動物たちの体のしくみを人間の体で再現したイラストで紹介し、そのインパクト大のビジュアルが大きな話題を呼んだ図鑑「カメの甲羅はあばら骨」が、“ごくごく普通” の高校を舞台にした青春ドラマとして劇場アニメ化された。
本音をあばら骨の中に隠す高校2年生・カメ田カメ郎は、親友のカエル川エル隆と冴えなくも居心地の良い学園生活を送っていた。ある日、カエル川は人助けをしたことから、一躍学園のヒーローに。そのニュースを耳にした生徒会長を目指す学園のスーパースター・ライオン寺ライ王は、自分たち上位グループの仲間としてカエル川を迎え入れる。それを知って嫉妬と劣等感に苛まれるカメ田。2人の友情の行方は、果たして――?本作は豪華キャストも見どころのひとつだ。主役を演じる若手実力派俳優、カメ田カメ郎役/清水尋也さん、カエル川エル隆役/磯村勇斗さんに、本作の魅力やアフレコ時の裏話などをうかがった。――まず、今回の企画を聞いた時の印象からお聞かせ下さい。清水 またアニメ映画で声をやらせてもらえる!と思ったら、図鑑が原作と聞いて「え? え?」と(笑)。でもマネージャーさんから「面白いと思わない?」と言われて気になって、図鑑を読んだら本当に面白くて。実際どんな学園ものになるのかも気になりましたし、好奇心で飛び込みました。
――じゃあかなりノリノリで臨まれた?清水 ノリノリですよ!(笑)
――カメ田のビジュアルを見て、驚かれませんでしたか?清水 いや、笑いました、「何だ、これ!?」みたいな。あと「骨琴って何やねん?」って(笑)。
磯村 本当にね(笑)。
清水 完成した映像を観たら、めっちゃ良い音鳴ってましたね、綺麗な音色でした。
磯村 僕も最初話を聞いた時は「シュールだなぁ」と感じました。絵も一癖あって、だからこそ「やってみたい」と思いました。あとカメ田役を尋也くんが演じるというのを聞いていたので「だったら、それに乗っかっていこう」と。カメ田役が尋也くんじゃなかったら、この仕事を受けてなかったかもしれません。
清水 ありがとうございます!
――清水さんとカメ田のキャラクターにギャップは感じませんでしたか?磯村 感じました。だから俳優・清水尋也が何故これをやるのか? どういう考えで出演に至ったのか。そこにまず興味があったんですよね(笑)。
――清水さんは、磯村さんとの共演を知った時、どう思われましたか。清水 もう「歓喜」です。前からちゃんと共演したいと思っていて、『東京リベンジャーズ』からあまり間を空けずに実現したのが本当に嬉しくて。だから、二人で収録するのが本当に楽しみだったんですよ。
――では、それぞれ演じるにあたってポイントにされた部分がありましたらお教え下さい。清水 カメ田はあばら骨の中に本音を隠していて、心の声とリアルなONの声が作中で混在しているので、そのギャップは表現したいなと思いました。声のトーンや出し方を変えながら彼の二面性――斜に構えていたかと思えばオドオドしたりといった心のコントラストを声で上手く伝えられたら、という部分は一番気を遣いました。
――物語の後半では、カメ田のそういう感情の振り幅がどんどん大きくなって、ひとつの見せ場になっていきます。清水 そうですね。感情のギアを一気に入れるところで、ここは中途半端には見せられないと思ったので大変でした。
――対する磯村さん演じるカエル川は、実に陽気なキャラです。磯村 そうですね、彼の「軽さ」はすごく意識しましたね。骨のあることを言っていてもまったく耳に入ってこないような、カエルがぴょんぴょん飛んで浮いている感じを声質に乗せるように努めました。
あと、おバカっぽい喋り方をしてほしい、と監督から要望があったので、舌足らずで滑舌が悪いところをチャームポイントとして出していこうと。監督の中で演技イメージがあったようで、収録前にいくつかのパターンを演じてみせて、そこから演技の方向性を決めていきました。
――清水さんにも監督からそういった要望はあったのでしょうか。清水 はい。打ち合わせの際に「前提としてあまりアニメっぽい演技は意識しなくていいです。普段の清水さんの演技のテンションや質感がカメ田に欲しい」と言われて、そこはすごく意識しました。声だけだと不安で、どうしてもテンション高めになりがちなのを抑えつつ、しかも感情の爆発もあったりするので、その都度監督の指示を受けながら収録を進めていきました。
――アフレコ作業を進める中で、普段の演技とは違った感覚を味わうところもあったりしましたか。磯村 それは確かにありましたね。
清水 運動で言うと「普段とはちがう筋肉を使っている」みたいな感じですね。
磯村 それ! 正解が出ました、わかるわかる(笑)。
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