• 『大怪獣ブゴン』田口清隆監督が語る「ローカル怪獣映画」の魅力と可能性
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2022.12.07

『大怪獣ブゴン』田口清隆監督が語る「ローカル怪獣映画」の魅力と可能性

(C)別府短編映画制作実行員会


――街のミニチュアは、今回新たに造られたものですか。

田口 建物は「大分怪獣クラブ」の皆さんがもともと展示のために作ったものがあり、それに看板やエアコンの室外機をつければもっとリアルになると思って、そのように手を加えてもらいました。
別府タワーについては、石井那王貴くんという「全国自主怪獣映画選手権」第1回の優勝者で、ミニチュア制作がむちゃくちゃ得意なスタッフが手がけていて、彼の所持している他のミニチュアも本編で使っています。

――元々スーツがあったというブゴンですが、撮影に当たって手を加えたりされたのでしょうか。

田口 元の着ぐるみは口が開かなかったので、ワイヤーで後ろから引っ張ると開くギミックを追加してもらいました。あと頭のトサカをクリアパーツにしてくださいました。太陽光を背にした時に光って見えるのがよかったですね。

本作で主演を務めた青柳尊哉は『ウルトラマンオーブ』(2016)で宿敵ジャグラスジャグラーとして特撮ファンにはなじみがある俳優。そして須藤叶希は『ウルトラマンR/B』(2018)でのゲスト出演や、ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(2022)のワンダーアキュートの声優としても活躍。いずれも田口監督とは商業作品、自主映画を通じて気心の知れたキャスティングだ。

――本作で主演を務めた青柳さん、須藤さんの印象は?

田口 自主映画にも出てもらうくらいに元々気心の合う関係なので、すごくやり易かったですね。今回は方言をちゃんとやろうってことで、事前にシナリオも方言に直してもらって、それを基にした音声データも本番前に渡して、練習してもらいました。青柳くんは佐賀出身なんですけれど、やっぱり同じ九州でも違いがあるらしいんです。

――別府ブルーバード劇場のもぎりのおばあさんは、本物の方なんですよね。

田口 出演された岡村照さんは別府ブルーバード劇場の館長であり、現役でもぎりもやられています。今回の短編映画プロジェクトは、別府ブルーバード劇場を盛り上げようという目的から始まっていて、スタッフのみんなは照さんのために頑張っているところもありますね。森田プロデューサーも照さんに惚れ込んで、別府に移り住んだそうですから。

――現在、別府ブルーバード劇場でしか観られないのは、そういう理由があるわけですか。まさに地産地消の映画ですね。

田口 「東京でやらないの?」ってよく訊かれるんですが、こちらは「東京にいたら何でも観れると思うなよ」って思っているので(笑)。別府に行けば旅情も楽しめるし、温泉も入れるし。

今回、20分の映画というフォーマットはすごく良いものだと思ったんですね。というのも、温泉で来た旅行客って基本映画は観ないじゃないですか。だけど30分以内で入場料1000円なら飛行機のチェックインまでの間とか、温泉入った後の身体を冷ます間みたいな微妙な時間でも楽しめるんじゃないかと。

僕も室蘭出身なので「田舎町をどう盛り上げるか」という問題に興味があるんですが、これはいろんな地方に広がってもいい考え方だな、と思っているんです。怪獣映画で町おこしができるんだったら、今後全国でやっていきたいですね。

>>>別府発の怪獣&特撮に注目!『大怪獣ブゴン』メイキング風景を見る(写真18点)

(C)別府短編映画制作実行員会

アニメージュプラス編集部

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