──この作品や演じているキャラは、ご自身のキャリアにとってどういう存在ですか?浪川 自分を成長させてくれて、声優としての自信ももらえた作品です。自分の中で、「本当に声優の道に進むことが合っているのか?」って一番悩んでいた時期だったんです。2006年はサラリーマンを辞めて声優一本になった年でもあったので、すごく背中を押してくれた作品でした。
──ある意味、浪川さんもロックみたいな状況だったんですね。浪川 ロックほど苛酷じゃないですけどね、僕はまだサラリーマンに引き返すこともできたので(笑)。でも、人生の覚悟という大きな意味では似ていたかな? そこから一緒に歩んでくれた作品ではあります。
豊口 おかげさまで、レヴィは私の代表作の一つになりました。当時こういう役はほぼほぼやったことがなかったので、「できるのかな?」っていう不安しかなかったんです。でも、やるしかなくて。そこでかなり鍛えられました。
それと、相方になるロック役が浪川さんで良かったなって思うんです。もしロック役の方が私と大きく歳が離れていたとしたら、現場できっと私は本当に独りぼっちだった気がして(笑)。浪川さん、こういうタイプじゃないですか。なので相談と言うほどでもないですけど、いつもさりげなく気を遣ってくれて、気持ちの上でも助けてもらえてたので、良かったなって思ってます。
浪川 珍しく良いこと言うじゃん(笑)!
豊口 たまにはね(笑)。まぁ、15年経って改めて「ありがとう」ってことで。
──当時の役者としてのお二人のキャリア的な立ち位置としては、ロックとレヴィとは真逆だった感じですね。豊口 ああ、そうだと思います。浪川さんも浪川さんなりに大変だった部分はあったと思いますけど、どちらかというと……。
浪川 本当に当時の豊口さんは、毎回満身創痍状態で演じてましたからね。
豊口 そう。プレッシャーのあまりご飯が全然食べられなくて。だから浪川さんには、色々支えて頂きました。『BLACK LAGOON』で初めてバディ役をやらせてもらったんですけど、当時別作品でも相手役をやってたこともあり、ロックとレヴィの関係性とともに、私達自身の関係性も上手く作り上げて行けたのかもしれないなって思います。
浪川 そうですよね。会ってじっくり話したのも久しぶりでしたけど、かなりリラックスして話せて。
豊口 「よおっ!」って感じでね(笑)。
──この作品に出会えて良かったことは?浪川 『BLACK LAGOON』の原作の絵の強さ、言葉選びのセンスの良さは圧倒的なんですけれど、アニメ側としても挑戦的で。それをちゃんと踏襲しながら映像として立体的に見せて、音楽で臨場感を出していく。そういう協力プレイが素晴らしいです。
そういう作品に出会えるって、なかなかないことだと思うんです。それは自分にとっても貴重で、すごくキャリアアップになった作品だったと感じています。そういう機会に恵まれたことに、本当に感謝しています。
豊口 「レヴィみたいな感じで(演じて)」と言われることが多い時期がありました。ですから間違いなく私の代表作の一つです。何より、スタッフさんもみんな『BLACK LAGOON』が大好きなんだな! って。自分達が楽しんで作っていることが、視聴者の方たちにも伝わっていた作品なんだと思います。だからこれだけ時間が経っても色褪せている感じはなく、未だに「『BLACK LAGOON』観ました!」と言ってもらえる。そんな素敵な作品に関われたのはすごく嬉しいです。
──『BLACK LAGOON』はいわゆる分割2クールの後、4年ほど間が空いてOVAが作られた、ロングスパンの作品になりました。豊口 2期が終わった時に原作ではロベルタ編が連載中で、3期の時はロベルタ編の次の話を連載中だったんです。そんな感じで、原作でのエピソードが一つ区切りつくと、また新しくアニメができそうだなって。今ちょうどそのタイミングなんですよね。
浪川 僕らもずっとやり続けたい気持ちがあるんですよ。OVAとかそれこそ配信でとか。
豊口 それだ! じゃあU-NEXTさんオリジナル作品として、一つお願いします(笑)!
浪川 いいですね! それが実現できるかはさておいて、今後も続けたいという夢と希望はずっとあります。
豊口 本当に!
>>>浪川大輔さん&豊口めぐみさんの収録風景を見る(写真5点)(C)2006,2010 広江礼威/小学館・BLACK LAGOON製作委員会