――大原さんと言うとアコースティックギターのイメージがあるので、やはりアコギを弾きながら作ったのですか?大原 いえ、メロディはピアノを弾きながら作りました。歌詞は、ベッドに寝転びながらスマートフォンで書いた覚えがあります。「島感かぁ?」ってブツブツ言いながら(笑)。
――スマホで書いたんですか!大原 私は基本的に、スマホで書くんです。左利きなので文章を書く時は左手なのですが、左手だとすごく支離滅裂な歌詞になってしまうんですけど、右手で書くと割とまとまりよく書ける傾向があるので、歌詞を書く時は右手で書くようにしていて。それで、スマホに右手で打っていって。
――右脳は感覚的、左脳は論理的なものを司る。右手を使う時は左脳が働くというので、理にかなっていますね。大原 そうなんですかね(笑)。左手で書くと全然まとまらなくて、右手で書くのがジンクスのようになっていて。だから今までの曲も全部、右手で作詞してきました。今回は、書き始めてからは結構早かったですね。書き始めるまでの時間がすごく長かったんですけど、書き始めたらたぶん1~2日で書けたんじゃないかと。
――テレビシリーズ第1期・第3期のオープニングテーマを担当されてきた、その経験も役に立ったんでしょうね。大原 はい。今まで観てきた『高木さん』のシーンを、歌詞に取り入れさせていただいた部分もあります。
――歌詞には〈サドル〉と出てきて、自転車の二人乗りの練習をした第1期のシーンが思い出されます。大原 はい。〈雨宿り〉というワードも出てくるんですけど、それもテレビシリーズのシーンに出てきます。そういう印象的なシーンは、今までの楽曲にも散りばめてきたので、今回も入れることでより『高木さん』感が出せるんじゃないかと思いました。
それに、今回の劇場版は今までのテレビシリーズとは違って、初夏とシーズンがキュッと1つに特定されていたので、季節的な情景がすごく見えやすかったです。
――テレビシリーズでは、1クールの中で季節が巡ります。どの季節にも対応できる曲にしなければいけなかったと。大原 そこまで意識していたわけではなかったですけど、季節感よりも世界観を大事にしていました。そういう部分で今回は、世界観はもちろん季節感も出せたなと思います。
――初夏という季節を歌う上で、意識された言葉や音などありますか?大原 楽曲という部分では、編曲してくださった吉田穣さんが、小豆島の波の音などを楽曲の中に入れてくださったので、より夏を感じられるんじゃないかと思います。
――冒頭から波の音が聴こえ、歌詞にも〈波〉と出てきます。大原 小豆島のいいところは、海がすごく近いところです。波の音は日常的なもので、高木さんたちにとっても親しみがあるものだと思ったので、歌詞にも入れました。
――小豆島には、何度か行かれているんですよね。大原 2回行きました。1回目は結構前ですけど、2回目は第3期のオープニングテーマ「まっすぐ」のMV撮影の時です。「はじまりの夏」の歌詞をまだ書く前だったのですが、その時に見た景色はかなり参考になりました。やっぱり見るのと見ていないのでは、全く違うなって書きながら思いました。
(後編に続く)
>>>大原ゆい子さん最新ミニアルバム、劇場版『高木さん』場面カットを見る(写真6点)