• 【BLOODY ESCAPE】「断食」で収録に臨んだ小野友樹に谷口悟朗監督も驚愕
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2024.01.07

【BLOODY ESCAPE】「断食」で収録に臨んだ小野友樹に谷口悟朗監督も驚愕

小野友樹さん演じるキサラギは、吸血鬼とヤクザに追われる改造人間 (C)2024 BLOODY ESCAPE製作委員会


――アフレコ収録時の印象的なエピソードなどありましたら、お聞きしたいのですが。

小野 オーディションで合格を戴いて、収録の1週間前くらいに谷口監督からお手紙を戴いたんですよ。概要としては「今まで培ってきた芝居の技術などは1度忘れてほしい」「キサラギというキャラクターと “飢え” というものをひとつ大事にしてほしい」というメッセージが、熱い言葉と共に書かれていたんですね。
技術に関しては、これはもう当日抜き身で一緒にやらせていただくしかない、と。そして飢えに関しては……断食したんですよ。

――ええっ!

小野 感情を掘るのもいいんですが、ここは飢えを物理的に感じてみようということで、当日まで一応2日間。 頭が働かなくなると困るので一応栄養だけは摂って、固形物は抜いていきましたね。

――実際それをやってみて、効果はあったんでしょうか。

小野 どうなんでしょう(笑)。「こういう意味じゃない」ってわかりながら、でもやってみたかったんですよ。お手紙という形でこんなお願いを戴くこと自体が僕は初めてだったので、その思いに応えたかったんですね。

谷口 逆に言うと、そういうお願い無しにみんなどうやっているんですかね? 読み合わせをしたわけでもない、立ち稽古したわけでもない、世界観に関して何の情報が共有できているかどうかすら定かじゃない役者を集めて収録をする方が怖いじゃないですか。
しかし、まさか物理的に食事を抜くとはね……斉藤壮馬さんや内田雄馬さんだったらまあ演じられるキャラクター的にそういうキャラだよねと思うんですが、ちょっと知能指数が低すぎるのでは(笑)。

小野 いやいや、そういうことを考えなきゃいけないな、という僕なりの答えですし、やっぱりいい勉強になりました。

――先ほど谷口監督は本作に関して「実写映画に近い」とおっしゃっていたんですが、私は観ていて80年代OVAやB級アクションのようなジャンル映画のテイストも感じられました。その辺りの意識はあったでしょうか。

谷口 私が想定していたのは、それよりちょっと前の洋画とか邦画が持っていた、要するにワンテーマで突っ走っちゃうタイプの作品だったんですよ。言っちゃうと、そうした方が観やすいし、尺的にもあまり大河ドラマをしているわけにもいかないので。とはいえ、80年代OVAと言われて腑に落ちたところもありますね。当時の「作り手がやりたいことをストレートに描く」という姿勢は、結果的に繋がっちゃった部分もあると思います。

――本作の、理屈ではなくアクションで物語を繋いでいる部分からそれを想起したのかもしれません。

谷口 実は日本のアニメのほとんどが台詞の力で物語を構成している部分がありまして、国内のファンが観る分にはそれで構わないと思っています。でも作品を世界標準にしていこうと思ったら、できる限りアクションでそれを見せていかないといけないんです。
これを脚本家さんに書かせようとすると、やっぱり彼らはテキスト=台詞で発想するわけですよ。それを絵コンテでいちいち修正していくのはちょっと面倒だな、と思って……。

――だから今回、谷口監督が脚本も担当した?

谷口 はい、もう私が書いた方が早いんじゃないかと。

――では小野さん、キラサギ以外で印象に残ったキャラクターといえば、誰になりますか。

小野 まあ……ジャミになっちゃうんですよね(笑)。冒頭から強烈なキャラクター性が示されていて、何か重大な何かを背負っているわけでもないのに、彼がいないとキサラギが終わってしまっていた場面がいくつもあるんですよ。あと、雄馬くんの声も素の感じがすごく出ていて……。

谷口 ちょっと殴りたくなる声ね(笑)。

小野 非常に殴りたかったですね(笑)。

――谷口監督はいかがですか?

谷口 お気に入りといえばそれはもう全員になっちゃうんですが、実際に作業を進めていくなかで「この作品、イケるんじゃないかな」と思えるニュアンスを与えてくれたのはキサラギを最初に襲うゼッシュですかね、置鮎龍太郎さんに演じてもらった。
あとは、TVアニメ『エスタブライフ』の時は「ワン」しか言ってなかったのに、今回突然日本語を喋った三木眞一郎さん(ウルラ)かな(笑)。

小野 そうですよね、あれ、ビックリしました。どうしてなのか、僕も知りたいんですよ。

谷口 実はTVシリーズの最後に喋らせよう、みたいなアイデアもあったんですけれど、結局そのままで終わっちゃった。でも、私だって三木さんをわざわざ呼んで「ワン」しか言わせないのはちょっと意味がないと思うから(笑)。
まぁ、それは半分冗談だとして、実は設定的に意味があって、理由もちゃんと考えているですが、そこはまだ秘密にさせてください。

――ありがとうございました。では最後に、それぞれの本作お勧めの見どころをご紹介いただければと思います。

小野 断食の結果なのかどうかはわからないですけれど、谷口監督から「力が抜けた芝居になっていた」みたいなことを言ってくださったんですね。お腹が満たされた状態でする芝居と、どこか足りないものがある状態でする芝居……そのアプローチの中でもし違いが出たとしたら、言葉を真に受けて正解だった部分もあるな、と感じましたね。
実際音で聞いてみても、普段の僕のお芝居と声の出し方がまず違うんですよ。そこは是非注目していただきたいポイントの1つですね。

あと、僕は主に上田麗奈さんと一緒に収録したんですけれど、やはり彼女なりに普段と違うアプローチを求められて、自問自答しながら頑張っていたところをすごく見ていたんです。そんなルナルゥの声の存在感も合わせて楽しんでいただけると嬉しいなと思います。

谷口 彼女は良い意味で声優として次のステージに行っているなっていうのがわかっていました。声優の中には、演技の際にも作品ではなく自分を押し出そうとする人もいるんですね。ベテランならまだしも若手でそれをやられるとつらい。今回のキャスティングは「声優の典型的な技術を封印した、素の状態で演じられる人」というのが1つの大きなポイントでした。それがどういう形でまとまったかは、ぜひ確認してもらいたいですね。

小野 ゼッシュ役の置鮎龍太郎さんも、僕は声を聞いてしばらく置鮎さんと気づくことができなかったんですよ。あの大先輩でさえも、この作品においては普段とちょっと違う引き出しでトライしてらっしゃったのかと思うと、ちょっとグッときましたね。

谷口 劇場作品ならではの音響やアクションにもこだわりましたので、そこも是非楽しんでいただけるとありがたいと思っています。

>>>あらゆる要素がハイパーな魅力にあふれる『BLOODY ESCAPE』場面カットをチェック!(写真13点)

(C)2024 BLOODY ESCAPE製作委員会

アニメージュプラス編集部

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