• 【ガンダムSEED FREEDOM】大河原邦男が本作で感じた「ガンダム仕事」の一区切り
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2024.02.28

【ガンダムSEED FREEDOM】大河原邦男が本作で感じた「ガンダム仕事」の一区切り

(C)創通・サンライズ


──『FREEDOM』では、クライマックスに登場するマイティーストライクフリーダムガンダムに驚いたファンも多かったと思います。

大河原 普通だと一体だけのデザインとして考えればいいわけですが、プラウドディフェンダーが付いているので実質二機分になるわけですよ(笑)。さらにプラウドディフェンダーは変形するので、そのギミックも加味して作業をしないといけないのがすごく大変でしたね。フィニッシュ作業も、この羽根部分さえなければ楽にまとめられたんですが(笑)。

とはいえ、私は言われたことをやっているだけなので、そういったギミックも含めてアイディアをまとめる監督の方が苦労したんじゃないかな。どうカッコ良く見せたらファンの皆さんが盛り上がってくれるのか、最終的にプラモデルなどといった関連グッズを買ってもらえるのかなど、そういう興行的なところも考えながらデザインのオファーを出さないといけないはずなので。

──TVシリーズ同様に『機動戦士ガンダム』のMSが登場するのも見どころのひとつとなりましたが、中でもズゴックの大活躍が印象的でした。

大河原 初期の段階ではアッガイの中にジャスティスガンダムが入るという話だったのですが、最終的にズゴックに変更されました。当時既にフィニッシュに近い形でデザインが出来ていたのですが、そこでペンディングになり、3年前に劇場版が本格的に動き出したところで改めてリライトしました。

──キャバリアーを装着して、宇宙にまで飛び出したので驚きました。

大河原 ズゴック用に新しくデザインしましたからね。実は私のデザインの段階では、ズゴックのシルエットはもうちょっとずんぐりむっくりしていたんですよ。というのも、中にジャスティスガンダムを入れるためには縮尺的に考えるとこれくらいになるだろう、と考慮したからなんですが、制作側から「ちょっとスリムにしていいですか?」とお願いされたので「私の作業にならなければ良いです」とお答えして、フィニッシュしてもらったのが現在の形になります(笑)。

──その一方で、キラたちを苦しめるファウンデーションの新型機「ブラックナイトスコード」のMSはかなりキャラクター性の強いモビルスーツとなりましたね。

大河原 これも指示を受けてデザインをした感じなんですが、作業が面倒臭かったなぁ(笑)。もう年寄りだから、こういう線が多くて細かいのは大変なんですよ。総じて言えることは、モビルスーツのメカデザインの作業はなかなかに辛いものだということです(笑)。

──改めて、大河原さんは『ガンダムSEED』という作品を振り返って、現在どういう思いを抱いていらっしゃいますか。

大河原 『ガンダムSEED』の仕事は、実に楽しませていただきました。先ほども言いましたが『DESTINY』ではいろんなチャレンジをさせていただきましたし、ファーストガンダムのモビルスーツを時代に合わせてアップデートしたデザインに仕上げるという作業はとても面白く、ノリノリでやらせていただきました。

今回の劇場版も十分に楽しませてもらいましたが……スケジュールだけが本当にキツかった(笑)。もう私もいい歳ですから、今となっては「ガンダムの仕事はもうお終い」くらいの気持ちでいるんですよ。

――ええっ、本当ですか!?

大河原 だって『ガンダム』の仕事を続けて今年で45周年ですよ? 生まれた子供が45歳になるまでやっているわけですから、さすがにもういいんじゃないかなって思いませんか?(笑)

──つまり、今回の『FREEDOM』の仕事はガンダム仕事の一区切り、みたいな気持ちがあったりするわけでしょうか。

大河原 そうですね、20年前からやり残していた仕事をやっと仕上げた、という気持ちはあります。『SEED』は私がモビルスーツ担当、山根(公利)さんがメカ担当というコンビでやっていましたが、おそらく山根さんも同じ気持ちなんじゃないでしょうか。

──では今後、こういう仕事に取り組みたいという思いなどはあったりしますか。

大河原 いつも『タイムボカン』みたいなユーモラスなメカが描ける仕事が来てくれれば楽しいのに、って思っているんですよ。そういう仕事ならギャラが半額でもやっていいな、という気分でいるんですが(笑)。

大河原邦男(おおかわら くにお)
12月26日生まれ。72年に竜の子プロダクション美術課に入社し『科学忍者隊ガッチャマン』『タイムボカン』シリーズなどを手がけ、フリー転身後は『機動戦士ガンダム』『装甲騎兵ボトムズ』などのリアルロボットから「勇者シリーズ」に代表されるスーパーロボットまで、幅広い作品とジャンルで今なお活躍中であるメカニックデザイナーの第一人者。

>>>『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』モビルスーツの活躍場面をチェック!(写真28点)

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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