• 『シン・ゴジラ』樋口真嗣の出発点『ガメラ 大怪獣空中決戦』【日曜アニメ劇場】
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2023.01.21

『シン・ゴジラ』樋口真嗣の出発点『ガメラ 大怪獣空中決戦』【日曜アニメ劇場】

(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ/1995


監督は『1999年の夏休み』(1988)『DEATH NOTE デスノート』(2006)ほか、マンガ原作からアイドル映画まで様々なジャンルを手がける金子修介。そして、脚本を手がけたのはテレビアニメ『うる星やつら』、『機動警察パトレイバー』シリーズなど押井守監督作品でも知られる伊藤和典。金子・伊藤にとって、怪獣映画を手がけることは長年の夢でもあった。
そして特技監督を務めたのは、当時新進気鋭のクリエイターとして注目を集め始めていた樋口真嗣。特撮・アニメに精通するその若々しいセンスは、新生ガメラに新たな息吹を吹き込むこととなる。

本作の大きな特徴は、怪獣映画を成立させる “リアリティ” への徹底的なこだわりだ。
ガメラ、ギャオスという未知なる存在の脅威に対する学者や日本政府・自衛隊の対応、またマスコミや一般市民の反応なども随所に挿入されることで、“もし、現実の日本に怪獣が出現したら?” というIFの世界が展開していく。
そしてガメラやギャオスには、生物的な質感と同時に超古代文明との関係という偽史的・SF的なバックボーンが与えられる。精密なミニチュア美術を背景に生み出された特撮シーンは、野外セットの撮影や人間の目線を意識したカメラアングルによってその実在感をより確かなものへと昇華させていった。

樋口真嗣は後に、盟友と言える庵野秀明とのタッグで『シン・ゴジラ』(2016)『シン・ウルトラマン』(2022)を生み出すことになる。つまり、怪獣映画のリアリティを突き詰めて一種のポリティカル・フィクションとして成立させた2作の方法論の第一歩が本作に刻まれている、と捉えることもできるのではないだろうか。

日本特撮映画の新しい可能性を提示した1作として観客の記憶に、そして映画史の1ページに刻まれる『ガメラ 大怪獣空中決戦』。
もちろん、ガメラとギャオスの大迫力の激闘には怪獣映画ならではの醍醐味も存分に込められており、エンターテインメントとして完成度が高い映画に仕上がっている。
今回の放送で、ぜひ多くの人に〈平成ガメラ〉の魅力の原点を味わってほしい。


>>>迫真の怪獣バトルに注目!『ガメラ 大怪獣空中決戦』名場面を見る(写真8点)

(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ/1995

アニメージュプラス編集部

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