• 【追悼・PANTA】大好きなアニメ・ゲームを熱く語るその素顔を振り返る
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2023.07.08

【追悼・PANTA】大好きなアニメ・ゲームを熱く語るその素顔を振り返る

アニメ・ゲームにもとことんハマり、熱いトークを繰り広げたPANTAさん(2020年12月)

日本のロック黎明期から活躍するバンド「頭脳警察」のボーカル・またソロアーティストして活躍したミュージシャン・PANTAさんが2023年7月7日、肺癌による呼吸不全と心不全のため逝去した。享年73歳。
政治的なメッセージを含んだ歌詞や過激なパフォーマンスによって重いイメージをまとい続けた頭脳警察だが、PANTAさん本人は軽やかに様々なカルチャーと横断し、音楽シーンにとどまらない多彩な活動を展開していた。

アニメージュプラスでは2020年12月、ドキュメント映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』のDVD発売のタイミングに、PANTAさんとダークファンタジーコミック『赫のグリモア』の原作者・A-10(エーテン)さんの対談を実施(記事は2021年1月に掲載)。アニメ・ゲーム・マンガにも造詣が深かったPANTAさんの素顔を伺える本記事を一部再録させていただくことで、哀悼の意を表させていただきます。

――PANTAさん、アニメやゲームがかなりお好きなんですよね。

PANTA(以下P) そうなんですよ。それこそマンガなら子どもの頃、雑誌の「少年」に連載されていた『鉄腕アトム』『鉄人28号』、「週刊少年サンデー」の『サブマリン707』なんかに夢中になったし、アニメだと『機動戦士ガンダム』は最初のテレビシリーズから観ていた。

A-10(以下A) ええっ、本当ですか?

P うん。でも特にビックリしたのは『新世紀エヴァンゲリオン』だな。観始めたのは(テレビ放送の)割と初めの頃でしたよ、まだ絵がちゃんとしていたから(笑)。自宅の二階にスタッフが住んでいたんだけど、ある日彼がダダダと階段を下りてきて「大変です! 今すぐテレビを点けて下さい。セフィロトの樹が映っています!」「え~!」って大騒ぎになってね(一同笑)。

※セフィロトの樹=旧約聖書創世記に記された「生命の樹」から発展した、ユダヤ教のカバラ思想における世界の概念

A そこが入り口でしたか!

P 頭脳警察で「セフィロトの樹」という曲を出した時は「こんなもの誰も知らないだろうな」と自己満足で書いていたんだけど、それがテレビ画面にバーッと映って。あとで「死海文書」とかも出て来たし、いやー驚いた! キャラの名前が全部軍艦から来てたのも面白かったね。俺、駆逐艦マニアだから(笑)。ストーリーの謎ときにもずいぶん振り回されましたよ。

A ああ、「セフィロトの樹」が入っている「歓喜の歌」は本当に大好きなアルバムで、全曲ソラで歌えます(笑)。セフィロトの樹と言えば、94年に発売された「真・女神転生Ⅱ」というスーパーファミコン用ソフトのフィールドマップにセフィロトの樹が使われているんですが、ご存じですか。

 ああ、そうなの!

 先に頭脳警察の曲とそのゲームを楽しんでいたせいで、その後に放送された『エヴァ』テレビ版を観て「うん、良い目の付け所だけど、ちょっと遅いね」って思ってしまったという(笑)。

 ハハハハ、庵野(秀明)さんもああいうの、好きなんだろうね。

――では、PANTAさんの一番好きなアニメは何ですか?

P やっぱり一番キタのは『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』かな。サイボーグの義体に憑依した “人形使い” に対して「単なる自己保存のプログラムにすぎん」と詰め寄った時「それを言うならあなたたちのDNAもまた自己保存のプログラムにすぎない」と返された言葉がショックでした。骨とか臓器までが人口のものに代えられる状況の中、人と機械の境はどこにあるのか、というテーマが自分の中にできたんですね。

自分のタイミングでほぼ同時に観ていた『エヴァンゲリオン』旧劇場版のラストで「ここにいてもいいの?」と訊くシンジにアスカが「気持ち悪い」って言って終わるラストと、この作品での新しい義体を与えられた素子がバトーに「ここにいてもいいんだぞ」と言われても「ネットは広大だわ」と返すラストが見事に好対照でしたし、あれは自分の中で大きかったですね。A-10さんもアニメはずいぶん観ていますよね?

A それなりに観てはいますけれど、新作は追い切れていない感じですね。話題の『鬼滅の刃』も数話しか観れていませんし……。

P 『鬼滅』ね! まだ観てないけど、いつか観なきゃいけないんだろうなァ。

A 『鬼滅』のヒット前から(原作者の)吾峠呼世晴さんの読み切り作品を雑誌から切り抜くほど惚れ込んでいたんです。「週刊少年ジャンプ」という媒体で考えると驚くくらい丁寧な作劇をされているのがもう羨ましくて。今の雑誌連載はスピード感が求められるので、主人公の成長劇に大きくページを割くのは難しいんですよ。でも、『鬼滅』は手を抜かずにそこをしっかりやっている。だからこそ、読者は炭治郎に強く共感できるんだと思うんですね。

P ということは『鬼滅』はおススメ?

A おススメします!

アニメージュプラス編集部

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