• こんな『おそ松さん』が観たかった!話題の『魂伝』スタッフが語った裏話
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2023.08.21

こんな『おそ松さん』が観たかった!話題の『魂伝』スタッフが語った裏話

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会


●本作を裏で支えるトト子の「何となく」なリアリティ●

ーー今作のもうひとつの特徴は、トト子がストーリーの鍵を握っていたことですね。

山口 少しハートフルな要素を入れたいという狙いが初期段階からあったのと、劇場で公開する作品としてただわちゃわちゃしているだけではなく、何かストーリー全体を貫くような要素がほしかったんです。
同時に、群像劇的な要素も入れたかったというのもあります。最初はバラバラに見えていたことが最後は何かひとつに集約する、つながっているという構成にしたくて、“裏主人公” ではないですが、軸となる存在としてトト子ちゃんに白羽の矢が立ちました。

ーー山口監督ご自身が女性だから、という受け取り方が適当かどうかはわかりませんが、トト子の感情の描き方が少し生々しく感じました。彼女自身もよくわからない「何となく」という心の揺れがリアルだな、と。

山口 トト子ちゃんってそもそもTVシリーズ第1期の時から、周りの人が婚活しているとか、子供を連れているのを見たりとか……それでマグロを殴ったりしていたじゃないですか(笑)。そういうところで、本人にもよくわからないけれど、何かちょっとモヤっとする感情って、明示されてはいたんです。
第2期だとキンちゃんが来た時(第16話「となりのかわい子ちゃん」)も、あれはちょっとしたヤキモチなんでしょうけれど、本人はそれがわかっていなかった、とか。今回はそこに大きめなフォーカスをしたということかなと、私の中では思っているんです。

別に今回、急にトト子の不安さが出てきたわけではなくて、大人になったトト子の中にずっとあった感情の延長線上というか。ただ、具体的な描き方に関しては私自身が友達や家族、周囲の近況の変化などを聞いて蓄積されている気持ちが若干、反映されているかもしれないですが。

ーー橋本さんは今回のトト子ちゃん、ご覧になっていかがでしたか。

橋本 危ういなぁ……って思いました(笑)。

山口 そうですね、危うい(笑)。

橋本 結構、ギリギリなところで生きている部分もあるのかなと思いました。

西 観終わった後に謎の涙が出ますよね(笑)。トト子って今まではギャグ的な面が強かったというか、本読みでも「女の闇あるある」じゃないですが、「こういうの、腹立つんですよね」みたいな話を取り入れていただいて笑いになっていましたが、今回は「笑える」から次のステップに進んだような気がします。
トト子ちゃんも一人の人間なんだなと、劇場で観る作品だからこその “心に残る何か” をトト子ちゃんが観客に届けてくれましたよね。個人的にはトト子ちゃん、ちょっと大人になったなって思いました。

ーー6つ子が相当にヤバいので目立ちませんが、トト子ちゃんも冷静に考えると大丈夫?……という部分はありますからね。

山口 そうですね、明確には描かれていないけれど。でも、トト子ちゃんも悩みながらアイドルを続けていますし、自分にできることをがんばってほしいですよね。今後のトト子に期待! みたいな気持ちです。

>>>『おそ松さん~魂のたこ焼きパーティーと伝説のお泊り会』場面カットを見る(写真13点)

〈プロフィール〉

山口ひかる【監督】
『おそ松さん』第1期から多くの話数で絵コンテ、演出を担当。『ギヴン』(2019年にTVシリーズ/2020年に劇場版)を監督。

橋本由香利【音楽】
『おそ松さん』第1期から全作で音楽を担当。『輪るピングドラム』(2011年にTVシリーズ/2022年に劇場版)、『3月のライオン』(2013年)他で音楽を手掛ける。

西浩子【エイベックス・ピクチャーズ】
エイベックス・ピクチャーズ所属。TVシリーズ第1期から『おそ松さん』の製作に参加。

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

アニメージュプラス編集部

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