• 小中和哉監督&小中千昭原作・脚本の耽美的ダークファンタジー『VAMP』完成記念対談!
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2019.09.04

小中和哉監督&小中千昭原作・脚本の耽美的ダークファンタジー『VAMP』完成記念対談!

『VAMP』(2019/日本/86分 R15)

今年で第6回を迎えるキングレコード主催の「夏のホラー秘宝まつり」が、キネカ大森(東京)、シネマスコーレ(名古屋)、シアターセブン(大阪)の3都市で同時開催されており、そのオープニング上映作品として、小中和哉監督、小中千昭原作・脚本による新作映画『VAMP』が披露され、現在公開中だ。平成ウルトラマンシリーズをはじめ、特撮作品でおなじみの小中兄弟タッグによる久々の新作ということで、完成を記念して、『ウルトラマンティガ』の頃からお二方と親交の深い、切通理作さんにお話を伺ってもらい、9月10発売の『ハイパーホビーVOL.14』で4ページにわたって掲載! そこでHH発売前に冒頭部分のみ「アニメージュプラス」でも抜粋して紹介する。
キネカ大森(東京)は9月5日(木)まで、シネマスコーレ(名古屋)とシアターセブン(大阪)では9月6日(金)まで開催されているので、ぜひ!


切通 『VAMP』は「ヘマトフィリア(血液耽溺者)」を自称し、生きるに値しない男たちを殺し、その血をすする苓(中丸シオン)と、彼女に惹かれていく美以那(高橋真悠)の物語ですが、ヘマトフィリアを一種の殺人衝動と考えれば、1995年に和哉さん監督、千昭さん脚本で作られた『毒婦(プワゾン・ボディ)』)と通じるところがあると思ったんです。殺欲(人を殺したいという欲求)を持った女と、同じく殺欲を持った男の対決。『毒婦』では、ヒロインの真弓倫子さんと、大杉漣さんが対決していました。

小中和哉(以下、和哉) 『毒婦』がひとつのベースになっているのは間違いないですね。殺欲も、ヴァンパイアも、同じように「せざるを得ない人」だから。
『毒婦』は、もともと僕と関係なく兄貴がオリジナルのシナリオを書いていた。

小中千昭(以下、千昭) あ、そうだった。

和哉 『殺欲異常』という題名で。

千昭 えっとね、それはTBSでやろうとしたの。そしたら「これはテレビでは出来ません」って言われて(笑)。

和哉 (笑)それは出来ないと思うけど。

千昭 で、彼(和哉)がやるにあたって、随分変わったんですけどね。

和哉 それは発注のケイエスエスから「凌辱シーンさえあれば何でもいい」みたいな注文があって(笑)、「これでもどうですか?」って持ってって撮った……という経緯です。
 さっきも話題に出たように、倫文の役をちゃんと作ったのが多分改変だと思う。異常者中心の話じゃなくて、それを理解できないながらも惹かれていく男の子の視点というのがあったから撮れたと思うんです。まあ、今回もそういう話ですからね。
 『毒婦』の場合は村田泰則さん演じる倫文っていうストーカー少年が真弓倫子さんに惚れていくわけですけど。そういう人だと知りながら……その役割が今回は美以那なんですよ。

切通 加えて、今回冒頭、美以那が誘いをかけておびき出す男が、最初、単に犠牲になる役なのかと思ったら、意外に向こうは向こうで、まるで呼応するようにキレまくって、もともと暴力的になると生き生きしだすような、ヤバいやつだったのかもと思わせる味付けがあって、そういうところも、ちょっと『毒婦』を思わせるなあと。

和哉 なるほど。

千昭 それは映画全体なんですけど「ジャンル作品ならこの役はこうだろうな」っていうのを、とりあえず全部裏切っていくっていうホン(脚本)にしたんですね。だから結構あの冒頭のシークエンスも意外に長いんですよ。
 今回キングレコードのホラーのブランドで出すものだから、この種のジャンル作品を好んでよく見てる人も多く見るはずなので。そうすると、前半はむしろちょっと特殊な「こういう人もいるよね」っていう閉じ方を一瞬しかけて、後半違うものにスライドしていく、そういうメタ的な面白さを狙ったんですけどね。

<聞き手・構成/切通理作(文筆家)>


▲監督の小中和哉さん(弟)と、原作・脚本の小中千昭さん(兄)

小中兄弟の対談の続きは、9月10発売の『ハイパーホビーVOL.14』にて。

●小中和哉(こなか・かずや) Profile
1963年2月8日三重県生まれ。小学生の頃より8ミリキャメラを回し始め、数々の自主映画を撮る。立教大学法学部卒業後、初の劇場用映画『星空の向こうの国』を製作。1992年に妻・朋子(代表取締役)兄・千昭(脚本家)と共に有限会社こぐま兄弟舎を設立。『ウルトラマンダイナ』の監督として参加し、その後もウルトラシリーズの映画やテレビに数多く携わる。そのほか映画、テレビドラマ、オリジナルビデオなども多数手掛ける。

●小中千昭(こなか・ちあき) Profile
1961年4月4日東京都生まれ。1971年より8ミリ映画を作り始める。成城大学(映画記号学専攻)卒業後、テレビ番組、PRビデオ、展示映像など制作・企画。1987年からは演出から脚本へ移行。ホラー、SF専門の脚本、小説を執筆。『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンガイア』の脚本を手掛けたほか、映画、テレビドラマ、アニメと数多くの脚本を手掛ける。『ウルトラマンティガ 輝けるものたちへ』(早川書房)が2019年6月20日に刊行された。

■『VAMP』(2019/日本/86分 R15)
監督:小中和哉
脚本:小中千昭
出演:中丸シオン、高橋真悠、田中真琴、渡邉翔、俊藤光利、加藤厚成、松沢蓮、早坂季花、北岡龍貴、木之元亮、石田信之、大浦龍宇一、堀内正美
制作:坂本敏明
エグゼクティブプロデューサー:山口幸彦
プロデューサー:関顕嗣 小中明子
撮影監督:高間賢治
アクション監督:大橋明
特殊視覚効果:泉谷修
音楽:宮崎道
制作協力:Bear Brothers Ltd FREBARI
製作:キングレコード株式会社

※宮崎道さんの「崎」の字は「大」ではなく「立」が正式表記になります。

■映画祭タイトル「夏のホラー秘宝まつり2019」 概要
【開催場所】キネカ大森:8月23日(金)〜9月5日(木)
名古屋:シネマスコーレ 8月24日(土)〜
大阪:シアターセブン 8月24日(土)〜

【料金】(キネカ大森)新作:1500円、旧作:名画座料金
新作:『VAMP』『怪談新耳袋Gメン 孤島編』『BEYOND BLOOD』『シオリノインム』『残念なアイドルはゾンビメイクがよく似合う』『星に願いを』
旧作:『ザ・クレイジーズ』『ドリラー・キラー』 ※3週目 名画座上映

公式サイト
ツイッター @horror_hiho
提供:キングレコード

撮影:松山勇樹

(C)2019キングレコード

文/切通理作