◆子どもからの目線を大切に◆――スピカについて、どんなキャラクターだと捉えていますか?伊藤 第一印象はラブリーな見た目通り、かわいい系のキャラクターなのかなと思ったんです。台本を読むとかわいらしいところもあるんですが、しっかり者で芯が通った、みんなに負けない強さを持つカッコいい女の子というイメージに変わりました。
――スピカとレグロスの関係性は、姉弟のようで印象的です。伊藤 スピカはレグロスの面倒をずっと見てあげていて、彼に対しては悩んでいたら背中を押す、姉御肌な一面を覗かせるんです。レグロスを最初に発見したのもスピカで。同じ訓練を受けてつらいことを一緒に乗り越えてきた、固い絆で結ばれた仲間だと思っているんじゃないかなと。
▲スピカ(左)とウルトラマンレグロス(右) (C)円谷プロ
――スピカを演じるうえで、意識したことはありますか?伊藤 子どもたちにも今スピカが泣いているのか、怒っているのか、一つ一つの感情がしっかり伝わるようにお芝居することを大切にしました。特撮のキャラクターは基本的に、表情が変わらないんですよね。スーツアクターさんが体の動きで表現してくださっているのですが、口が動かないことが演じるうえではすごく難しいんです。でもそれが、特撮好きな私がやりたいと思っていたことであり、挑戦できることが嬉しくもあって。私がいちファンとして見ていたキャラクターみたいに、違和感なく感情を声で表したいと思いました。あと、幻獣闘士のみんなは大人から見たらカッコいいんですが、子どもから見たらちょっと怖いビジュアルかもしれないとも考えて。子どもたちに「この人たちはいい人なんだ」と思ってもらえるように、声の表現で印象を丸くすることも大事にしました。
――子どもの目線を大切にして演技をしたんですね。スピカは高速凍豹拳の使い手という役どころですが、戦闘シーンで気をつけたことは?伊藤 鋭く、スマートに一つ一つの動きを決めるイメージで演じました。拳法使いの攻撃は、普通にパンチやキックをするのとは息の入れ方が違うんです。自分が拳法をやることを想像したり、ジャッキー・チェンのアクションを思い出したりしました。ジャッキーのアクションとはちょっと毛色が違いましたが(笑)。
――坂本監督からのディレクションで、記憶に残っているものはありますか?伊藤 坂本監督はとても柔らかい、あったかい雰囲気の方なので、別作品でもそうだったんですが、ディレクション等はなく、今回も自由に自信を持ってスピカを演じさせていただきました。