――たかしげ先生が最初に持ち込んだ原稿の時点で、世に出た『スプリガン』の大枠はできあがっていたんですか?たかしげ:そうですね。もう出所がインディ・ジョーンズの『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のラストシーンなんで。いっぱい宝物が重なっているんですけど、あれが全部危ないものだったら大変だなと思ったところからの発想だったんです。そこに、現代劇だから現代性を取り入れたほうがいいのかなと思って、ああいうフォーマットになっていきました。
皆川:僕も原作を読んだときに「これは絶対に『レイダース』が好きなやつが書いてるんだろうな」と思いました。僕もスピルバーグが大好きで、スピルバーグの映画の影響で漫画を描いていた感じだったので、これはもしかしたら話が合うやつかもしれないと思っていましたね。
――改めて読み返してみると、インディ・ジョーンズ的な冒険活劇の側面と同時に、当時の世相や社会情勢も投影されていますけど、これは?たかしげ:そういうのは彼(皆川)が大好きだったんです。そういうの入れようよって。
皆川:若気の至りですね(笑) なんか世の中に対して怒っていたんでしょうね。『朝まで生テレビ』とか観ながら、アホみたいにとんがってた。
たかしげ:そういうものをちょっと入れるのは別に自分も嫌いじゃないんですけど、彼が「学歴社会を入れようぜ」とか言ってくるんで、「わかった、ちょっと考えてみる」とか言って。
皆川:ごめんなさい(笑)
たかしげ:謝らないでくれ、それなりに何とかなったから(笑)
――それが『スプリガン』という作品を多面的なものにしたところはありますよね。たかしげ:そうそう。我ながら言われて書いたわりによくできたなと思ってたし。
皆川:今読むと「恥ずかしい!」ってなるんですけどね。
――連載開始当初はお互い顔を合わせないままに作っていたわけですよね、それはどういうプロセスだったんですか?たかしげ:最初は自分が書いたものを担当がチェックして皆川さんに回すっていう形だったんですけど、仲良くなってからはダイレクトに要求が来たり、今みたいに「こういうのやらない?」って言ってきたり。そういう彼の要求を受けて、やり取りをしつつ転がしていきましたね。
皆川:最初担当のKさんに「とにかく面白くしろ」って言われて。それが一番難しかったですね。さっき話したとおり、デビューするまで僕は漫画を一本ちゃんと描いたことがなかったんですよ。まったく漫画のことを知らなかったから、イチから基礎を叩き込まれましたね。今思うとそこで育ててもらえたことはありがたかったなと思います。最初の「炎蛇の章」のときはまだたかしげさんに会っていなかったので、とにかく怒られながらやっていた印象があります。
たかしげ:でも実際に会うようになってからはだんだんうまくいくようになって、「狂戦士(バーサーカー)の章」ぐらいからは本当にスムーズに進むようになったと思います。
――主人公の優をはじめ人物造形とかキャラクター設定も『スプリガン』の大きな魅力だと思うのですが、ああしたキャラクターはどのように生まれていったんですか?たかしげ:基本は自分のほうで考えましたけど、キャラの肉付けは皆川さんがやってくれました。
皆川:僕は漫画のキャラクターの作り方もよくわかっていなかったので、自分の好きな漫画のキャラクターを思い浮かべながら描いていましたね。望月三起也先生が大好きなんですけど、望月作品に出てくるキャラクターみたいなかっこいいキャラを描こうと思って描いていたら、そしたらいつの間にかキャラクターができていった。
たかしげ:自分も望月三起也というイメージはありました。高校生とかがヒーローになるっていうのも望月先生はやっていたので。
皆川:それでいろいろなキャラクターがどんどんできていったら、今度は「こういうキャラクターが欲しいよね」というのも出てきて。そうやってどんどん増えていきましたね。
>>>TV放送決定記念ビジュアルや場面カットを見る(写真10点)Interviewer:小川智宏
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