• ヘビクラ隊長はジャグラス ジャグラー! 青柳尊哉インタビュー
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2020.07.18

ヘビクラ隊長はジャグラス ジャグラー! 青柳尊哉インタビュー

ヘビクラ隊長はジャグラス ジャグラー! 青柳尊哉インタビュー(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京


隊長は孤独だ!


――『オーブ』のときと現場の雰囲気はちがいますか。

青柳 『オーブ』も一人ぼっちの撮影や、スーツアクターさんとの芝居が多かったんです。チームワークとしての雰囲気は、温かさの部分に変わりはないですが、『オーブ』のときのほうがストイックに作っていた感覚です。かね。今回は僕も一応防衛隊の一員という形ですが、現場は俳優陣も含めて若いスタッフ陣が増えています。そういう意味ではちがった形の活気はあるかもしれないですね。『オーブ』がストイックだったとしたら、今はスクラムを組んで、和気あいあいと高めるみたいな感じ。主役の平野(宏周)くんがとても明るくチームの先頭に立って引っ張ろうとしてくれていて、若いヨウコ役の松田(リマ)さんとユカ役の黒木(ひかり)さんも、勘がいいんです。現場に溶け込むスピードとか、そういうのも図抜けているというか。僕自身が何かをしようとしなくても、彼女たちに任せられるという。皆、現場が楽しそうでよかったなと思います。

――共演者の方々はどんな感じですか。

青柳 橋爪(淳:イナバ コジロー役)さんがとてもおちゃめというか、天然な方で、現場がとても和むんです。とても柔らかくて温かい人です。小倉(久寛:クリヤマ長官役)さんも柔和な方ですね。ユカは説明セリフがすごく多いのですが、本当に真摯にお芝居を楽しもうとしていて、ヨウコ役の松田さんも、ハキハキとした快活さで現場を明るくしてくれて、ある種のムードメーカーです。野田(理人:カブラギ シンヤ役)くんは、ヴィランの役所で、最初の頃にいろいろな質問をされました。「絶対負けたくないんですよ」という熱い思いを話してくれたりして、俺も負けてられないなって感じさせてくれました。ハルキ役の平野くんなんかは、熱くておちゃめでにぎやかで。でも勉強熱心だから、すごく一生懸命台本を読み込んでいたりしていて、すごいなって単純に思います。僕が何かをする必要がないくらい、立派な座長だなと思います。皆を引っ張っていってくれ、僕は影でコソコソ暗躍するから、って(笑)。

――みんなそれぞれキャラクターも立っていますしね。

青柳 彼らは自分のキャラクターを掴んでから出すのがすごく早いと思う。何をすべきかというところがわかっているんですよね。俺なんか、多分あのメンバーならオーディションで落ちていたでしょうね。絶対あの年齢の頃に勝負してたら落ちてますよ。ちょっと上でよかったって思ってます(笑)。

――『オーブ』のときのジャグラーも特殊だったと思います。

青柳 あれはすごく手探り手探りで。あまり悪役の人間態ってなかったから。みんな、こうやったらおもしろいんじゃないかとか、こうしようよって脚本家さんも含めていろいろな本を書いていただきました。

――言い方が悪いかもしれませんが、あんなに気持ち悪いキャラクターはなかったと思うんですよ。

青柳 気持ち悪くしたかったんですよね。セリフが、ポエムっぽいことがすごく多くて、これ真正面に言うと浮いちゃうなっていうのが最初にあったんです。これじゃあクレナイ ガイと立ち向かえないんじゃないか、ただ読むだけなら、誰でもできるでしょうって思ったんです。一方で、ここまでやっていいのかなっていう思いもあって挑戦的でしたが、ヴィランを演じる上でのテーマの一つとして、距離感を壊す、ということがあったんです。そうして生み出されたキャラクターでした。後からヴィランを演る人が「大変だ!」って言ってくれるのは、すごく名誉だなといつも思っています。

――ウルトラマンになる人たちって、偶然のような必然のような形でウルトラマンになっていきますよね。ジャグラーは自分がなりたかった光の戦士になれず、壁にぶつかって闇に落ちながらも根底にあるのは光の戦士と同じものだと思うんです。

青柳 そうかもしれませんね。みなさんがジャグラーに対していろいろな風に思ってくれればいいなと思っています。僕が思うジャグラーって、光の戦士になるということへの執着じゃないところで、光の反射のさせ方がちょっと人とは違う生き方を選んだ人。その中で彼なりの生き方、目指し方みたいなものがきっとあるんだろうな。それを僕が演じさせてもらえるので、僕なりの思いでつないでいけば、あとは皆さんがまたいろいろな想像をしていただければいいと思う。
「彼はこうなんじゃないか」と言っていただけることに、すごく助けられています。そうかもしれないね、と思うこともあるので、そういう意見をたくさんもらえると助かるんです。

――ウルトラの戦士になっている人は、ある意味恵まれている気がします。でもジャグラーは必死につかもうとしていろいろな壁にぶつかっているので、大多数の人は彼に共感するのではないでしょうか。

青柳 そうですね。僕もジャグラーを演じながら育っていったという思いがあります。ウルトラマンに変身する人って、ウルトラマンになれたという実績が圧倒的な成功体験になるわけじゃないですか。でも、みんながヒーローになれるわけじゃない。例えば、スポーツ選手になりたいというような、何かになりたいとか、こうなりたいっていう思いが、すべて叶うわけではないので。それをジャグラーはすごく体現しながらやってたし。あんなに努力するライバルっていうのもおもしろいですよね(笑)。無敵じゃない、穴ぼこだらけの彼を僕はすごく愛していたりします。

――ジャグラーのほうが、気持ちが入りやすいのと、「がんばれ」って言いたいところがありますね。

青柳 何かあるんですよね。僕もジャグラー見てて「がんばれ」って思います。



(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

文/阿部雄一郎

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