• Zの向きが個性です! マイティコウZデザイナー 倉持キョーリュー
  • Zの向きが個性です! マイティコウZデザイナー 倉持キョーリュー
2021.02.11

Zの向きが個性です! マイティコウZデザイナー 倉持キョーリュー

マイティコウZのデザイナー・倉持キョーリューさんにインタビュー!

テレビ東京系列で毎週月曜日から金曜日あさ7:05から放送中の『おはスタ』内「おはスタ調査隊」にて活躍中のヒーローマイティコウZ。悪と戦うだけではなく様々なことに挑戦したり、変身前の役者さんがスーツアクターも務めるなど、ちょっと変わったヒーローだ。でも外見はかっこいい! そんなヒーローがどのように作られたのか、デザインを担当したデザイナーの倉持キョーリューさんにお話をうかがった。


マイティコウZってどんなヒーロー?



――『マイティコウZ』のお話をきいたときは、どういう印象でしたか。

倉持 元々、会社員デザイナー時代に、お子様向けヒーロー作品の仕事をしていたのですが、フリーになってからは、マニア向けのお仕事が多かったので、お子様向けの仕事をしたいなと思っていたところだったんです。そろそろ恋しくなってきたタイミングでお話をいただいたので、飛びつきました。

――デザインに関してのコンセプトはどういうものでしたでしょうか。

倉持 工場見学などをするヒーローみたいなことをうかがっていて、オーダーでは、歯車のイメージや、『おはスタ』なので太陽のモチーフだとか、イメージカラーが青と赤というお話をうかがっていました。朝の番組にふさわしいような、カラフルな感じ。青空の青に、Zが目立つような、そんなイメージですね。鎧を纏うとちょっと攻撃的になるので、普段着る服装のようなイメージでデザインしています。

――一般的にヒーローというと戦うイメージがあると思いますが、なるほどそういうところで柔らかさを表現しているのですね。

倉持 そうですね。

――いろいろな発注というか、依頼の中で苦労したり悩んだりした点はありましたか。

倉持 スケジュールですかね(笑)。ここ最近では体験したことがないくらいタイトなスケジュールだったのんです。番組に登場するまでのスケジュールを聞くと、僕の後の工程になる造形のほうも大変そうだったので、僕が早くあげないと造形の人も大変になりそうだと気がかりでした。

――実質どれくらいの期間でできたものだったんですか。

倉持 僕の作業自体は、最初のラフを描いて、その後1回だけ色を整えたくらいですかね。その後のスーツの完成がとにかく早かったですね。

プロデューサー 倉持さんにお願いしてからスーツができるまで、1カ月くらいでした。本当に無理なスケジュールですみませんとしか言いようがなくて。半分泣きつきました。

倉持 すごく楽しませてもらいました。ヒーローをデザインしたいという気持ちが僕の中にすごくチャージされていたので。だいぶ気持ちが落ち着きましたね。

――なるほど。倉持さんのモチベーションともうまく合致した時期だったんですね。

倉持 そうですね(笑)。スーツを作ると聞いた時に、タイトなスケジュールで製作できる会社があるのかなと考えたところ、僕が知ってる会社はひとつしかなくて。僕が若いころ、まだ未熟だったころからお世話になっていたレインボー造型企画さんしか思いつきませんでした。

――レインボーさんは倉持さんからのご紹介だったんですか。

倉持 元々連絡されていたんですよね。

プロデューサー はい。ダメ元でメールを送っていました。それと同時に倉持さんにデザインのお話をしていて、「レインボーさんだったらもしかしたら受けてくれるかも」って言ってくれたので、倉持さんのほうからもプッシュしてくださいってお願いしちゃいました。そうしたら最初の打ち合わせで、「倉持さんが描くんだったらやります」って言ってくれたんです。

倉持 本当ですか。ありがたい。




スーツ制作によって変わるデザイン


――スーツを制作するにあたって、デザインを変えた部分などはありますか。

倉持 最初のラフはかなり自由に、服を着ているイメージのヒーローを描いたのですが、最近はダークヒーロー的なキャラクターに関わることが多かったので、黒くてオレンジ色が入ってて目が鋭いデザインだったんですが、いやいや朝の番組だし(笑)、ということで青空のイメージやZが目立つように修正しました。
また、番組内で食レポをするっていう話を後でおうかがいして(笑)。「ええ!」みたいな。どういう番組なのかなって思いながら、マスクの顎が外れるようにとか、今までに体験したことがないものでした。実際の放送でサバカツを食べていたのを拝見させていただいて、よかったって安心しました。
▲番組内ではフルーツも普通に食べている。

――顎が外れるギミックになっているとは気が付きませんでした。

倉持 役者さんの顔にもよると思うんですが、なるべく人間の顔のバランスから崩し過ぎちゃうと、マスクから外した時に口の位置が合わなくなってしまうので、なるべく人間の顔のバランスで描いてはいます。

――スーツを着る櫻井(佑樹)さんが、頭も小さくてスタイルがすごくいいですよね。インタビューさせていただいた時にマスクの小ささを見て驚きました。

倉持 そうですね、僕もびっくりしました。画よりスタイル、体型がよくて、相乗効果で格好いいスーツになっていると思います。
自分でデザインしてますが、実際にデザインしたものが1/1で再現される仕事ってあまりないので、いつもの仕事も感動しますが、ヒーローのデザインはより感動する仕事だと思いました。実際に歩いているのを見ると、とても面白いです。

――櫻井さんをはじめ、今の日本人の体型の変化によって変わっていくこともあるのでしょうか。

倉持 体型すごいですね、本当に。デザインよりもいいということになると、今後はデザインの時点で考え方も変わってくるかもしれないですね。

――アクターさんが櫻井さんに決まってからデザイン的に変わった部分はあるのでしょうか。

倉持 頭身がちょっと変わっているのと、肩幅も広くなっています。なのでイメージからの大きなズレはないと思います。スーツができてから画と合わないとか、体型とスーツが合ってないとか、不具合が生じることもあるのですが、レインボーさんの熟練の技で格好よく調整していただています。襟もよれっとしてなくて、ピンと立ったままで崩れないですからね。

ーースーツアクターの経験のない櫻井さんが演じるということで、当初から普通のデザインとかと違って気をつけたことはありますか。

倉持 工場見学などでの事故が起きないように注意しました。重いものが落ちても大丈夫なように靴に鉄板が入っています。あと甲冑みたいな手だと、物が掴めないとかボタンが押せないとか、また工場の機械などに挟まれることもないように、なるべく指も動きやすい手袋にデザインしています。

――機能的というか、戦うスーツとは違うアプローチなんですね。

倉持 そうですね。生放送に出演するということで、どんなトラブルが起こるかわからないですし、変身前と後を同じ人が演じるというのも、あまり僕は聞いたことがないので。早着替えのためにここを縫い付けておこうとか、ここは厚くしてもスポッと脱げるようにしようとか。早く脱ぐためにはこういうラインが入ってしまうから、ここにデザインを入れようとか。そういう調整もレインボーさんと相談しながら決めていきました。

――スーツ着脱の方法や、ヒーローとしての動き方なども考えて調整していくのですね。

倉持 そうですね、スーツの分割はレインボーさんにお任せします。今回は経験のない役者さんが入られるということだったので、怪我をしたり窒息しないように気をつけました。昔マスクを被ったことがあったんですが、想像以上に「これは大変」ということを体験しました。これを踏まえ、口周りのシルバーのラインの中に空気の取り入れ口があるんですが、それもなるべく空気がたくさん入るような穴をデザインで入れていたりするんですよね。細かい穴がたくさん入っています。また目の周りに黒を多めに描いているんですが、それは覗き穴を大きくするため、視界を良くするための処理なんです。

――前回櫻井さんにお話をうかがった時に、視界は全然問題ないとおっしゃっていました。

倉持 レインボーさんのスキルもどんどん進化してて、僕の提案にさらにもっといい案をのせていただいています。僕は(目の)オレンジのところは見えないのかなって思ってデザインしていたんですが、レインボーさんのほうでオレンジの部分も見えるように新しい技術を使っていただいて。

――素材なども含めて技術もアップしているんですね。

倉持 そうですね。7年前くらいに僕はヒーローのデザインをしていたんですが、いつの間にかCGもデジタル的な進化をしていてびっくりしました。以前は現場で粘土原型を見ながら話し合っていましたが、今は3Dスキャンしたデータが送られてくるんです。

――『マイティコウZ』のデザインの注目ポイントはどんなところでしょうか。

倉持 王道ヒーローにするにはどうしたらいいのかなって考えたときに、マスク側面の「Z」の先が後ろに向かって伸びるパターンは結構あるのですが、前に向かって伸びるのはあまりないと思います。そこがこのヒーローの個性ですね。シンボルマークの「Z」が角状になって、新しい方向に伸びてるっていうのが僕的には新しい要素なんじゃないかと思っている点です。あと、結構顔つきにこだわって描いていたので、唇の形ですとか、ちょっと笑ってるような、余裕のある表情を作れたんじゃないかなと思います。

――口の形状が人間に近い、こういう造形はなかなかないですね。

倉持 昔は結構あったと思いますが、僕なりに唇をデフォルメして、ちょっと微笑んでるような、怖い顔じゃなくて、なるべく優しい顔になるように努力しました。


アニメージュプラス編集部