• ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズの生みの親が完結した今だからこそ明かす制作秘話!
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2019.10.15

ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズの生みの親が完結した今だからこそ明かす制作秘話!

『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章では、ジョン・スノウ(左)とデナーリス・ターガリエン(右)を中心に様々なキャラクターたちの運命が物語の終着点へと向かっていく。


――原作者のジョージ・R・R・マーティンに映像化の企画を持ち込んだ時のエピソードを教えて頂けますか?

ベニオフ 彼に初めて会ったのは、ロサンゼルスのザ・パームというステーキハウスで、そのランチは4時間にも及びました。終わった頃には僕らとウェイターしかいなかったですよ。ジョージの髭にバターが付いてしまっていたのが忘れられません(笑)。彼に訊かれたのは「ジョン・スノウの母親は誰だと思う?」という質問でした。作中では明かされていないことでした。でもとても幸運なことにその前日にたまたま二人でその話をしていて、これじゃないか、という答えも考えていたので、それを答えたら正解だったんです。ただ、そのことをもって映像化を許可してくれた、というわけではなくて、原作に対して僕らがどれだけ熱い思いを持っているのかということを感じてもらえたんだと思います。ほかにも映画化のオファーなどがたくさん来ていたそうなんですが、2時間の映画にするということは95パーセントはカットしなくてはいけないということで、僕らはそうはしたくなかった。その時の僕らになかったのは経験で、きっと彼も不安だったと思うんですが、僕らの情熱を信じてくれました。

――ドラゴンを映像化するにあたって気をつけたことは?

ベニオフ ジョージから言われたのは、4本足のドラゴンというのはあり得ない、飛べないじゃないかということで、後ろ足が2本に翼という形にするのがこだわりとしてありました。あとは実際の生物、恐竜や鳥などからインスピレーションを得て作ろうということは決めていました。様々なアートや映画も参考にしながらいいとこ取りをしていったんですが、最もデザインに貢献してくれたのはVFXチームですね。彼らが皮膚のテクスチャなど最終的なコンセプトを生み出してくれました。実はかなり前から、最終章でドロゴン(デナーリス・ターガリエンの3頭のドラゴンのうちの1頭)がデナーリスを爪で包み込んで運んでいく、ということは決めていました。そういったビジュアルにつなげていかなくてはいけないので、第三章あたりから最終的にどのくらいの大きさになるのかというチャートを作っていました。第七章では最終章と同じ大きさまで成長しています。
▲デナーリス・ターガリエン(演:エミリア・クラーク)と彼女に忠誠を誓う騎士ジョラー・モーモント(演:イアン・グレン)

――最終話のあとのドキュメンタリーでは、スタッフたちが「ダンとデイヴィッドはいつ来るの?」といった感じでお二人のチェックを待っているような場面があったんですが、撮影現場にはいつも顔を出していたんですか?

ワイス そうですね、現場主義というか、撮影が始まる前のプリプロダクションの段階から撮影が終了するクランクアップまで常に現場にいるようにしていました。それも結構こだわったポイントのひとつで、何か質問があればそこで即答できるようにしておきたかったんですね。衣装や特殊メイクなどそれぞれのセクションに集まった最高のプロフェッショナルたちがものすごい時間と労力をかけて作業してくれているわけですが、彼らが集中して入り込んでいる分、ちゃんと全体像が見える人間が現場にいないといけないと思いましたし、それが僕らの役割だと認識していました。各パーツの整合性がちゃんと取れているかどうかを確認するためです。ところが、第二章を終えたくらいのところで「これは実は常識じゃないんだな」ということに気が付きました(笑)。みんなにからかわれていたんですね。「家にいればいいのに」なんて言われていたらしいです(笑)。でもやはりベストの作品を作っていきたい、そのためには全体像を見届けなくてはいけないという使命感がありました。

文/小田サトシ

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