6月10日に公開の『劇場版からかい上手の高木さん』で主題歌「はじまりの夏」、挿入歌「ハマボウの花」を担当する大原ゆい子。彼女は、テレビシリーズ全3期でオープニングテーマと挿入歌を手がけてきた、言わば『高木さん』の音楽面の顔だ。
「言わないけどね。」や「ゼロセンチメートル」など高木さんと西片の心の距離感を歌ってきた彼女が、劇場版でイメージしたものは何か? インタビュー前編はテレビシリーズに続いて劇場版の主題歌・挿入歌を手がけることになった思い、そして主題歌「はじまりの夏」がどのような経緯で生まれたのかについて話を伺った。(前編/全2回)
■「はじまりの夏」は、初夏のイメージで島の風景がより想像できる楽曲
――『からかい上手の高木さん』シリーズが映画になることを聞いた時は、どんな気持ちでしたか?
大原 映画化の話を聞いた時は、「えっ! 映画になるんですか?」って驚きました。でもファンの皆さんの熱い気持ちや、アニメを制作されているスタッフさんの愛を間近で感じていたので、当然と言ってはおかしいけど、「こんなに愛されている作品なのだから、そうだよね!」ってなりましたね。
――大原さんは、その主題歌と劇中歌を担当されるわけですけれど。
大原 担当させてもらえるとは、正直思っていませんでした。「担当させてもらえたらうれしいな」くらいで。テレビシリーズとは違って、映画となるとフィールドも大きくなるので難しいだろうなと思っていたんです。だから、私に任せていただけると聞いた時は、本当にありがたい気持ちでいっぱいでした。
――主題歌を作るにあたって、シナリオを読まれたのですか?
大原 映画自体がまだ制作中だったし、シナリオも概要的なものをいただいただけで、深く読み込んでと言うよりも、浅く全体を捉えるような感じでした。だから私自身も予告編を観て、「どこからそういうシーンになるの?」って思ったり(笑)。大体は分かっていますけど、細かいところまでは知らないので、本当にいち視聴者の皆さんと同じ感覚です。
――では、最後のオチとか……。
大原 全然知りません。映画館で観るのを楽しみにしているので、絶対言わないでください(笑)!
――了解しました(笑)。でも、主題歌は「はじまりの夏」というタイトルで、内容を知っている者からすると物語を簡潔に表していて「なるほどね」となったのですが。
大原 本当ですか? 良かったです(笑)。
――でも、オチを知らずに作ったということですよね?
大原 はい。映画の制作サイドからは、今までのテレビシリーズのテーマソングよりも、島の風景がより想像できる、島感があるものにしてほしいと提案がありました。そういう部分で、今までの『高木さん』のオープニングテーマより、ちょっと俯瞰的な視点からの曲になっていると思います。それと「楽曲が流れる映画のオープニングは初夏のイメージで、これから夏休みが始まる2人の情景が流れます」といった情報をいただいたので、「そういう映像に合うものにしよう」と思って、それで「はじまりの夏」と付けたわけです。
――タイトルは最後に?
大原 最後です。いつも曲を先に書くんですけど、曲を書いて歌詞を書いて、最後に「タイトルをどうしようかな」と悩むんですけど、サビに〈まだ はじまりの夏〉と書いたので、じゃあ「はじまりの夏」かなと。