◆アブソリューティアンの正義を見失わずに◆――ディアボロとタルタロスは一緒に行動する場面も多いですが、二人の関係性についてどう捉えていますか?小川 ディアボロは当初、タルタロスの右腕的なポジションだと思っていたんです。新撰組で言うと、近藤勇に対する土方歳三みたいな。でも、『運命の衝突』の二人の関係を見ると、どうも単純な仲間同士というわけではないなと。ディアボロが出しゃばった時にタルタロスに制止されるんですが、そこに反発しているんですよね。もう一人の仲間の(アブソリュート)ティターンとは、「お前とはやっていけない」という空気が流れていますし。
――確かにもともとチームを組んでいたわけではなく、種族の危機で集まったような印象を受けました。小川 そうですよね、寄せ集め感が否めないというか。ディアボロとタルタロスに限らず、アブソリューティアン同士の関係性が、今後より深く描かれていくんじゃないかなと。これから結束が固くなるのか、決別してアブソリューティアン同士でも戦うことになるのか。ウルトラマンの仲間になるアブソリューティアンも、もしかしたら出てくるんじゃないかなと思っています。
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――ディアボロで言えば、レグロスとのライバル関係の行方も気になります。小川 レグロスとの関係は、僕もこれからのお話でどうなるのか一番楽しみにしている部分です。レグロス自体、シリーズでも異端な『ウルトラマンレオ』とかかわりが深いことが面白いなと。そして、拳法で戦うというのもまた僕好みで。僕がウルトラマンで好きなところであり、ほかのヒーローと比べた特徴だと思っているのが、肉弾戦がメインであることなんです。自らの肉体を使って立ち向かうのはリアリティがあるし、レグロスの動きは現代のアクションものの要素を取り入れていて、描き方が上手だと感じました。
――レグロスと対峙するディアボロはどこか楽しげというか、ほかのウルトラマンたちと戦う時とは違った感情があるように思いました。小川 昔は一緒に研鑽を積んでいたからこそ、「やっぱりそうくるよな」「なら俺はこういくぜ」みたいな嬉しさはあったと思います。僕としてはディアボロとレグロスの関係は、単に決別しただけで終わりたくないという気持ちがあって。人間誰しも多面性を持っていて、良いところがあれば悪いところもある。それは仲違いした相手、許せない相手であってもそうで、許せないからと縁を切ったら本当に関係が終わってしまう。ディアボロとレグロスが兄弟弟子として過ごした時期があったことを忘れたくない、心の中に残していきたいなと。レグロスに対して、ディアボロも信念を持って戦っているところを見せていければと考えています。
――ディアボロにも彼なりの想いがあると。小川 僕の持論ですが、正義と悪は視点の問題だと思うんです。行動自体が間違っている場合はまた別ですが、アブソリューティアンのやることはウルトラマン側から見れば悪でも、彼らから見たら正義なこともあって。あくまでお互いに、守るべきや譲れないものがあって対立している。アブソリューティアンで言えば、自分たちが生き残るために戦っているという根本の目的は、常に念頭に置いています。
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