです。何より、貴族出身の英国紳士と猿人が、ストーリーが進むにつれて、お互いにどの場所にいてもそぐわない、似た境遇の持ち主であることが分かってくるのが大切だったのです。

――人形アニメーションで、ここまでの冒険スペクタクルを体験できるとは思いませんでした。ストーリーを作る際には、まずストップモーション・アニメを作るという意識で考えられるのですか、それともまずストーリーを考えてから技術面を詰めていくのですか。

どちらかというと後者ですね。ストーリーを作る時にはまず実現うんぬんよりも最高のもの――自分がそのストーリーで何を伝えたいのか、どんなキャラクターが必要なのかを考えて書いていて、手法が何であれ「映画」であってほしいと考えています。
物語は文字どおり世界を舞台に壮大なスケールで展開する 

このストーリーがストップモーション・アニメにピッタリであったことは嬉しかったですが、やはり他のスタッフと共に実作業に入っていくと制作上の問題が浮き上がってきます。「ああ、スタッフに無茶ばかりお願いして、嫌われてしまうのかも……」と思ったりもしたのですが(苦笑)、ライカというスタジオの素晴らしいところは、そういうことを気にせずに仕事ができる環境であることなんです。これまで素晴らしい作品を作ってきた優秀なスタッフが、ギリギリまでストーリーの実現に向けて頑張ってくれましたよ。
メイキング風景

――監督、もしくはスタジオが手がけた本作の仕事の中でもっともチャレンジングな部分は何ですか。

大きな挑戦だったのは、作品のスケール感です。ストップモーション・アニメの制約というのは、ご存じのとおりセットがどのくらい大きく、また数多く作れるのかというところにあります。13インチのキャラクターたちに合わせたセットは全てが手作りですし、都市の風景や雄大な山脈などを作るのはやはり難しいのです。

しかし実写でも、困難な撮影の部分はSFXやCGを駆使してクリアしているじゃないですか。ライカも同様の姿勢で、人形アニメの持つ手触り感のある昔ながらの魅力をキープしながらも、テクノロジーを使って進化していきたいと考えています。ライカ内には常駐のCGチームがいて、望んだ映像を作り上げるために2D・3Dを問わず様々な手法を取り入れています。同時に進めている2つのセットの撮影で同じパペットが必要になることもありましたが、その際もパペットをグリーンバックで撮影したり、セットの一部を撮影してあとで合成するといった作業を行いました。

スタジオを信じてはいましたが、本当にスケジュールギリギリまでかかったので、できれば次回作の舞台はエレベーターの中にして、登場人物も2人だけにしたいと思っているんですけれど(笑)。

(C)2020 SHANGRILA FILMS LLC.

アニメージュプラス編集部

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