• 各地に伝わる海の民話をアニメ化した「海ノ民話のまちプロジェクト」42作品の上映会が開催!
  • 各地に伝わる海の民話をアニメ化した「海ノ民話のまちプロジェクト」42作品の上映会が開催!
2023.01.29

各地に伝わる海の民話をアニメ化した「海ノ民話のまちプロジェクト」42作品の上映会が開催!

各地に伝わる海の民話をアニメ化した「海ノ民話のまちプロジェクト」42作品の上映会が開催!

「アニメ」とひとくちに言っても、それが意味するものは様々だ。多くのアニメファンが思い浮かべるのは放送や配信で楽しむことができるTVアニメや劇場公開されるアニメ映画など、いわゆる商業アニメーションであることが多いだろう。しかし、それ以外にも多種多様な形のアニメーションがある。
一般社団法人日本昔ばなし協会が推進する「海ノ民話のまちプロジェクト」で制作するアニメーションも、そうしたもののひとつだ。2018年からスタートした「海ノ民話のまちプロジェクト」は、日本各地の海の民話を子どもたちに伝え語り継ぐことを主眼にし、2022年までの5年間で実に42本もの民話を、杉井ギサブロー氏や湖川友謙氏など実力派のスタッフの手によってアニメ化してきた。
その作品上映と併せ、多彩なゲストが登壇して民話をアニメとして活用することの可能性を語るイベント「海ノ民話アニメーション上映会2022」が、1月22日(日)に東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLにて開催された。

>>>会場・ステージ上の様子や作品場面カットなど(写真20点)

●民話に込められた海への思いを次代へ

このイベントは、“次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人がつながる”というスローガンを掲げる、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として開催されたもの。二部構成で行われ、第一部では「海ノ民話のまちプロジェクト」の軌跡をたどりつつ15本の「海ノ民話」アニメを上映、第二部ではさらに27本を一挙に上映した。

第一部にまず登壇したのは、日本財団の海野光行常務理事と女優・作家・歌手として活躍する中江有里さん。
▲中江有里さん

少子高齢化や市町村合併などの影響によって、長年にわたって語り継がれてきた民話が消失の危機に瀕している状況を踏まえ、先人が込めた想いを時代の子どもたちに伝えていくための最良の手法としてアニメを選択したと語る海野常務。柔らかいタッチと親しみやすい画、語りかけるような優しさのある声の作品にしたいという希望を持っていたところ『まんが日本昔ばなし』を制作していたスタッフと出会うことができ、それが可能になったという。

一方、中江さんは「今思えば、子どもの頃からテレビで『まんが日本昔ばなし』を観ていたことで、昔があって今があることをなんとなく知ることができていた。昔ばなしに触れることはとても貴重なのだと思います」と語り、「海ノ民話」をYouTubeで視聴できることの魅力や、各話が約5分と短く子どもでも飽きない長さであることにも着目していた。

▲(左から)日本財団 海野光行常務理事、沼田心之介監督、中江有里さん、今治市産業部交流振興局文化振興課課長 波頭健さん。

続いて登壇した一般社団法人日本昔ばなし協会 代表理事で「海ノ民話のまちプロジェクト」アニメーションでは監督・プロデューサーを兼務する沼田心之介氏は「海ノ民話のアニメ作品は、実際に現地を訪ねて地域ごとに実行委員会を組織し、地元の様々な方々と意見交換をして丁寧に作っています。船で民話の現地に赴くこともあり、地元の人が大切にしてきたことや文化を取り入れています。海の民話が教えてくれることを分かりやすく表現したいと試行錯誤しました」と制作の背景を明かした。

▲沼田心之介監督

沼田監督を始め制作スタッフがロケハンや地元の人々との話し合いを重ねて制作した「海ノ民話」アニメーションは、各話の最後に舞台となった地域や民話が教えてくれることなどをわかりやすく1分にまとめて振り返るという体裁になっており、アニメ作品としてだけでなく、次代を担う子どもたちへ向けた“学び”が盛り込まれているのも大きな特徴だ。

●「海ノ民話」を教育だけでなく商品開発など町づくりにも活用

すでに5年間の積み重ねがある「海ノ民話」アニメーションは、様々な分野での活用も進んでおり、実際に2つの事例が紹介された。神奈川県藤沢市の1902年創業の老舗「中村屋羊羹店」では、江ノ島を舞台にした「海ノ民話」アニメ作品『五頭龍と弁天様』を店頭で上映、アニメに登場した弁天様のキャラクターを商品のパッケージとして商品展開しており、製造が間に合わないほどの人気商品となっているという。

▲『五頭龍と弁天様』(神奈川県藤沢市/2020年)

また、愛媛県今治市では市内の全小学4年生を対象に「海ノ民話」アニメの上映授業を実施したほか、全小学5年生を対象に専門家による「海ノ民話」の出前授業を展開している。

▲『クジラのお礼まいり』(愛媛県今治市/2021年)

その効果について、今治市産業部交流振興局文化振興課課長の波頭健さんは「今治市で伝承されてきた海の民話『クジラのお礼まいり』から得られる学びが一層深まり、地域への愛郷心を高まるきっかけになったという声が教育現場から届いています」と高く評価し「引き続き教育現場で『海ノ民話』を活用し、海から得る教訓や学びを子どもたちに伝えていく」と前向きな姿勢を示した。

▲会場のロビーには『クジラのお礼まいり』と今治市とのコラボで作られた海洋熟成酒も展示されていた。

アニメージュプラス編集部

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