• 今度の素子はかわいい系!?『攻殻機動隊 SAC_2045』神山健治+荒牧伸志両監督インタビュー
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2020.05.02

今度の素子はかわいい系!?『攻殻機動隊 SAC_2045』神山健治+荒牧伸志両監督インタビュー

▲これが最新の草薙素子 (C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会



そして今作の動き=アニメーションは、生身の演者の動きをデジタルで取り込み、それをベースに3Dモデルを動かす「モーションキャプチャ」で作成されている。戦闘などのアクションシーンだけではなく日常的な芝居や会話シーンなども、すべてモーションキャプチャが行われているとのこと。つまり、脚本・絵コンテ通りのお芝居が、生身の俳優によって1度、行われているのだ。


▲激しい戦闘アクションから日常的な仕草まで、モーションキャプチャがベースになっている

ーー今回は、すべてのシーンがモーションキャプチャで作られているそうですね。

荒牧 モーションキャプチャがベースにはなっていますが、表情芝居などは全部、3Dソフトでモーションをつけるアニメーターの仕事です。手の動きなどのタイミングも含めて、かなりアニメーターが調整はしています。

神山 とはいえ、ベースの演技というところで、モーションキャプチャはかなりフルで使っています。(モーションを担当する)モーションアクターのオーディションにいらっしゃる役者さんも、アクションシーンだけ(モーションを)撮ると思っていた人が多かったですが、会話などの芝居やセリフも全部、演じてもらうので。「こんなに全編、撮るの?」と、ちょっと驚かれますね。

荒牧 細かい日常的な仕草も全部、一旦は撮りますから。

ーーかなりの時間がかかりそうですね。

神山 1話分の撮影にだいたい、3日くらいかかります。でもこちらとしては、1話分の「作打ち」(演出担当者が、各場面の作画を担当するアニメーターにその場面の意図などを説明する、アニメ制作の工程)が3日で終わると思えば、もしかしたら手描きのアニメよりも楽かもしれない(笑)。

——アニメーターの仕事のベースになる全カットの動きが、モーションキャプチャで撮れるわけですからね。

神山 しかも、基本的な説明が1回で済む。作打ちは、新しいアニメーターがくるたびに「これ、去年からもう15回くらい言ってるな」みたいな(笑)。

荒牧 「これは、これこれ、こういう作品です」みたいな概要の説明を、アニメーター全員にそれぞれしなきゃいけないからね(笑)。

神山 ひとりずつに説明するの、非効率だなぁ……とか思うんですよね。それを考えたら、そこが共有できている人と3日間、作打ちしたら終わると考えれば、僕としてはとても楽ですね。

荒牧 モーションを演じてくれる役者の方はみなさんシナリオを読んでいて、そこまでの内容は全部、頭に入っているので。ここの話数の狙いや、その場面の意味も共有しやすい。しかも、同じ場面をカメラの位置などを変えて別テイクを撮ることもできる。

神山 で、それを実際にアニメーターも観にきているので。

荒牧 その現場で彼らにも、僕らが何をやりたいのかってことが伝わる。

ーーなるほど、モーションをCGに起こすアニメーターさんも、キャプチャー現場に立ち会うんでうね。

荒牧 何だったら、アニメーターが自分でビデオを回して、撮りたい角度や表情だったりを追いかけたりもしてます。

神山 アニメーター側から「監督、今のOK出してるけど、それだと困ります。こう撮っておいてください」みたいな注文も、その場で出るんです。

荒牧 「ここで止まったらまずいから、そのまま歩いていってください」とかね、そういう細かい調整も入る。

神山 そういう、それぞれの目線で見ながらキャプチャをやるので、同時にチーム内でひとつの共通認識もできるんです。僕にとってはいいことだらけでした。

荒牧 大変ですけど、一番楽しいと言えば楽しいですよね、キャプチャは。

3DCGの利点を模索しながらストーリーに相応しいビジュアルを構築し、その世界へと観客を没入させていくーーそんな『攻殻機動隊 SAC_2045』の挑戦的な映像をぜひ、体験してほしい!
なお、神山・荒木両監督が本作のストーリーやテーマについて語るインタビューは、5月9日発売のアニメージュ6月号に掲載。同号には、イリヤ・クブシノブ描き下ろしイラストピンナップも掲載される。

アニメージュプラス編集部

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