魔法が当然のものとして使用される世界・魔法界の深い森の中で、一人筋トレに励んできた少年マッシュ・バーンデッド。魔法が使えないという秘密を持つ彼は、育ての親レグロとの平安な日常を取り戻すため、魔法学校のトップ「神覚者」を目指すことに――。甲本一が週刊少年ジャンプ(集英社刊)にて連載中のアブノーマル魔法ファンタジーが待望のテレビアニメ化。この規格外の面白さに、キャストはどのように取り組んでいるのか? マッシュ役/小林千晃さん、フィン役/川島零士さん、ドット役/江口拓也さんにお話をうかがった。――さっそくですが、『マッシュル-MASHLE-』という作品の魅力はどんなところにあると思われていますか。小林 世間には様々なジャンルの作品があると思うのですが、この作品はすべてのジャンルの良いところ取りをしているんですね。かっこいいバトルもあれば笑えるギャグもある。しかも、それぞれのテイストが微妙に融合しているところがすごく独特で、ちょっと他に類を見ない作品だと思います。
江口 一言でいえば「気持ち良さ」なんじゃないですかね。要素のバランスもそうですが、観ていてスカッとさせてくれる……ほら、高速でリンゴの皮むきする動画を観ている時に感じるアレですよ(一同笑)。
小林 頭空っぽにして「気持ちいい~!」みたいな(笑)。
江口 そう、そんな風に感情を揺さぶってくれる作品だなと思います。
川島 この現実世界、難しく考えることが多いじゃないですか。だけど、この『マッシュル-MASHLE-』は実に分かりやすく、腹立つことをグーパンでぶっ壊してくれるのがたまらないです。はい、まさに皮むきです(一同笑)。
――皆さんおっしゃる通り、シンプルな快感を与えてくれる作品だと思うのですが、それぞれ演じられるキャラクターは実に多彩な魅力がありますよね。小林 はい。マッシュは一見「脳筋」なんですが、逆に考えるとそこが大きな魅力なんですよね。他のキャラがいろいろ考え込んだり逡巡するところを、自分がやりたいことを一瞬で判断してストレートにぶつけてくる。そういうところも含めて、他ではあまり見られないヒーローじゃないでしょうか。
あと、マッシュはああいうキャラなので、最初あまり感情を出さないシームレスな演技を目指そうと思っていたんです。でも監督から「バトルはカッコよく決めたいので声の張りは強めで」とか「決め台詞はちゃんと決めてください」というオーダーがあったので、日常とのメリハリがしっかりついてくるんです。
――マッシュのカッコ良さの出し方って、匙加減が難しそうですね。小林 そうですね、でも「どこまでやっていいんだ?」みたいなところを少しずつ探っていくことや、それをすることで相手との掛け合いで相乗効果が生まれることを毎回楽しんでいます。
川島 そんなマッシュに寄り添うフィンの目線は、おそらく視聴者の皆さんに近いと思うんですよね。とにかく彼の周りは尖りに尖っていて……。
小林 個性豊かな仲間たちばかりですからね。
川島 きわめて常識的なフィンのツッコミで、作品内の異常な部分が炙り出されるので、非常に大事なキャラクターだと思っています(一同笑)。
――ドットもまた、マッシュとは違った意味で痛快なキャラクターですね。江口 そうですね。振り切ったいろんな表情を見せてくれるので、演じがいはありますが……毎回『マッシュル-MASHLE-』の現場には声が出なくなることを覚悟して臨んでいます(笑)。「今日で俺はダメになってしまうかもしれない……」と。まあ、こちらはそれくらいの気持ちで臨んでいますので、観ている方たちに面白く届くといいですね。
あと、原作にあった歯をガチガチいわせながら喋るシーンを実際にやってみたんですが結構難しいんですよ。同時に二つの音を出すっていうのは、僕の声優人生の中でも初めての経験でした。
――スタッフの反応はどうだったんですか。江口 テスト・本番とやりましたけれど、それに関して何も言われなかったんです。結構強めに鳴らしたんだけどな……。
川島 「うるさいな!」とか思われていたかも(笑)。
小林 「あのガチガチ、あとで消しとくか!」とか(笑)。
江口 どうなんだろう? 果たしてどうなったのか、放送を楽しみにしています(笑)。
(C)甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会